2013年2月18日月曜日

エリクソニアンを目指す12の練習(その5)

                                  

 自分の一番好きなトランス状態はどんな状態なのかなぁ? 宮本武蔵じゃないけれど遠きを近きに、近きを遠きに見て、感覚を外に開いて、周りで起こったことをリアルタイムに学習しているアップタイムの状態かなぁ(笑)

 大体、普通の催眠じゃないけれど、眠りこくったら学習も出来なければ、敵が攻めてきてもリアルタイムで対応できないし・・・・・・もちろん、常時敵と戦っている状態じゃないし、あくまでも最適な学習の状態としてだけれど・・・(爆)

 独り言


目的と手段を混同しない

  今日は、エリクソニアンを目指す練習として、ジェフリー・ザイク博士のエッセーを引用して4つの課題を書きましたが[1]、この5つめを書いておきましょう。


5. When you see a new client, after the first five minutes, predict which
hypnotic phenomenon you believe he or she will best accomplish.

 新規のクライアントに向き合った場合、最初の5分が経過したら、クライアントがもっとも上手くやり遂げることのできる催眠現象は何であるのか推測しなさい。


このあたりから少し専門的になってくるわけですが、催眠状態になることで発生する催眠現象について、「The Handbook of Hypnotic Phenomenon in Physiotherapy[2]を参照すると、(トランス状態による)、年齡進行(age progression)/年齡退行(age regression)催眠夢(hypnotic dreaming)、耳を聞こえなくする催眠(hypnotic deafness)、感覚消失(anesthesia )、肯定的/否定的な幻覚(positive /negative hallucination )、記憶増進(hypermnesia) 、カタレプシーによる硬直(catalepsy) などが上げられています。

もちろん、ここで重要なことはクライアントにトランス状態に入って催眠現象を体験してもらうということが目的ではなく、あくまでも、クライアントが抱えている課題を解決したり、思い描いたゴールを達成するためのリソースを発見する手段としてクライアント一人ひとりにユニークなトランス状態、あるいは催眠現象がどのような状態か?を見立てることが重要だということになってきます。


 もちろん、トランス状態はそれぞれ人によって異なっており、ダンスに夢中になっている状態のこともあれば、ランニングハイで上機嫌になっている場合のこともあれば、武道の試合で戦っている時もあれば、夢中で本を読んでいる状態もこの状態に含まれることになります。[3]

 それで、そのクライアント自身にリソースを引き出してもらうためにどのトランス状態や催眠現象がそのクライアントに向いているのか?少なくとも5分間はクライアントを観察して、そのクライアントにもっとも向いている手段としての催眠現象を見立てなさいというのがザイク博士の課題となってきます。

 余談ですが、このあたりのことを、同じミルトン・エリクソンから派生しているソリューション・フォーカスト・アプローチと比較すると面白いことが分かってきます。ソリューション・フォーカスト・アプローチの場合は、トランス状態を使わずにイメージ・トレーニングのようなモードでセッションを進めることになります。

 例えば、年齡進行という催眠状態を使う代りに「ミラクル・クエスチョン」質問をして奇跡が起こった時の状態をイメージしてもらってその時の知覚や心身状態を引き出してもらうような格好になっていますが、クライアントの望む心身状態が引き出せるのだったらこういうやり方はありだと個人的には思っています。もちろん、「ミラクル・クエスチョン」に焦点を当てると年齡進行という面が少し強調されすぎでいたり、あるいは、他のオプションは?と聞かれるとそれしかなかったりするので、こういった部分がエリクソニアンから見た場合は是々非々で議論される場合があります。

もちろん、初学者が下手にトランス誘導をやって、相手のリソースを引き出すための誘導ではなく、単に眠くなったり、不思議な面を強調するよりはよほど有効だと思います。また逆に年齡退行を行う場合は、「The Handbook of Hypnotic Phenomenon」のこのへん[4]を参照していただくと良いように思えますが、この解説によるとクライアントの意識があまりにも未来に向いている場合、それを調整するために使う、云々ということが書かれています。もっと言うと催眠=退行催眠みたいな考え方をしてはいけないということですねぇ。(笑)

 それで、エリクソニアンとしてトランス誘導を使う場合にも、トランス誘導に導くプロセスが千差万別ならば、その誘導によって引き出された状態も千差万別、クライアントの状態によっても色々存在するということになってきます。

それで、エリクソニアンを一言で言えば特定のカタを持たないのがカタということになってくるわけでしょうが、エリクソニアンの技法を使うにしろ、ソリューション・フォーカスト・アプローチの技法を使うにしろ、まずはそのクライアントが One and Only だと見て、その課題も One and Only なら、そのクライアントがリソースを探す心理状態も One and Only と見て見立てをしなさい・・・・という課題のように思えてきます。

 余談ですが、コンサルタントの世界でも「ひとつとして同じ問題はない・・・」と、まずは考えてみる、というのがあるわけですが、自分自身がコモデティ化したコンサルタントとして見られたくないと思ったら、まずは、事実を把握するにしても、問題との向き合い方、解決策の切り口などについては、「過去と同じではないコモデティ化してない何か」を出し続けていく必要があるように思ってきますねぇ。(笑)

(つづく)

文献
[1]http://scholar.lib.vt.edu/theses/available/etd-07282003-160500/unrestricted/thesis7.28.03.pdf
[2]http://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=&id=KvERd9mNci0C&oi=fnd&pg=PR9&dq=hypnotic+phenomenon+definition&ots=f7hRpIff0Y&sig=6fGYlFAZtyPdveEpILtBYqy7wH8#v=onepage&q=hypnotic%20phenomenon%20definition&f=false
[3]http://www.amazon.co.jp/dp/0876304420
[4]http://books.google.co.jp/books?id=KvERd9mNci0C&pg=PA114&dq=age+regression+hypnotic+phenomena&hl=ja&sa=X&ei=KrUgUeqSBMKjkAWpq4GYDQ&ved=0CC8Q6AEwAA


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