2013年5月27日月曜日

ダブル・バインドにはご用心(その4)

                               

 心理療法家のミルトン・エリクソンの研究をする場合は、ベイトソンの「Theory of Mind」のような視点を持っていないと、「潜在意識ガァ~」と叫ぶだけで実際自分が何をやっているのか?メタ視点で観察できない催眠バカみたい人が出来上がることになるように思います。(笑)
  
独り言


意識-無意識のダブル・バインド

  心理療法家のミルトン・エリクソンはその言語パターンで「無意識」について言及しているところがありますが、ある意味このコトバは方便として使われているようなところがあり、エリクソンから「無意識」のメカニズムがどうだこうだと詳細に説明されるようなところはほとんどありません。

  従ってウィツェンフォファーのような同時代の研究者が、エリクソンは無意識についてこういった考え方を持っていたのだろう、と推定することに留まっているという具合です。[1]


Erickson believed that the unconscious mind was always listening, and that, whether or not the patient was in trance, suggestions could be made which would have a hypnotic influence, as long as those suggestions found some resonance at the unconscious level. The patient can be aware of this, or can be completely oblivious that something is happening. Erickson would see if the patient would respond to one or another kind of indirect suggestion, and allow the unconscious mind to actively participate in the therapeutic process. In this way, what seemed like a normal conversation might induce a hypnotic trance, or a therapeutic change in the subject. According to Weitzenhoffer, "[Erickson's] conception of the unconscious is definitely not the one held by Freud."

  無意識のマインドはいつでも声を聞いていて、患者がトランスに入っていてもいなくても、暗示が無意識のレベルで何らかの共鳴を起こす限りにおいて、催眠的な影響を及ぼす暗示が可能である、とエリクソンは信じていた。患者はこの共鳴に気づくことも出来れば、起こったことを完全に忘れることもできる。エリクソンは患者が一つの暗示、あるいは別の間接暗示に反応することが分かっており、クライアントの無意識の心を治癒のプロセスに積極的に参加させるようにはからった。このようにして、一見普通の会話で催眠的なトランス状態に誘った、もしくは主題について療法的な変化を起こした。ウィッツェンフォファーによれば「エリクソンは、フロイトが言った無意識とは明らかに違う無意識の概念を持っていた」とされている。


   それで、比較的有名な意識―無意識のダブル・バインドのパターンがあるわけですが、個人的にはクライアントの視座をあえて2つに割ってベイトソンの言う二重記述をしてもらっているパターンなのだろうなと考えています。余談ですが、これは別にコトバとしては意識―無意識ではなくても極端な話、「ケーキは別腹」のようにお腹―別腹のようにクライアントの視座を2つに割ることが重要のように思えてくるわけです。

  それで、エリクソニアン国際会議で配布された資料[2]の中に目的別に意識-無意識のダブル・バインドが紹介されているので少し書いておきましょう。(訳は適当)


Beginning orientation: The conscious mind may be curious about how your unconscious mind is beginning to work toward a solution.

開始のオリエンテーション:「意識は、あなたの無意識が解決に向けてどのように動き出したかについて興味を持っているのかもしれません。」



Developing Trance: Your conscious mind may think you desire or need one level of trance while your unconscious mind develops the proper depth of trance.

トランス状態を発展させる:「あなたの意識は、あなたの望むもしくは必要とするあるレベルのトランスについて考えているかもしれません、一方、あなたの無意識は適切なレベルのトランスを発展させます。



Arm levitation: Your conscious mind may not notice how your unconscious will raise your arm up to your face.

腕浮揚:「あなたの意識は、あなたの無意識が腕をあなたの顔の高さまでどのように浮揚させるのか気づいていないかもしれません。」


Age regression: Your conscious mind can recall some important early experience while your unconscious mind develops a reliving of it.

年齡退行:「あなたの意識は昔の重要ないくつかの経験を思い出すことができます、一方、あなたの無意識はそれを再体験することを発展させます。」



Learn from experience: An unconscious learning from the experience may be developed in the conscious mind as well.

経験からの学び:「経験からの無意識の学びは、意識の中でも同じように発展させられています。」



Use learning after trance: Your conscious mind might already have some ideas of where you will use this while your unconscious handles the job of doing it correctly.

トランスの後、学びを用いる:「あなたの意識はどのような場所で使われるのかが分かったいくつかのアイディアを持っているでしょう、一方、あなたの無意識はそのアイディアをどう正確に使うかという仕事を処理しています。」


  ここで、トランス状態がどうのこうのと考えると本質が見えなくなってしまうのですが、ここでのパターンとしては、無意識が(に)行なっているプロセスとしての行動に対して、メタの視点を立てて意識にメタ認知してもらっているような格好になっていることが非常に重要なことのように思ってきます。このパターンは優秀なコーチが使っているパターンにも共通するところがあるようにも思ってきます。もちろん、これが分かっていないとコーチとしては話にならないというレベルなのかもしれませんけれども。(笑)

(つづく)

文献
[2]http://www.ericksoncongress.com/IC10/HandoutCD/Presenter%20Handouts/Lankton/Lankton%20suggestion-binds%20handouts.pdf

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