2013年6月19日水曜日

ソリューション・フォーカス vs.システミック・アプローチ



 人類学者のグレゴリー・ベイトソンがグノーシス派の哲学を援用して、無生物の世界をプレローマ、生物の世界をクレアトゥーラという具合に一旦この間に線を引いたわけですが、案外これが深いところに入ってくる場合があります。

 例えば、一般的なビジネス上のコンサルティングなどでも、人手の介在しないコンピュータのシステムの構築とか保守とかといった無生物の世界はプレローマの世界ということになるわけですし、人や組織に関係性する課題を扱う生き物の世界はクレアトゥーラとなるわけで、それぞれアプローチを変えないと上手くいかないことが分かってくるわけです。

もっとも、コンピュータのシステムも機械と利用者の間、つまり無生物と生物の世界が相互作用するようなシステムを扱う場合は適時適切な方法を適用しなくてはいけなくなるために一層ややこしくなってくるわけですけれどねぇ。(笑)

 独り言


ソリューション・フォーカスト・アプローチとシステミック・アプローチとの比較

 以下のリンクでも書いていますが、プレローマの世界では原因分析の思考、クレアトゥーラの世界では解決思考という具合に問題解決に対する思考を使い分ける必要があると思います。


 つまり、製造業などで、ラインで製造される製品の品質にばらつきがある、とかコンピュータシステムのネットワークが障害で停止した、というような対象が無生物の場合は最終的にはその原因を「なぜ、それが起こったのか?」のように追求していかなければならないという具合です。

 しかし、人の認識や振舞いが対象の場合、例えば営業(活動)のような生物を対象とする場合は、「なぜ売れていないのか?」をいくら分析してその原因仮説をヒックリ返しても売れるということにはならないため、解決に焦点を当てて、「今、売れているのは何か?」「どのようにしたらこれをもっと売ることができるのか?」のように解決に焦点を当てないと上手くいかない場合も多いということになってきます。

 つまり、簡単にいうと対象が無生物の問題なのか、生物の問題なのかでアプローチを変える必要があるわけです。で、このブログでは生物を対象としたアプローチとして短期療法のアプローチを研究しているところがありますが、その成り立ちとして、心理療法家のミルトン・エリクソンの暗黙知でしかない技法を、人類学者のグレゴリー・ベイトソンが形式知化した短期療法の流派については以下のリンクで書いたところです。

 
 それで、欧米では特に、生き物である人や組織を対象にした問題や課題に対して短期療法から派生した方法論を使ったらどうか?という活動があるわけです。それで、ここからが本題になりますが、「Is SF a Systemic Approach?[1]という個人的には非常に興味深いのですが、とてもマニアックなエッセーがあります。それで、このリンクから PDF ファイルが無償で読めるようになっています。

 それで、ここではビジネス上の組織や人の課題について短期療法の一派であるソリューション・フォーカスト・アプローチで解決することを想定しているわけですが、このアプローチはエリクソニアン・アプローチやMRI、戦略的家族療法と比較してどこが違うのか?考察されている点が非常に面白い点です。

 もちろん、ソリューション・フォーカスト・アプローチの違いとMRIに代表されるようなシステミック・アプローチの違いは、CBTなどの流派から見ると同じに見えるのかもしれませんが、このエッセーの結論からすると、やはりソリューション・フォーカスト・アプローチとは違っていますよねぇ、と以下に上げるような細かい視点の違いから考察されていることになります。

 類似性

・義務論の視点から
・実践者の立場から
・顧客志向+ゴール志向
・リソースの方向性

理論
・その歴史
・問題の因果関係を探らない/原因分析をしない

実践
・疑問点
・行動/試行
・文化の視点から

相違点
・義務論の視点から
・システム論の違い
・構成主義/構築主義の違い
・エナクティビズム/表象主義
・歴史

実践
・同質/異質
・実践の要素
・疑問点
・その形式
・文化

 もっとも、個人的にはビジネスのコンテクストでも必要に応じて、エリクソニアン・アプローチ、MRI、ソリューション・フォーカスト・アプローチなどを無意識に使い分けているようなことを行なっているわけですが、本当に重要なのは、そもそも論として無生物に対するアプローチと人の認識や振舞いのように生物に対するアプローチを分けることではないのか?と思っているところでもあるわけです。

(つづく)

文献

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