2013年3月1日金曜日

オープン・イノベーションの契約形態をどうするのか?



オープンソース化されたソフトウェアの開発ではないけれど、それぞれの個人が有機的に結びついてまるで一つの生き物のような集団となってイノベーティブな仕事を行うというような状態を考えた時、実際どのように結びついたら良いのかの契約書をつくるにはどうした良いのか?みたいな非常に興味ふかい話になってきますねぇ。

つまり、役割と責任を強調過ぎてもいけないだろうし、自由すぎてもまとまらないだろうし・・・・・具体的にどうやったら参加する集団が有機的に結びついて一つの生命を持った生き物、今日のキーワードだと「Autopoietic Ideal We」みたいになるの、といった・・・・なんかエナクティブな認知科学の話になって Sexyな話になってくるのですよねぇ・・・・・

 独り言


個々人が一つの生き物のように振舞ってイノベーションを起こすための契約書

 今日は、本業のほうのお話を少々、The Oxford Handbook of Project Management」という文字どおりプロジェクト・マネジメントの体系についてまとめられているハンドブックがあるのですが、この中に収録されている「Innovating the Practice of Normative Control in Project Management Contractual Relations[1]というタイトルのエッセーが個人的には非常に面白かったので、これについて少し書いておきましょう。

 プロジェクト・マネジメントと言えば通常はPMBOKなどのある程度体系化されたグッドプラクティスのプロセス集を思い起こす方も多いと思いますが、このハンドブックは比較的先端にいる個々の研究者のエッセーが収録されているような形式になっていて結構尖った感じのハンドブックになっていると思います。

 それで、個人的に、PMBOKで定義されているところのコントロール(Control)について、認識論や行動科学的な視点からの意味をイマイチ掴みきれていないところがあるわけですが、これについて少し心もとないということを前提として書いておきましょう。

 それで著者は、プロジェクトの契約について大まかなパターンとして以下の3つの形態を取り上げていますが、個人的に面白いなと思ったのは表の真ん中にある「Autopoietc Ideal We」という考え方です。これは、(おそらくルーマンの)社会システム論的なオートポイエーシスを引用して、オープンソース的なイノベーションを志向した集団の契約をどのようにしたら良いかと考えている点だと思います。ある意味、日本の契約書にありがちな「問題が起きたらお互いよく話し合って善処する」みたいな内容になっています。

 余談ですが、左のメガアライアンスは大手の企業が合併したイメージで、相手の文化や習慣が違っても寛容な感じでマネージメントしようというイメージ。右端の伝統的なやり方は、一昔前UNIXのカーネルのソースを見たら10年間はOSの開発に関わることができないと言った契約を結ばされた時代を彷彿させる厳密な管理の元知財の流出を防ぐような志向で契約が取り交わされるイメージになっています。もちろん、現在でも軍需系のシステムなどはこのような感じでしょう。

表をざっくり要約すると以下の感じ

メガアライアンスからの観察
説明的な契約:総観的コントロール
伝統的な理論と実践:総括的なコントロール
契約企業間の関係
・マネージャは絶え間なく共通の「我々(We)」を参照する
・誰がどの企業を代表するのかを区別するのが難しい
ALTが継続する限りタスクと関係性をつくる





バリエーションとインシデントのハンドリング
・失敗はトーンダウンされる
・説明は「複雑な状況が強引に解決される救いの手」から行われる
・原因はそのままにされ、責任は結果的に共有される、ペナルティや
コストは特定の会社やチームに転嫁されない

・予期しないコストは割り勘

イノベーションと開発

パートナー間では知財を共有、潜在的な競合は排除される
オートポイエティックに理想的な我々(We)
・共有されたロールモデルが承認される
・個人的なパートナーの代りに、「集合知的な我々」がアライアンスに基いて行動する
・アライアンスはコンテクスチャルな論理的、つまりコラボレーションがコラボレイティブな仕事を継続できるという理由により開発される

協調による安心感と仁愛による行動

・すべてのことは説明できてコントロールできるという考え方を手放す
・アクターは懐古的な原因分析の必要性から開放される
・失敗から学ぶという傾向は最小化される
・コストのコントロールは潜在的に善意に基いて行われる


オープンソース・イノベーション:
・オープン・イノベーションに対する勇敢さが共有される
アクターの個人的な興味に基づくゆるい欠漏
・構築プロセスを通して組織の契約が区別される
・プロジェクトは契約に従って継続される
・アクターと項目の関係は契約書と仕事の内容に従う




不履行の場合の罰が存在する
・関係を保つために契約の内容が用いられる
・ペナルティとコストの負担が従来の方法で分配される
・ミスをすると高くつく、明示的な係争場合により弁護士の介入がある
・追加のコストはプロジェクト・マネジメントの論理に従属する



知財の保護

知財の保護に基づく保護主義

もちろん、どの状況に適用するのか?ということがあるために、一概にどれが良いとは言えないところがあるわけですが、これはこれで面白いところがあるように思ってきます。

(つづく)

文献
[1]http://books.google.co.jp/books?id=xzqCToC4QVAC&pg=PA423&dq=autopoietic+ideal+we&hl=en&sa=X&ei=wUEuUb6wBMickQWBz4Fg&redir_esc=y#v=onepage&q=autopoietic%20ideal%20we&f=false

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