2013年6月2日日曜日

ダブル・バインドにはご用心(その9)

                               

 意図的にせよ、意図的でないにせよ、ダブル・バインドを仕掛けられたら、上手にダブル・バインドを解く方法が分かっていないとコミュニケーションは辛いですねぇ。(笑)

独り言


日常生活でのダブル・バインド

  今日は、ベイトソンのダブル・バインドとエリクソンのダブル・バインドは保留しておいて、もうすこし実践という点からダブル・バインドを考えてみましょう。

  相手に対する何気ない一言の中にダブル・バインドが含まれることがあります。これが結構、コミュニケーションをややこしくし、人間関係を難しいものにしている場合があります。

例えば、以下のような質問です。

また、失敗を繰り返すのですか?

 ここでの状況設定は少し複雑です。本人はあまり触れて欲しくない話題として、過去の失敗をウヤムヤのうちに終わらせようとしているとします。そして相手から上のような辛辣な質問が投げかけられるような場合です。

  次に、本人が条件反射的に「NO!今度は必ず成功します」と強く肯定すればするほど同様に過去の失敗を認めるループに陥ってしまうことになってしまいます、あるいは将来のことについてやらなくても良いことまでコミットメントさせられるハメになることも考えられます。一方、「YES! 失敗するかもねぇ」と言えば、過去の失敗を認めると共に、将来の成功についても、最初からやる気がないといって怒られるような状況になってくるわけです。

  つまり、その質問に、YES と答えても NO と答えても、本人にとってはどちらも好ましく内容な状況が生まれるという意味では上のようなダブル・バインドのような質問というのは非常に厄介なものです。

もう一つ例を上げましょう。

何時になったら私たちのチームを助けてくれるのですか?

例えば、ここで想定しているのはプロジェクト・マネジメントのような状況です。

  この例も、「YES!来週からでよいでしょうか?」のような回答をすると、今まで支援する必要があったにも関わらず、支援していなかった非を認めることになってきます。反対に、「NOいいえ、支援することは出来ません」と言えば、かなり強烈な拒絶のメッセージと共に交渉決裂ともなりかねないような状況ということになってくるわけです。ですから、この質問もダブル・バインドであり真面目な人は固まってしまうような状況が生まれてしまうという具合です。

 さて、上のセリフを考えてみると、これが統合失調症の原因仮説とされているダブル・バインド(Schizophrenic Double Bind)の典型的なパターンです。つまり、「◯◯をしたら、お前を罰する(非を認める)、◯◯をしなかったら、お前を罰する(非を認める)」となります。結局、何かを行なっても行わなくても罰せられる、あるいは不都合な結果が予想されるということになっているわけです。

一般的にはこの種ダブル・バインドの質問は以下のような形式になってきます。


クローズド・クエスチョン

よろしくない状況を仮定 + それが起こる頻度について質問する


  
 ではここで、ダブル・バインドに陥れる質問に対する受け答えを考えてみましょう。

 結論から言うと、ダブル・バインドに対する答えは、YES/NOで脊髄反射的に答えるのではなく、オープン・クエスチョンで相手の質問から推測される前提、つまり何を仮定しているのか?問うような質問で確認を行うということになってきます。例えば、

また、失敗を繰り返すのですか?

に対して、「前回が失敗だったということをどのような基準で評価されているのでしょうか?」や「今回もその基準で判断されるのでしょうか?」と言った具合です。

何時になったら私たちのチームを助けてくれるのですか?

 については、例えば、「今まで助けていなかったことはないつもりですが、助けるとは具体的にどのような基準で判断されているのでしょうか?」といった具合です。

  それで、出だしがダブル・バインドの質問になっていても、案外上手く受け答えすることでより深い前提にたどり着くこともできるため、こういったコミュニケーションはこれはこれでありのように思ってきます。

(つづく)

文献
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