2013年10月31日木曜日

一般意味論:(パーソナル)タイム・バインディング



 人は自分が実際に経験したこと、他の人から聞いたこと、テレビや新聞から得た知識、これらをごっちゃにして自分の経験として取り込んでしまう生き物のようにも思ってきます。

 実際に新橋あたりの居酒屋でくだをまいて「坂本龍馬は良い男だった」といっているおっさんに「あなたの龍馬は誰の龍馬?」と聞くと、大体はテレビ番組や小説の受け売りだったりするわけです・・・・

 もちろん、一般意味論でコージブスキーが「抽象過程への自覚」が言っていることが指すひとつのことは、実際に経験したこと、他人から聞いたこと、テレビや新聞から得た知識、つまり、一次経験から得た情報と二次経験から得た情報の区別を付けてみましょう・・・・あるいは、時系列的に具体的な情報が抽象化されていくプロセス自体を一度メタ認知してみましょう・・・・と言っていることなのですよねぇ・・・・

 独り言


経験が時系列的に抽象化されて一般的な枠組みになったプロセス自覚してみる・・

一般意味論の中の概念にタイム・バインディング (Time-Binding)[1][2]という概念があります。一般意味論の本来の概念からすると「人は(経験を抽象化した)言葉や記号を通じて、自分自身の物理的な時間や空間の制限を越えて情報を伝えることができる」という概念を指しています。

例えば、情報の送り手からすれば、何百年もの未来に読まれることを想定して文章を書くことが出来るということになるでしょう。これには、タイムカプセル、あるいは時代を越えて伝わる書籍などがこれにあたるわけです。個人的には某博物館が設立される時に書いたシステムの調達仕様書が500年後に読まれて、未来の人間が「平成の職人って江戸時代の宮大工に比べると随分手抜きだよねぇ・・・」などと言われると嫌だなぁと思って仕事をしていたことを思い出すわけでもあります(笑)。

一方、情報の受け手からすると、何百年前にも書かれた、古文書や歴史書を通じて(編集者の作為を感じながらも)ある程度伺い知ることが出来るということになってくるわけです。

また、タイム・バインディングは個人の経験を形作る上も重要な役割を果たしているというもの一般意味論の見解ということになってきます。

これについて、犬について考えてみると人の違いも分かってくることになります。当然、犬は自分たちのご先祖の経験を古文書で残していませんし、未来についてどうなるのか?といったことは想像していないでしょう。

さらに、文字を使って抽象的な思考のできない、犬の個人的(個犬的)な経験に踏み込むとしましょう。例えば、蜂にさされて痛い思いをしたということがある犬は、この経験から、今ココで蜂を見ると痛い思いをした経験が蘇って何らかの反応(一般意味論で言う意味反応 Semantic Reactions)を起こすことになります。例えば、怖がるとか逃げるとか。

しかし、犬は抽象的な思考が出来ないため、「そのカドを曲がった時に蜂が出てきたらどうしよう?」とか「将来蜂に刺されたら嫌だなぁ」というように想像力を働かせてそのイマジネーションを対象に怖がるということが出来ないことを意味しているわけです。つまり、今ココで起こっている事実に対して何らかの反応は出来るけれども、起こっていないことを想像して何らかの反応をすることは苦手と言っても良いでしょう。だから飼い犬は「将来ご主人様がリストラされて、僕も家から追い出されたらどうしよう?」とは考えることが出来ない、ある意味得な性格でもあるわけです。

もちろん反対に、人は「そのカドを曲がった時に蜂が出てきたらどうしよう?」とか「将来蜂に刺されたら嫌だなぁ」というように、今ココでは起きていないことについて、それを想像しただけで、(コトバが関連する抽象的なスキーマのようなものが動作して)実際にそれが起こった時と同じような意味反応のパターンが形成されるということになってくるわけです。

もちろん、これは未来のリスクを未然に防ぐことに役に立っていることもあれば、確率的にはほとんど起こりそうに無いことについて過度に心配するというようなことにつながってくることにもなるわけです。

 それで、一般意味論の特に(パーソナルな)タイム・バインディングで言っているのは、色々な経験を通して、確立されたスキーマによる不都合な意味反応を変化させるために、1)時系列的にいくつかの経験を再体験して、2)一次経験と二次経験の区別をつける、3)スキーマがつくられる時の情報の抽象化のプロセスを自覚する、これをやってみましょう・・・・・と言っていることになるわけです。

余談ですが、心理療法家のミルトン・エリクソンなども一般意味論をひとつのモノサシとしてその技法を観察すると、タイム・バインディングの理論を応用したスキーマとか意味反応の再構築をやっていることが分かってくることになるわけです・・・・・・が、これが分かっていないと単なる怪しいおじさんと思われてしまうのもまた面白いところでもあるのでしょう・・・・・


(つづく)

文献
[2]http://www.generalsemantics.org/wp-content/uploads/2011/05/articles/etc/66-1-practicing-conscious-time-binding-by-milton-dawes.pdf

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