2013年2月10日日曜日

ミルトン・エリクソン・ストーリー(関係性への介入)

                                 

 心理療法家のミルトン・エリクソンが凄いところは家族療法的に関係性に介入するところでしょうかねぇ?

 ミルトン・エリクソンというとまっさきに催眠というキーワードが浮かびますが、仕事や日常生活で本当に有効なのは、上手に関係性に介入するという方法だと個人的には思っています。悩みのほとんどが人間関係に起因しているとすると、やっぱりそれを上手にユーティライズするということになってきますからねぇ。もちろん、これは往々にしてパラドクス介入になったりするわけですが・・・(笑)。

で、コンサルタント的なパラドクス介入ということになると、ひとつは、仕事や日常生活の場面で「悪役プロレスラー」の役ができる人だろうなと思っています。まぁ、人や組織に動いてもらったり、真の意味で意識改革を行なってもらうためには往々にして「悪役」が必要だったりしますからねぇ。もちろん、トリックスターに引っ掻き回され、小悪魔に翻弄されという場面はあるのかもしれませんけれど・・・・(爆)

 独り言


今日は、「ミルトン・エリクソン・ストーリー(関係性への介入)」について書いておきましょう。

関係性の力って凄いねぇ、人はひとりで生きているわけではないので・・・

 今日は、心理療法家のミルトン・エリクソン博士の逸話をひとつ。[1]

 ある夫婦がミルトン・エリクソン博士のところに相談にやってきました。夫はエリクソン博士に「妻のアルコール依存症が問題なのです」と訴えました。夫は、妻の飲酒が巧妙に隠れて行われることを説明しました。例えば、週末に庭の手入れをしながら、庭の何処かに巧妙に隠されたボトルから飲酒するというような具合です。夫は妻の飲酒を止めさせるために、最初は、助言を与え、口喧嘩をし、そして批難し、禁酒を強要するまでになったのですが、妻がまったく聞く耳を持っていないことを訴えました。妻は彼女の健康を蝕むだけではなく、やがて夫との関係も壊すようなことになるくらい飲酒を続けることになりました。

 また、エリクソン博士の見立てでは夫は趣味らしい趣味を持っていないようでした。週末になると一日中、リビングのソファに腰掛けて「手垢のついたような古い本、古い新聞、古い雑誌」を読んでいるだけだったのです。妻は夫のその趣味を止めさせるために、最初は、助言を与え、口喧嘩をし、そして批難し、その趣味を止めるように強要するまでになったのですが、夫がまったく聞く耳を持っていないことを訴えました。夫は、自分の健康にあまり良くなく、やがて妻との関係も壊すようなことになるくらいその趣味を続けることになりました。

 エリクソン博士との面接で、博士は、ほとんど取るに足りない事実を発見したのです。一つは、その夫婦はキャンピング用のバスを持っていたけれどもここ数年使われていないこと。もう一つは、その夫婦は釣りが大嫌いなことでした。

 エリクソン博士の最初の介入は、その妻にウィスキーを買い家に持って帰るように示唆することでした。彼女はウィスキーのボトルを家の中に隠しました。そして、仕事から帰った夫は隠してあるボトルを探しまわるのが趣味のようになっていました。もし、夫が1時間以内にボトルを発見できない場合は、家でまったく批難されずにそのウィスキーを飲むことができるというのがルールだったのです。

 妻は、誰も1時間以内にそのボトルを発見できない場所を発見することに大きな喜びを感じるようになっていました。しかし、このルーティンも何日かこなしてしまうと、妻は不安になって、あまり喜びを感じなくなってしまい、夫婦は再びエリクソン博士の元を訪れることになりました。

 エリクソン博士は、2人で釣りに行くように指示しました。エリクソン博士はこの夫婦が落胆した様子を見た時、この夫婦は釣りが大嫌いだというのを思い出しましたが、釣りに行くように主張しました。夫婦は抗議しましたが、エリクソン博士はこの主張を頑として譲りません。ついに、その夫婦は「どうして、釣りに行くことがそんなに重要なのですか?」と質問するようになりました。

 「そうですねぇ」エリクソン博士は少し間を置きドヤ顔でこう答えました「これがあなたたちのための唯一正しい治療法なのです。奥さん、もしあなたが湖の真ん中でボートに乗っているとします、そうすると、どこにもウィスキーを隠す場所はありません。旦那さん、同じように湖の真ん中でボートに乗っているとすると、どこにも本屋や雑誌や新聞を隠すところがありません。だから釣りに行くのです。」

 その夫婦はエリクソン博士の話を聞いて段々むかついてきました。それでも、彼らは釣りに行く代りにキャンプに行くことにしました。実際、キャンプに言ってみると、夫婦で楽しめる共通の趣味があることに気がつきました。さらに、お互いの関係において共通に興味があることを再発見することになりました。

  それから、夫は自発的に本にのめり込んで一人っきりでいることを止めるようになりました。また、妻は自発的にアルコールを飲むことを止めました。この夫婦は自分たちが主導して変わることになりました。エリクソン博士は、この夫婦に対してほんのすこしの見立てを行っただけでしたが、彼らの振舞いを改める支援をしたことになったわけです。

 追記:グレゴリー・ベイトソン的に上のご夫婦の関係を考えると、コンプリメンタリーな関係が疎遠になって、喧嘩もしないかわりに、お互い興味がないという状態になっていること。エリクソンはお互いが相手に興味を持つようにいくかの行動指示を行っている。

(つづく)

 文献
[1] http://bscw.rediris.es/pub/bscw.cgi/d4501310/Evans-Hypnosis_Australia.pdf

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