2013年7月11日木曜日

言霊と一般意味論



 「言霊」の定義からすれば、「ある言葉を唱えることによって、その言葉の内容が実現する」ということになるわけですが、これは認識主体が持っている信念・価値観の類であって、科学的な視点からすれば当然、言葉と物理的な現象の間には何ら因果関係が存在しているわけではありません。

しかし、「言霊」という文化や価値観が存在している国に生きている以上、コミュニケーションを通して「言ったことは実現する」という信念を刺激して、誰かの認知や行動に何らかの影響を及ぼしているということはあるのでしょうから、認知科学や人類学的な視点からするとこれはこれで考えておかなければいけないことなのだろうなぁと思っているわけです・・・・・そう思うと案外面倒臭い国に住んでいるわけですよねぇ(笑)。

 独り言


言霊を一般意味論的に説明すると「地図」は「領土」を実現する・・・・

井沢元彦著の「言霊」[1]に以下のような言霊の定義がしてありました。



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 コトダマとは何か、一言で言ってしまえば、それは「言葉と実態(現象)がシンクロする」「ある言葉を唱えることによって、その言葉の内容が実現する」という考え方のことだ。もっと簡単に言えば、「雨が降る」と言葉を口にすれば、実際に「雨が降る」という考え方のことである。
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それで、日本で厄介なのは、冗談で「雨が降る」と言ったら、本当に雨が降って何らかのイベントが中止された場合、結構、真顔で相手から「お前が、雨が降ると言ったから本当に雨が降ったじゃないか!!」と追及されることになるのがこの言霊の問題点のひとつなのでしょう。

もちろん、科学的には、言葉と気象には何の因果関係も無いことは言うまでもありません。

 それでも、この文化や日本人が少なからず持っているこの「言霊」を外国人にどのように説明するか?と考えた場合、どういったスキームでどのように説明するのがしっくりくるのだろうか?と考えるとこれが結構難しい課題のように思ってくるわけです。

 それで、個人的には困った時にはとりあえず一般意味論のスキームで日本人のコミュニケーションにおける言霊と説明してみたらどうか?といったことを考えるわけですが、Google 先生に聞いたら丁度手頃なエッセー「The Word "is" The Thing: The "Kotodama" Belief in Japanese Communication.[2]を見つけたというわけです。

 繰り返しますが、科学的な視点からすれば、「ある言葉を唱えることによって、その言葉の内容が実現する」というような言葉と実現されることの間に因果関係が存在するわけはないのですが、こういった信念を持ったもの同士が日常生活でコミュニケーションを行った場合、言霊的な発言が「言ったことは物理世界で実現する」という信念にどのように働きかけ、これがこの認識主体の人の認識や行動にどのように影響を及ぼすのか?一般意味論的に考察されているのがこのエッセーの面白いところだと思うわけです。


 で、個人的には井沢元彦氏の定義する「言霊」と山本七平氏の定義する「空気」は個人的な研究テーマの一つでもあるわけですが、両方共一般意味論の枠組みを導入して人間コミュニケーションの特に意味論や語用論の視点から見てみると面白いのだろなと考えている今日この頃だったわけです。もちろん、最終的には心理療法家のミルトン・エリクソンのように「言霊」と「空気」を認識論的なバイアスとしてユーティライズするところを目指しているわけですが(笑)。

 
(つづく)

文献
[2]http://www.thefreelibrary.com/The+Word+%22is%22+The+Thing%3A+The+%22Kotodama%22+Belief+in+Japanese...-a081136203



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