2013年2月19日火曜日

エリクソニアンを目指す12の練習(その6)

                               

 ITの世界でよく使われるメタファーを考えると、そのひとつは「集中」か「分散」。スターウォーズじゃないけれど、メインフレーム帝国の一極集中の囲い込みに対して、ユーザを開放するオープン系の分散ゲリラによるレジスタンスみたいな文脈で使われてきたところがあります。それでおいらたちは長い間ゲリラをやって開放運動をやってきたと・・・(笑)。

 もちろん、実務のレベルになるとこんな単純な話に還元できるわけでもなければ、大抵分散しすぎるとまず管理系が破綻するので注意が必要です。それで、帝国軍と開放軍が戦いを続けているうちにお互い進化し、クラウドの時代に突入し、物語は、お互いが休戦協定を結びソフトな帝国主義の時代に戻ったみたいなストーリーで一旦幕を閉じることになります。(笑)

もちろん、「集中」「分散」のメタファーは、カタチを変えた二元論なのですが、認識された何かを区別して物語を語るための切り口としては非常によく出来ている二元論ということになります。

 それで、心理療法家のミルトン・エリクソンを継承する人たちの代表的なメタファーの根底にある切り口は何か?それは、「かたい」か「やわらかい」ということになります。これは言い換えれば、変化という文脈の中で観られる「静」と「動」という区別の方法でもあるでしょう・・・・それで、頑なに信念を持ち続ける、変化に対して柔軟に考えを変える・・・・いつも単純な二元論に還元できるわけでもないけれど、メタファーとしては知覚の感覚も伴った非常に面白いメタファーということになってきます。

 独り言


変化という文脈の中に位置づけられる静と動のメタファーを持っておく

今日は、エリクソニアンを目指す練習として、ジェフリー・ザイク博士のエッセーを引用して5つの課題を書きましたが[1]、この6つめを書いておきましょう。


6. Collect separate stories about human rigidity and flexibility. When
appropriate, tell them to clients.

 人間の「頑なさ(固定)」「柔軟さ(流動)」それぞれ別の物語を収拾しなさい。そして適当な時にその物語をクライアントに語りなさい。


 ミルトン・エリクソンが支援するのはある意味、クライアントの認識や行動の「変化」ということになります。

 もちろん、エリクソンが働きかけるのは主にクライアントの「認識」ということになります。クライアントは認識の変化ができなくて、外的世界の現実についていけていなくて何か問題が起こっている・・・・、それで、この変化に対応できるようにクライアントの認識の変化を支援するといった具合です。

もちろん、エリクソンは間接話法を使っているために、直接「~を変えなさい」「~をしなさい」というわけでもなければ「~を変えてはいけない」「~をしてはいけない」と言うわけでもありません。

そのかわりに、人がいかに頑固な生き物であって、まるで極寒の海に閉ざされて固まった氷のようにその認識や行動を変えることが難しいのか? しかし、熱を加えれば氷が溶けて水に変化するように、何かのきっかけがあればそれが変わり始める・・・。そして、水が冷やされると再び新しいカタチの氷になるように、新しく身につけたその信念や行動をこれまた暫くは頑なに続けることが出来る・・・・という具合にメタファーで語っていくことになってきます。
 
 もちろん、エリクソンの場合はクライアント毎、セッション毎に、今は溶かす時期、今は固める時期という具合に見立てを行なってもっとエッジの聞いたメタ・メッセージが含まれていて気の利いた物語を語るような形式になるのでしょうし、時折、禅問答的なダブル・バインドをかまして、現在持っている思考の枠組から出てもらうようなメタファーになるのだと思いますが・・・・・

(つづく)

文献
[1]http://scholar.lib.vt.edu/theses/available/etd-07282003-160500/unrestricted/thesis7.28.03.pdf

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