2013年9月15日日曜日

一般意味論をメガネにミルトン・エリクソンの技法を観察すると(その2)



暗黙知がてんこ盛りのコーチングや心理療法の技法に学問的なフレームワークや理論を当てて形式知として体系化しようと思うと結構難しい問題に直面することになります。

この前提として、この分野では、コトバ、知覚、認識、行動、外的な世界への働きかけ・・・など色々な分野を横断的、かつ学際的に扱う必要があります。

 しかし、ほとんどの学問はその範囲は非常に深く、かつ狭く設定されているため、ひとつの分野の学問でコーチングや心理療法を体系化しようとすると、例えば、言語の視点からすべてを説明しても足りないところがある、あるいは、心理学ですべてを説明しても、具体的な行動として外的な世界に働きかけるための知見が足りない、といったように非常に局所最適な感じになってしまうわけです。

 では、コトバ、知覚、認識、行動、外的な世界への働きかけ・・・などを横断的に説明してある学問はないのか?というと、確かに、サイバネティクスやエナクティブ学派の認知科学はこれにあたるわけですが、普通の人が日常生活で使おうと思うと少しむずかしい感じがしているわけです。で、もう少し簡単なものはないか?と考えると少し古いところはあるのですが一般意味論が使い勝手が良いのかなぁ・・・・・というのがひとつの結論というわけですねぇ・・・・・もちろん、個人的にはサイバネティクスが一番お気に入りなのですけれどねぇ・・・(笑)。
  
 独り言


静の視点のBE動詞と、動の視点のE-Prime

 この続きになるのですが、少し書いておきましょう。


一般意味論協会の会報である「Etc.[1]に掲載されている著作の紹介を見ていたのですが、ここで非常に面白い表現を発見したというわけです。ここでは、「Hugh Gunnison. Hypnocounseling: An Eclectic Bridge Between Milton Erickson and Carl Rogers. Ross-on-Wye, UK: PCCS Books, 2003.」心理療法家のミルトン・エリクソンとカール・ロジャーズをつなぐものとしてその共通点が解説されているわけですが、その解説に面白い記述が見つかります。

(翻訳は適当)

The author also has a strong interest in general semantics. (From the book's preface: "Since Hypnocounseling depends so much on the sensitive use of language, you will probably notice my dependence on General Semantics as well as my occasional use of E-Prime language ...")

著者は一般意味論に非常に興味を持っている。(本の表紙から:「催眠を使ったカウンセリングは言語を繊細に活用することに依存している、そのために私が時折活用する E-Prime のコトバ、つまり一般意味論に依存していることに気が付かれるだろう・・・」


つまり、この著者は、私と同じようにミルトン・エリクソンの言語パターンを一般意味論のメガネを通して体系化していること、特に一般意味論の概念であるE-Prime のコトバを意識して活用していることに気づきます。

 これを非常に簡単に説明すると

言語パターン
一般意味論的な言語パターン
説明
固定化(名詞化)
BE動詞(TO-BE)を使って話をする
例:I am blue.
物事を固定化して知覚・認識する補助線としてコトバ使う。論理レベルの誤りを引き起こす可能性がある(一次的な心身状態=恒久的な人格と勘違いしてしまう、など)
流動化(動詞化)
E-Prime を使って話をする(自分の視点から look, feel , hear など視覚、聴覚、体感感覚などどの感覚で具体的に情報を取得したのか?を明示する)
例:I feel blue.
物事を流動化して知覚・認識する補助線としてコトバを使う(知覚の感覚に戻す)

コトバを知覚や認識の補助線として活用する場合、物事を固定化して見る方向と、物事を流動化して見る方向の2つがあるわけですが、一旦固定化された概念に変化をもたらす場合、ゼリーのカタチを変えるように、1)一旦認識を知覚に戻して流動化させる、2)新しい認識を固定化する、ようにコトバを使うのが有効だと言っていることになるわけです。

それで、このあたりについては以下で書いていますが、


詳細は、「SPEAKING IN E-PRIME:An Experimental Method for Integrating General Semantics[2]を参照いただくと良いと思います。

 それで、一般意味論の記事についても多くを発信されているロバート・アントン・ウィルソン博士のブログにこの「E-Prime」の使い方についての具体的なエクソサイズが示されているわけですが、


 こういう記事を読むと、少なくともコーチや心理療法家は、BE動詞で物事を固定化して表現する場合と、E-Prime を使って物事を流動化して表現する場合の両方を必要に応じて自由に翻訳できるようにしておかなければいけないのだろうなぁと思うわけです。

 それで、こういった概念は、日本の学校で教えられているような英語とはまたひと味もふた味も違う切り口、つまりコトバが人にどのように知覚・認識されているのか?について踏み込んだ視点が見えてきて非常に面白いと思うわけです。

(つづく)

文献
[2]http://www.generalsemantics.org/wp-content/uploads/2011/05/articles/etc/44-2-kellogg.pdf

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