2013年6月25日火曜日

MRIベイトソン・グループの系譜:ミラノ派(その2)



 家族療法的なことを学ぶと、ある人がものすごいパフォーマンスを発揮しているとして、その人個人の能力なのか?あるいは人間関係やその状況が本人にその能力を発揮させているのか?判断に迷うことがありますねぇ。

 もちろん、ものすごく出来が悪い場合も同じことを考えたりするわけですが。人間関係や状況がパフォーマンスに悪影響を与えている場合は、個人的な能力を鍛えてもあんまり意味が無いのが悩ましいところですねぇ・・・・・・・・だから、状況を選んだり、人間関係に介入する理由がここにあるわけです。
 

 独り言


円環的質問

 ミラノ派の提唱している円環的質問の背景にある理論を考えると色々面白いことが分かってきます。[1]

 まず、この前提として人類学者のグレゴリー・ベイトソンの著作「精神の生態学(Steps to an Ecology of Mind)」に書かれていた純粋な認識論として、円環的因果関係、二重記述、共進化という概念があります。

ミラノ派の質問はこの概念を演繹的に適用して質問をつくり、そして臨床で試してみた、という格好になっています。

 それで、最初は、円環的因果関係。これは人間の認識や行動、あるいはコミュニケーションを取り扱う場合、必ずしも原因→結果という直線的因果関係で成立しているものではありません。余談ですが、ここで言う直線的因果関係とは「風が吹けば桶屋が儲かる」で言われている出来事の連鎖を思い出していただくと良いでしょう。

では、どのように考えるのか?




 これを、比喩で言うと自分の尻尾を加えているウロボロスのヘビのようにどこが頭でどこが尻尾なのかの区別なく、原因⇔結果が円環的に相互作用しているような因果関係になっているような場合です。これを図で表すとピーター・センゲ著「最強組織の法則」で紹介されていたシステム・アーキタイプのような要素と要素が円環的因果関係で繋がれている図を思い出していただくと良いと思います。





 次は、二重記述です。これは2つの視座からそれぞれ観察して、それぞれの視点から記述をしてその違いを明示してみるやり方です。ミラノ派の質問の場合は、現在、過去、未来、のように時系列における視点を変えたり、あるいは、自分と相手の立場からそれぞれ観察、記述してみたりすることになります。基本的にはベイトソンの言う「A difference that makes a difference.」のように2つの要素の差異から1つの情報が生まれるのと同じ理屈で何らかの気づきが生まれるようなことが起こります。

 三番目は、共進化、これはコミュニケーションの相互作用を通してお互いが学習するような状態を表しています。イメージ的には以下の絵のように円環的に相手を明示すればするほど自分も明示されるような状態と言えるでしょう。




 それで、上のようなことを考えながら、「The evolution of circular questions [2]という論文を読んでいたわけですが、結構、円環的質問が、ベイトソンの理論に即して創られているのが分かって面白いなと思っていたわけです。

(つづく)

文献

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com





0 件のコメント:

コメントを投稿