2013年8月27日火曜日

エグゼクティブ・コーチング・ハンドブック



 エグゼクティブ・コーチングの特徴のひとつとして、コーチングの対象が、組織のリーダーとしてのクライアント、そしてその組織の課題の両方になっているわけですが、これが中々意味深なのですよねぇ。

 これは、リーダーとしてのクライアントと組織(あるいは利害関係者)の間にある関係を普通はリーダーシップと言うわけでしょうし、色々なスタイルはあるにせよリーダーは組織に対して何らかのリーダーシップは発揮しないといけないということになってきます。つまり、リーダーシップの開発を支援するというのもエグゼクティブ・コーチングの重要な項目のひとつということになるわけです。

組織について考えると、物事を達成するための仕組みでもあるのでしょうし、反対に仕組みが上手く機能しないと頭痛の種ともなるわけです。 つまり、エグゼクティブ・コーチングでは、クライアントと一緒に組織に向かい合い、クライアント自身のゴールと組織のゴールの整合性を取るなり、組織に対してリーダーシップが発揮できるようにクライアントと組織の間にある関係性に働きかけるというところが一番肝心なことになってくるように思ってきます。

実際にこんな感じのコーチングだと方法論に加えて、実際に組織を運営したことがあるとか、会社を経営しているとか、プロジェクト・マネージャーの経験が長いといった経験がないとエグゼクティブ・コーチングというのは難しい仕事なのかもしれませんけれど・・・・このあたりを考えるとコンサルタントと何が違うのだろうか?とまた別の問題も持ち上がってくるということになるわけです。(笑)
  
独り言


エグゼクティブ・コーチングの理論的背景
 
 はじめに、「コーチングを体系化するのはなぜ難しいのか?」と考えると色々答えが思い浮かぶわけですが、その答えの一つは、コーチングの扱う分野が非常に多岐に渡るということがあげられるでしょう。

例えば、コーチングを学問的に説明するには、

·        コトバ:言語学
·        知覚:現象学、知覚心理学
·        認知:認識論、認知科学、認知心理学
·        行動:行動主義心理学
·        外的出来事:物理学、システム論、◯◯工学、プロジェクト・マネジメントなど

な分野が学際的に相互作用しているような部分を取り扱う必要があるという具合です。

もちろん、このあたりを透過的に説明しようと考えると、古くは一般意味論、第二次サイバネティックス、さらに最近だとエナクティブ学派の認知科学(具体的にはレイコフ&ジョンソンの「Philosophy in the Flesh」)あたりの知見を使って体系化しないと結局何かの寄せ集めになってしまうわけです。

で、コーチングの分野のダブリン宣言[1]という文章を読むと、さらに凄いことになっていて、コーチングの背景となる理論として、

·        学習
·        変化
·        発達
·        エゴ(自我)
·        コミュニケーション
·        システム思考
·        社会心理学
·        組織開発
·        プロセスワーク
·        アクションラーニング
·        文化
·        自分で方向性を決める学習
·        リーダーシップ
·        存在論
·        カオス理論
·        認知行動心理学
·        EQ
·        SQ

があるということがうたわれています。個人的には、基本的にはこれらを透過的に扱えるような、サイバネティックスなどのシステム論、あるいはエナクティブ学派の認知科学のようなフレームワークの中に統合するような方向で考えないと、格好の良い言い方で行くと『ジグソー・アプローチ』、有り体に言うと、全体的に整合性を持った体系を欠いた単なる『寄せ集め』ということになってしまうように思ってきます。

それで、「The Executive Coaching Handbook[2]というドキュメントを読んでいたわけですが、この文章で項目としては非常に体系的に網羅されているような感じになっていますが、上で述べたように、コトバ、知覚、認知、行動、出来事がどのように相互作用するのかという理論を基本にしているのか?と言われるとそこまでは行っていないので、中々難しいのだろうなぁと思って読んでいた今日この頃だったわけです。もちろんこのドキュメントは体系的に整理されていてかなり分かりやすいドキュメントですが・・・・・

で結局は、理論だけでは「絵に描いた餅」ということになるわけでしょうし、実践だけでは学びを深め自己再帰的な学習を促すには少々不足しているということになるのでしょうし、組織を扱うとどうしても部分と全体の齟齬を扱うことになるため、色々なバランスをどう取るのか?がチャレンジになるということなのでしょう。

(つづく)

文献
[2]http://www.instituteofcoaching.org/images/pdfs/ExecutiveCoachingHandbook.pdf

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