2013年7月27日土曜日

癒しのメタファーのつくり方(その2)



心理療法家のミルトン・エリクソンはクライアンの認識や行動の変化を支援するためにメタファー、特に、セラピスト側が考えてデリバーするメタファーというのを使っていたということがあります。

それで、こういった癒しのメタファー(Therapeutic Metaphors)を理解する上で鍵となる概念の一つが同一構造性(Isomorphism)ということになるわけです。

これは、認識主体が何かの対象を「メタファー」として認識する行為というのは、まったく関係ない2つの出来事や事象の間にほぼ無意識に同一(Isomorphic)な深層構造やパターンを見出す作業に他ならないことを意味していることになります。

それで、認識主体が変化する理屈を非常に簡単に説明すると、認識主体が2つの要素の間に何らかの関係性を発見する、そして投影先のメタファーを良い意味で変化させる、それによって無意識に投影元に対する認識が変化し、出来事に対する意味が変化し、気持が変化し、そして行動が変化する、簡単に言うとこれが癒しのメタファーの構造ということになってきます。

もちろん、メタファーは広義の意味では認識に間接的、あるいは無意識に働きかける技法ですから、実は結構日本向きで、プレゼンテーション、交渉事、創造的問題解決、自然なリーダーシップの発揮・・・・などなど、色々な場面で役に立つと考えているわけです。もちろん、こういった手法はある意味要素還元主義的な手法とは対局にある・・・ということになるように思います。

 独り言


異なる2つの出来事、事象、物語に共通する同一構造や同一パターン・・・・・

 オックスフォード大学出版から出ている「The Oxford Handbook of Hypnosis: Theory, Research, and Practice[1]のスティーブ・ランクトン氏が書いたエリクソン・アプローチのところを読んでいたのですが、エリクソン・アプローチでよく用いられるメタファーの、Isomorphic (同一構造)というというところが非常に分かりやすく説明されています。

同一構造(Isomorphic)とは、認識主体が、まったく関係の無い2つの出来事や事象、あるいは物語の間に共通する同一の深層構造やパターン(構造というと構造主義的で、パターンというと構成主義的ですが・・・)を見出すことに他なりませんが、これを理解することがまずは癒しのメタファーをつくるための第一歩ということになります。

もちろん、これはクライアント側が何らかの関係性を見出していくことになるわけであり、セラピスト側の主観で勝手に出来合いのメタファーを話してもクライアントの腑に落ちるメタファーにならないということには注意する必要がメタファーの難しい点でもあります。

それで、この同一構造(Isomorphic)なメタファーをどのようにつくっていくのか?について書かれているのか、同じスティーブ・ランクトン氏のプレゼンテーション資料「Metaphors[2]とスティーブン・ロバーツ博士のエッセー「Therapeutic Metaphors:A Counseling Technique[3]というわけです。

これらの資料の場合は、セラピストがデリバーする形式のメタファーということになっていますので、まず、クライアントの話に耳を傾け、クライアントの置かれている状況、課題、その登場人物、問題の構造などをよく傾聴し、そしてセラピストはその構造を同一構造として物語やメタファーにマッピングする形式でメタファーを紡ぎ、最終的にはそのメタファーをクライアントの望むゴールを暗示する形式で終わらせるようにメタファーを語るというようなことになってきます。

もちろん、ランクトン氏の資料を読むとメタファーを1)ミステリー 2)サスペンス 3)サプライズ 4)ユーモアなどに分類して作成するようになっており、また、メタファーの中にメタファーをネストするような形式で「Multiple Embedded Metaphors」を活用するバリエーションが示されています。

http://ori-japan.blogspot.jp/2011/10/blog-post_26.html

もちろん、このあたりは癒しのメタファーという目的ではなく、日常置かれている問題を創造的に解決するために、資源・資質を探し、自分の認識や行動を変化させるという意味でもこういった技法は活用出来るということになります。

もちろん、今日書いた内容も本にまとめるとおそらく概要を書いても新書1冊くらいにはなると思いますまずので、結構深いテーマでもあるように思ってきます。もちろん、ある構造やパターン(システム)を別の構造やパターン(システム)にマッピングして問題解決を試みているというのは要素還元主義によらない究極のシステム思考のように思えてくるところがあるわけですが、結構、このあたりがメタファーの深さでもあるのでしょう。

http://ori-japan.blogspot.jp/2011/09/blog-post_22.html

(参考)
 
(つづく)

文献

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