2013年5月29日水曜日

ダブル・バインドにはご用心(その6)


 ミルトン・エリクソンのリバース・セット・ダブル・バインドって、

親の「だいたいお前なんか頭が悪いんだから勉強なんてする必要なんてないんだよ」に対して、子供が、親に反抗したいだけのために一生懸命勉強して、ものすごく勉強ができる子供に育ってしまうみたいなある意味パラドキシカルな面白さがあるなぁ~(笑)と思います。

もちろん、親は、子供が反抗しながらも勉強したくなるという状況設定は行う必要があるわけで、これが反社会的な行為に向くと単に暴力を振るう不良になっちゃいますからねぇ~
  
独り言


リバース・セット・ダブル・バインド

今日は、リバース・セット・ダブル・バインドについて少し書いておきましょう。

このダブル・バインドについては、幼年時代のミルトン・エリクソンが牛舎に入るのを嫌がる牛のしっぽを反対側に引っ張って牛を牛舎に入れたというエピソードで語れることが多いわけですが、ある意味、短期療法におけるパラドキシカル・アプローチの原型になっているパターンでもあるわけです。


それで、エリクソンはダブル・バインドの言語パターンをその状況設定と併せてほとんど手なりで使っていたところがあるわけですが、この暗黙知にサイバネティスクやラッセルーホワイトヘッドの論理階型理論をあてて、こころの理屈をつくり出し、そのものさしを当てて形式知としてこのダブル・バインドのパターンを取り出したのがベイトソン・グループの功績と言っても良いでしょう。もっとも、ベイトソンを始め、研究が進めば進むほど、なぜか、エリクソンのパラドキシカル・アプローチと禅との共通点が発見されるようになったのも不思議なところのように思えてきます。

それで、Complete Works に以下のようなエピソードがあるのですが、少し引用しておきましょう。[1]
もちろん、このあたりの面白さは、英語を真面目に読んでも見えてこないところがあり、少し斜めにかまえてそのユーモラスなアプローチを楽しむような余裕が必要ではないか?と個人的には考えています。


ある日、わたしの子供のひとりがディナー・テーブルの上のほうれん草を見てこう言った「ぼくは、ほうれん草を使った料理なんて食べるつもりはないからね」。

わたしは、息子の言うことはもっともだと思って「もちろん食べなくてもいいよ、おまえはまだ十分な年齡でもないし、体も十分に大きくないし、まだ十分強くもないだろう」と言った。

実はこれが、息子の反抗を弱め、ほうれん草を欲しがるようになるダブル・バインドである。

妻は、息子がほうれん草を食べるには「十分な年齡で、体も十分に大きいし、十分強い」というようなわたしとは反対の立場を取っていてしばしば口げんかの原因にもなった。

息子はと言えば、もちろん、妻と同じ立場だった。

そこでわたしは最終的にティースプーンの半分のほうれん草を食べさせるという妙な妥協案を示すことになった。(※態度は真剣だけれどもある意味小バカにしているような提案-笑)

「ティー・スプーン半分のほうれん草を食べるというのはどうだろう?」

妻と息子はこの提案には不満な様子だった。「・・・・・・・・・・」

そこで、息子にお皿に半分のほうれん草を食べさせることにした。

「では、お皿に半分盛られたほうれん草を食べてみるというのはどうだろう?」

息子は出来る限り速くほうれん草を食べ、大きな声でオカワリと言うことが出来た。

わたしは、「お前まだ食べるの?」といった態度をとったのだけれど、妻は息子に満足な様子だった。

わたしはしぶしぶ「はいはい、お前はわたしがおもっていたより十分強いです・・・・」と息子を認めることになった。それが今ででは息子が自分で見ることのできる新しい視点を与えることになった。

わたしは息子の自己イメージを変えるように直接要求したわけではないが、間接的に自己イメージの変化が起こっている。

つまり、1)息子に、わたしと妻との口論の中で同じ行動に対して2つの見方があるという視点が提供された、2)さらに、わたしが息子の成長に対する承認を出し惜しみすることで、行動の変更が行われる。間接的アプローチの要点は、主体が自分で適切な選択ができるような環境を整えることを容認することである。


ちなみにエリクソンのダブル・バインドの構図をベイトソンがラッセルーホワイトヘッドの論理階型理論を援用して構築した「Theory of Mind 」で説明できると東大院の入試くらいのレベルになるらしぃです(笑)。以下の「母親とほうれん草とアイスクリーム」のお話ですねぇ~。


(つづく)

文献
[1]http://www.amazon.co.jp/dp/0971619034/

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