2013年3月14日木曜日

ミルトン・エリクソン:エリクソニアンの哲学

                                  

 「ドラえもんの鉄がく」と「エリクソニアンの哲学」はどう違うのだろうねぇ~(笑)。

 独り言


エリクソニアンの哲学

 心理療法家のミルトン・エリクソンは自分の技法について形式知を全くといって良いほど残していないため、彼の技法をはじめ、その哲学はその弟子や研究者によってあくまでも推測されたものである、ということを前提に今日の話しをはじめましょう。

 で、エリクソンが形式知を残していないというのは、エリクソニアン鬼十則のような「~しなければならない」とか「~してはいけない」といった格言みたいなことを残していないということにもなります。(笑)もちろん、そういうことを定義すること自体が状況を考えずにいつも物事を固定化して見ることにつながりますから、あえてこういうのを残していない意図を考えるというのは非常に重要だと思います。

で、その弟子や研究者がエリクソンの背中を見てどういう哲学で彼は心理療法を行ったのか?を推測したエリクソニアンの哲学的な位置付けについて書かれた「The Philosophical Position of the Ericksonian Psychotherapist[1]というエッセーを読むと非常に面白いところでもあるわけです。

もちろんエリクソンは特定のカタを持たないというカタを持っているわけであり、その技法は「上善水の如し」といった感じで状況に合わせてそれ自身が柔軟に変化するという特徴を持っているわけです。その意味では、その哲学は「特定の技法がいつも有効ではなく、状況に合わせて変化させなさい」というような感じになるわけですが、こういうことを頭にいれて読むと非常に面白いエッセーのように思ってきます。

 これを簡単にサマっておくと、以下のような感じになります。
 
1.      楽観主義者でも悲観主義者でもなく現実主義者であれ。開かれている最適な扉を通じてクライアント支援しなさい。
2.      セラピストはクライアントの変化が起こりえる環境をつくることである。変化を起こすのはあくまでもクライアントである。
3.      セラピストはクライアントの言葉で話しなさい。それ以外はない。
4.      あなた自身の痛みをあなたの師としなさい。
5.      あなたが変えることができない事を受け入れなさい
6.      人の振舞いを観察しなさい。そして、それを観察しその状況に合わせて介入しなさい。何かの理論に囚われてはいけない。
7.      セラピストは神ではない、単なるガイドである。
8.      セラピストは答えを与える必要はない。セラピストは心を開いて物事を見る手伝いをするだけである。

 このあたりは、「セラピスト」という言葉を「リーダー」や「経営者」と置き換えても、「コーチ」と「コンサルタント」と置き換えても成り立つと思うようにも思ってきます。もちろん、経営者の場合は、クライアントが顧客や市場や利害関係者となるのでしょう。また、コンサルタントの場合はちょっと細かい話になるけれど単におしゃべりしているだけじゃなくてクライアントために手を動かして何らかの成果物をつくる必要があるのでセラピストやコーチとは違うのだけれど、エリクソニアンの哲学みたいなところは共感するなぁと・・・

 余談ですが、世の中よくエリクソンの技法だけを捉えて、「人を動かす」とか「一瞬で心が変わる」とか、はたまた「人を操る」とかアホなことを言っている連中が絶えないわけなのですが、暗黙知しか残していないエリクソンの技法に自分の願望を投影した格好になっているのですよねぇ。まぁ、ミルトン・エリクソンは鏡みたいなものですから、自分の本来の姿を投影してしまう格好になってしまっているのに気づかない人が多いので注意が必要ですよねぇ。もっとも、傍から見ている滑稽ですし、こういった認知の歪はエリクソニアンとしてはユーティライゼーションとして活用できるので、これはこれで良しとしましょう。(笑) まぁ、昔から「なんとかとハサミは使いよう(ユーティライゼーション)」という格言がありますし。(爆)

(参考)


(つづく)

文献
[1] http://micheleritterman.com/Ten%20Points%20Ericksonian.pdf

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