2013年2月13日水曜日

エリクソニアンを目指す12の練習(その1)つづき

                                  

 純粋な五感の感覚、つまりアナログな感覚では「花子さんから感じる優しさ」と「太郎さんから感じる優しさ」はなんとなく違うということが分かっていても、言葉、つまりデジタルな記号に変換すると単に「優しさ」ということになってしまうのですよねぇ。

 もちろん、エリクソニアンからすると「クライアントの一人ひとりは One and Onlyでユニークな存在である」という見方をする必要があるのでしょうが、アナログな感覚ではユニークさの違いが知覚されていても、これを言葉で表現する時に月並みな言葉に置き換えるとみんな十把一絡げで One and Onlyで無くなってしまうというパラドクスがここにあるというわけです。もっとも、言葉とはそんなものなのでしょうが・・・・

 だから、主観的には「花子さんから感じる優しさ」と「太郎さんから感じる優しさ」が感覚的に区別されていても、人に言葉で説明する時はそれぞれの「優しさ」は微妙に違うのだよと表現できるレトリックが必要になるのですよねぇ。もっとも、これが書き分けられれば物凄く有能な官能小説家になれるのかもしれませんけれどねぇ。(笑)
まりくいても
 独り言


今日は、「エリクソニアンを目指す12の練習(その1)つづき」について書いておきましょう。

五感で感じる印象をユニークな言葉に変換するのは割りと難しい

  1つ前の記事でエリクソニアンを目指す練習として、ジェフリー・ザイク博士のエッセーを引用して以下の質問を書きましたが[1]、この続きを少し書いておきましょう。


1.For each client, consider the question: What does the person value? Be
specific and write out two or three adjectives per client.

それぞれのクライアントに対してこの質問を考えなさい。「何がその人の値打ちなのか?(その人にしかない値打ちがあるとしたらそれは何か?)」 それを特定してクライアント毎に2つから3つの形容詞で書き出しましょう。


 これは、ある意味、相手から受ける印象をセラピストの主観的な視点で書きだしているような構図になっています。

 もちろん、セラピスト側の視点にも何らかのバイアスがかかっていると思われますが、ここではひとまずそのことについては保留しておくことにしましょう。

 それで、私たちは相手の印象について、最初に五感を使って、見たり、聴いたり、感じたり、香りをかいだりして知覚するというところから始まります。もちろん、これは既に生きられた経験であり言葉になる前の経験ということになるわけです。そして、その経験を言葉で記述して、例えば、「優しそうな感じがする」だとか「正直そうな感じがする」だとか「意志が強そうな感じがする」といったことを言葉で表現します。

 それで、この練習で難しいのは五感の感覚を形容詞に変換していくと、自分が結構なボキャ貧であることに気づくということになります。つまり、五感の感覚では違いを知覚しているのに、言葉に変換した途端に「優しそう」だとか「冷静そう」だとか何人かでこの練習をやっていると実は自分の言葉の表現力は結構ワンパターンだなぁと気がつくことになってきます。

 余談ですが、日本語でやってもボキャ貧なので英語ではその比ではないというわけです。

 それで、知覚と言葉は相互作用するわけであり、せっかく知覚でOne and Only を感じても、言葉で表現できていなかったらOne and Only と認識されていないことにもなるわけですから、エリクソニアンとしては、相手から受ける One and Only の印象を、One and Only の言葉で表現する工夫をしてみるのも面白いのだろうなと思ったわけです。

 もちろん、ここにはメタファーを持ち込んで「まるで、◯◯が△△したような優しさである」と表現したり、言葉の表現辞典のようなものを参考にしてボキャブラリーを増やしたりする必要があるのだろうなと思った次第です。その意味ではジェフリー・ザイク博士の演習は非常に深いですねぇ。 

(つづく)

 文献
[1]http://bscw.rediris.es/pub/bscw.cgi/d4501310/Evans-Hypnosis_Australia.pdf

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