2013年7月13日土曜日

ネオ・エリクソニアンたちのマインドフルネス



 週末のすし屋のカウンター。

 「中トロです」という大将の声を聞いた直後、カウンターに握りたての中トロが配置される。その赤と白の物体に目を凝らすと、自然と胸が高鳴る。

ゆっくりと手を伸ばして、ちょいとそのすしを摘む。重さと感触を確かめながら裏返して醤油を塗り、口の中へ放り込む。

 柔らかなトロが口の中で溶けていく感触を味わっていると、わさびの香りがツンとアクセントを添える、そして、舌の上でシャリが弾け、なんとも言えない食感が広がる。

 そして、その味は口の中で混ぜ合わされ、喉を通って胃袋へ消える・・・・

 こんな時、今週経験した仕事のことを振り返ることもなければ、来週に控えた大きな提案に想いを巡らすこともない。

すしを楽しんでいる時、自分自身は、ここにある感覚を主体として感じとり、またそれを観察者として観察していることが同時に進行している。これは、まさに今ココだけにあるマインドフルネスな状態なのである。
 
 独り言


ネオ・エリクソニアンたちのマインドフルネス

今ココで起こっている五感で認識された事実をコトバの力を借りながら描写することを試みてみましょう。

例えば、「私は今、梅干しを舌の上で転がしていて、舌でその梅干しの表面の感覚を感じています・・・」と描写してみましょう。

五感で感じている今ココで起こっている事実をコトバで復唱することで、なんとなくの感覚が意識化され、その感覚を味わっている経験している自分に加え、ここにその経験を観察している観察者としての自分が出現することになります。

余談ですが、一般意味論ではコトバは神経系にフィードバックを与えることを神経言語フィードバック( Neuro-Linguisitc Feedback)と定義していますが、観察者としての自分が経験している自分に声をかけることで、この経験のやり方自体に対して何らかの影響を与えることが神経言語フィードバックでもあるわけです。

それで、このように今ココで起こっている感覚をコトバで描写することで私たちは難なく今ココで起こっている事実に目を凝らしたり、耳を澄ませたり、体感覚を開いたりということが出来るようになるわけです。

さて、今日はこういったことを枕に2つのプレゼンテーション資料をご紹介しておきましょう。

両者とも心理療法家のミルトン・エリクソン博士の流れを組む心理療法家として有名ですが、お一人は自己間関係理論(Self-Relations)で有名なスティーブン・ギリガン博士、そしてもう一人はマイケル・ヤプコ博士です。

そして面白いことに最近のお二人の資料を読むと共通していることは「マインドフルネス(Mindfulness)」つまり、今ココに焦点を当て、経験している自分(無意識)と観察している自分(意識)の関係性を問い直しましょうという共通点があるのが非常に面白いところだと考えています。

それで、ギリガン博士の資料は2010年のブリーフ・セラピー・カンファレンスで配布された「Mindfulness and Trance[1]。従来「あなたの無意識を信用しましょう」で語られるエリクソン派のトランスに対して、「経験している自分(無意識)と観察している自分(意識)の両方は潜在的に創造的である」というような創発的な第三世代のトランスを提唱されています。

また、ヤプコ博士の資料は2012年のブリーフ・セラピー・カンファレンスで配布された「Treating Depression Experientially[2]。これは、日々の経験の中で鬱にどのように対処していけば良いのかについて書かれています。このブログでは医療的な助言をするつもりはないので本文を読んでいただければと思います。

もちろん、鬱を防止するためにも今ココの経験に対する知覚や認識を強化し、将来への恐れが頭の中でループするのを防ぐような方向になってくるのだと思います。

(つづく)

文献
(参考)
http://psychrights.org/research/Digest/AntiDepressants/ConcernsWithAntidepressants(Yapko2013).pdf

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