2013年6月26日水曜日

MRIベイトソン・グループの系譜:ミラノ派(その3)



 ある人の振舞いというのは、その人を取り巻く人間関係の動力学で決まるようなところがあるわけです。

 で、その人が問題の振舞いを始めた場合、その人自身に問題があるのではなく、その人を取り巻く人間関係の動力学がそうさせている・・・と考え・・・そこにベイトソンの理論的背景から生まれた円環的質問で介入するというのがミラノ派というわけですねぇ。

 それで、個人的にはこういったアプローチは日本にとてもマッチしていると思っていて、家族の人間関係から職場の人間関係・・・という具合にその応用範囲は非常に広いのではないかと考えているわけです。まぁ、ある意味とっても真っ当なアプローチですねぇ。逆に言うと、個人の能力だけ鍛えれば・・・という自己啓発をまったく信用していない理由がここにあるわけですねぇ(爆)。

 独り言


円環的質問の例

 いちおう個人的にはなんちゃってベイトソニアンであり、なんちゃってサイバネティストなコンサルタントなので物事や組織をシステムと考えるやり方は非常に好みです。(笑)

それで、ベイトソンの理論を使った短期療法・戦略的家族療法の一派であるミラノ派の提唱している円環的質問の例についてエッセーを読んでいたわけですが、今日はこれをご紹介しておきましょう。[1]

 このエッセーでは3つの事例が紹介されています。

 最初の例の状況設定はこんな感じです。

10歳の男の子。半年前に母方のおじいさんが無くなり、母親が弟を出産した後、突然、喚き散らし、そして身の回りのものを壊すようになった。母親は実父の死による落ち込みから新しく生まれた弟に愛情を注ぎ込むことになる。この10歳の男の子も好きだったおじいさんが亡くなったことに落ち込み、さらに、母親が自分にかまってくれなくなったことに落ち込み、そして父親は仕事で忙しく中々この10歳の男の子の話し相手になってくれない、という具合です。

 それで、具体的にこの10歳の男の子の振舞いがどのようなシーケンスで起こるのか?を明らかにしていきます。

1.     母親が弟に授乳している。
2.     10歳の男の子は母親に宿題を手伝って欲しいと頼む。母親は待つように言う。この子はだんだんむかついてきて「お母さんなんて大嫌い」と言う。
3.     母親はもっと落ち込んで、弟をかまうようになる。10歳の男の子の要求に圧倒される。
4.     10歳の男の子は母親に本を投げつける、弟に当たりそうになる。腹を立てて落ち込む。
5.     母親は弟を連れて別の部屋に退避、父親に電話をかける。
6.     父親は電話で、「子供のしつけはお前の仕事だ」「今日は飲み会で遅くなる」と言う。
7.     母親は電話を切ると、どうして良いかわからなって泣き出す。弟と一緒にその部屋にこもる。
8.     母親がおむつをとりに部屋から出てくる時、ことは沈静化している。

それで、母方のおじいさんの死と弟の誕生という家族関係の動力学の変化をきっかに家族システムに新しいパターンが形成されたところがあるわけですが、この家族システムを構成するメンバーそれぞれにどのような円環的質問で介入していくのか?の概要についてはこのエッセーを読んでいただきたいと思うわけです。(笑)

 それで、会社などでも社員を家族のようなシステムと考えてこの事例のような対処が出来るようになると、いわゆるブラック企業というのも随分減ってくるのだろうなぁと考えてはいるわけです・・・・・・・・
(つづく)

文献
[1]http://www0.health.nsw.gov.au/resources/mhdao/pdf/TheClinicianVolume2Issue1Courage&Depression_50-54.pdf

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com






0 件のコメント:

コメントを投稿