2013年9月8日日曜日

一般意味論におけるポジティブ/ネガティブ・フィードバック



原則的にフィードバックというのは基本的に事実に基づく情報を伝えるという話になってきますが、このあたりのことをきちんと理解していないと、コーチングやファシリテーションがグチャグチャになってしまうので実は注意が必要です。

はじめに、機械―人間間の情報のやりとりを考えてみましょう。高速道路で車を運転しています。利用区間の法定速度が 100km/hだとしましょう。運転者はスピード・メータを眺め、これを便りに100km/hよりスピードが落ちてきたらアクセルを踏み、逆にスピードが上がり過ぎたらアクセルを緩めるという具合にネガティブ・フィードバックのロジックを使って車のスピードを制御するということになるでしょう。センサーの公差はあるにして基本的には計測された事実に基づく情報に基づいて行われます。

次に人―人間のコミュニケーションを考えてみましょう。営業マネージャが部下に「今月は受注が20%減になっているなぁ・・・」といった時に相手が事実認識に加えて、例えば「このマネージャ、おれのこと嫌いなのかなぁ?」のようなメタ・コミュニケーション的な解釈を始めるのがややこしくなってくるのですよねぇ・・・・もっとも、このやりとりをネガティブ・フィードバックで回すのか?ポジティブ・フィードバックで回すのか?というのも非常に重要になってきますが、人の場合はメンタル・モデルが絡んできて、事実は「空気」でねじ曲げられるため、単純に事実「王様は裸だ」みたいなことを伝えるということが案外面倒くさい話になってくるのですよねぇ・・・


 独り言


一般意味論的なポジティブ/ネガティブ・フィードバック

 フィードバック、特にポジティブ/ネガティブ・フィードバックは元々サイバネティックスに端を発する用語ですが、結構、誤解されているので注意が必要です。


それで、原則として、ポジティブ・フィードバックは(明示的あるいは暗黙的に)枠組みの外に設定された目標の目指し、その目標に近づくために行われる情報のフィードバックを表し、逆にネガティブ・フィードバックは、現状の枠組みの中に設定された目標の現状維持のために行われる情報のフィードバックを指すことになります。

もちろん、フィードバックの機構に人間が関与している場合、事実認識が案外あやふやになっていることもあるため、結構難しいところがあるわけです。

これについて、「Psychotherapy: Selected Writings on Methods Aiding Therapy[1]という一般意味論の自己再帰性(自己再帰的意識)とポジティブ/ネガティブ・フィードバックについて説明してあった部分を引用しておきましょう。

一般意味論は言語が知覚に対する現象を起こすこと、また意味を引き起こすことをその範囲に含めているところがあります。自己再帰性を簡単に説明すると、気持についての気持や意味についての意味をコトバで自己再帰的に表現され、現象が起こることを言います。

(訳は適当)

The self-reflexiveness of language and the human nervous system makes possible both our noblest and most self-destructive potentials. Self-reflexiveness that is corrective and stabilizing act as negative feedback, self-reflexsivenss that is intensifying corresponds to positive feedback.

言語と人間の神経系は自己再帰性を持っており、これは私たちの崇高な能力を引き出すこともできれば自己破壊的な能力ももっている。修正もしくは安定を志向した自己再帰性はネガティブ・フィードバックとして働き、(努力や集中の度合いを増すような方向を)強化するような方向はポジティブ・フィードバックに対応している。

The difference between healthy and destructive use of self-reflexivenss seems to lie in the extent to which the process incorporates corrective feedback.

自己再帰性の使い方が健康的か、あるいは破壊的なかのかの違いは、自己再帰性のプロセスにある程度の協業的なフィードバックが組み込まれているか否かにかかっているように思われる。

In education , students can be taught to monitor their self-refexivenss and provide their own corrective feedback by using the principles in general semantics, a metalinguistic or "second-order" approach.

教育において、学生たちに、自己再帰性をモニターするために、一般意味論の原則、つまりメタ言語と「二次的」なアプローチを使って自身の協調的なフィードバックを提供する方法を教えることができる。

Self-reflexiveness is not a new idea, but its explicit, systematic use in therapy and education has just begun . It is an underdeveloped area in communication research and inquiry.

自己再帰性は新しい考え方ではない、しかし、これを明示した形式で心理療法や教育にシステム的に活用することは始まったばかりである。これはコミュニケーションの研究や探求において発展途上の分野である。


これを読むとフィードバックを受ける方も行う方も相手のメッセージにいちいち脊髄反射するのではなくて、タメをつくって自分のメンタル・マップについても考えてみましょうということになってくるように思ってくるわけですが、案外、まずは相手の話を聴く体制になっているか?というのも重要なことのように思えてくるわけです。


(つづく)

文献
[1] http://books.google.co.jp/books?id=2LixUwx4HI4C&pg=PA123&lpg=PA123

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