2013年7月1日月曜日

ミルトン・エリクソン関連著作:PHOENIX



 スクリプトを読ませて催眠誘導するだけの『エリクソン催眠』って、それって色んな意味で詐欺じゃないの?と個人的には考えています(笑)。

 その理由として、ひとつは、エリクソニアン・アプローチは原則的に、クライアントを観察してユーティライゼーションを使って催眠誘導する格好になっていること、もうひとつは、明示的に催眠を使わないで行動介入する事例のほうが多いこと、つまり、行動や認識の変化が目的であって、催眠は単なる手段の一つでしかないこと。

 では、どうするのか?とりあえずはラポールをとって、催眠を使わずに言語、非言語で行動介入するパターンを学ぶことなのだろうなと考えているわけです。 それで、催眠なしの行動介入が出来るようにならないと、コーチングや組織のチェンジ・マネジメントの場面では役に立ちませんからねぇ(笑)。

 独り言


催眠を使わない行動介入のパターンを提供

  今日は、心理療法家のミルトン・エリクソン関連の著作をご紹介しておきましょう。

はじめに、ミルトン・エリクソンの心理療法を理解するには少々複雑な構図を理解する必要があります。

Complete Works[1]などの著作を読むとよく分かるのですが、エリクソンはクライアントとの対話を弟子に頼んで文字に起こした論文やエッセーを多数残しています。

しかし、エリクソンは技法の背景にあるフレームワークや理論といったものを全くと言ってよいほど残していないということがあります。つまり、エリクソンのフレームワークや理論と言われるもののほとんどは弟子や研究者たちが、サイバネティクスのようなシステム論、あるいは、言語学や一般意味論などの学問的なフレームワークを当ててその一部を形式知として取り出したという構図がここにあります。

もちろん、これには利点と欠点があります。利点は、形式知を学ぶことである程度の技法を短い期間で属人性を排して効率的に学ぶことが出来ること。また、ある程度再現性がある科学として取り扱えるようになること。

しかし、欠点としては、形式知を学ぶということは、エリクソンという「海」から取り出された「塩」をなめて「海」とは何か?を学ぶというような構図になってしまうこと。つまり、その塩を再び水に溶かしても海はならないのと同じで理論やフレームワークをいくら振り回してもエリクソンそのものにはなることができないという残念な構図が成り立つことになります。

それで、エリクソンの技法のエリクソンの心理療法は「カタがないことをカタ」としている上善如水のように状況に応じて縦横無尽に変化するフリー Jazz のような技法となっていますが、エリクソンの暗黙知を学ぶにはやはり、録音されたビデオ映像や音声を聞きまくるか、エリクソンとは異なってしまうのはいたしかたないのですが、エリクソンの弟子から(ある程度の)暗黙知を暗黙知として、音楽でいう耳コピーみたいなモードで学ぶ必要があると思います。

それで、エリクソンの流れを組む流派としては、暗黙知を暗黙知として学んだネオ・エリクソニアン、一旦、暗黙知を形式知化して理論やフレームワークを取り出した、MRI (Mental Research Institute) ヘイリーの戦略的家族療法、ソリューション・フォーカスト・アプローチ、最近は自己啓発化しているNLP(神経言語プログラミング)などに分けられます。

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/06/httpori-japan.html

それで、今日ご紹介するのがデイビッド・ゴードンとマリベス・アンダーソンの共著による「PHOENIX(1981)です。タイトルはエリクソンが晩年を過ごした場所であるアリゾナ州フェニックスと、エリクソンの意志は生き続けるという意味で不死鳥を表わすフェニックスをかけた内容になっています。


 ゴードンたちは、流派的には1970年代初頭、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校の学生で、グリンダーやバンドラーと研究を進めていたNLPの流派にあたる人ですが、本書はNLPが自己啓発化する前の1970年代に構想されたこと、また、彼らは真面目に学術研究していた人たちなので、内容的には非常によい本です。

 それで、1978年からエリクソンの最晩年(エリクソン1980年)にかけて、アリゾナ州フェニックスに通い、エリクソンに教えを請いながらエリクソンの心理療法のパターン、特に行動介入のパターンをできるだけ平易なモデルとして取り出そうと試みることになったのが本書です。

 それで、本書の特徴としては、

·        非常に平易に書かれていること。
·        催眠を使わないで言語、非言語を使いクライアントに行動介入して変化を支援するパターンが取り出されて示されていること

と、案外、短期療法の王道を行く感じの仕上がりになっています。

 もちろん、冒頭で述べたようにあくまでもこの本は「塩」であって「海」ではないので、あくまでも「塩」を舐めながら「海」に思いを馳せるというように読むような本であるとは思います。

 それで、本書は上で述べたように催眠を使わずに、言語、非言語を使って行動に介入をするようなパターンが示されていますので、個人的には心理療法というよりもコーチングやファシリテーションで活用できる著作ではないかと思っているわけです。

(参考)
http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_23.html
http://ori-japan.blogspot.jp/2012/07/blog-post_16.html
http://ori-japan.blogspot.jp/2013/02/blog-post_10.html

(つづく)

文献
[2] http://www.amazon.co.jp/dp/0916990109/

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