2013年10月25日金曜日

ベイトソンとエリクソンとMRIの誕生



 自分の経験から、芸術とも言える心理療法を発展させたミルトン・エリクソン。サイバネティクス的知見を持込み認識論に還元するという科学的手法でエリクソンの技法を徹底的に観察したグレゴリー・ベイトソン。

1958年のカリフォルニア州パロアルトでのこと、この2人が出会うことで短期療法が産声を上げた瞬間の映像・・・・がこれ、Jazzの帝王マイルス・デイビスの「クールの誕生」ではないけれどもMRIが誕生した瞬間のようにも思えてきます・・・・もちろん、エリクソンとベイトソンはもっと以前からの知り合いだけれども・・・・

 独り言


1958年MRIの誕生

 Youtube に心理療法家のミルトン・エリクソンの心理セッションの模様がアップされていたのでご紹介しておきましょう。

   それで、今日は物事を観察する視点の重要さというところについて少し書いておきましょう。


 冒頭のキャプションにあるように、この映像は1958年にカリフォルニア州パロアルトで撮影されたものです。1958年のパロアルトと言えば、ドン・ジャクソンによって心理療法の研究機関であるMRI[1]が設立された年でもあり、この映像のキャプションにも登場するジョン・ウィークランド、グレゴリー・ベイトソンが所属したことでも知られています。

 それでマントルピースの前に置かれた椅子にクライアントの若い男と並んでに登場するミルトン・エリクソンは、この男性の鬱状態を改善すべくセッションを行うことになるわけですが、この模様がエリクソンの次女のベティ・アリス・エリクソンらが編集した「Milton H. Erickson, M.D.: An American Healer[2]の中に収録されているのもご存知のとおりです。


 さて、サイバネティクス的見地でこの映像を解決すると少し複雑です。まず、クライアントである男性とエリクソンの間には、コミュニケーションとしてのループが存在しています。また、エリクソンとクライアントの見えるところにカメラが設置されており、ベイトソンがカメラマンの役割をしています。

 つまり、ここでエリクソンとクライアント、そしてベイトソンの間にまず小さなループとして見るものと見られるものとの関係が成立されていることになります。そこでベイトソンは主に、エリクソンとクライアントの関係性を観察していることになるわけです。

さらに、ジョン・ウィークランドらはワンウェイ・マジック・ミラーの後ろ側におり、大きなループつまり神の視点として、エリクソンとクライアントとの関係、エリクソン、クライアントとベイトソンとの関係を観察していることになります。



ここではカメラの視点とマジック・ミラー越しの視点の2つからベイトソンの言う二重記述[3]を行っていることになります。余談ですが、確か家族療法家のリン・ホフマンの著作にマジック・ミラー越しにセッション内容を観察して二重記述することで短期療法がものすごく発展した、みたいなことが書いてあった記憶があります・・・・・

 ここで、より詳細な話をすると、観察者の視点として、1)前提知識なしに観察してみる、2)語用論、統語論、意味論などのフレームワークを立てて観察してみる・・・・と色々やってみることになるでしょう・・・・・・そうすることで色々なことが分かってくるようにも思うわけです。

 それで、こういった手法でエリクソンを観察すると、エリクソンは非常にロジカルな人でなんらかのパターンにはまる再現性のある手法を使っていることも理解できてくるわけですが、上のように非常に凝った視点から観察することで短期療法が生まれてきた・・・というのは間違いないことなのでしょう・・・・・・

(参考)
http://ori-japan.blogspot.jp/2013/07/mri.html
http://ori-japan.blogspot.jp/2013/08/mri.html

(つづく)

文献
[2]http://www.amazon.co.jp/Milton-H-Erickson-M-D-American/dp/0918172551
[3]http://www.academia.edu/2060944/Circular_Questioning_as_a_Therapeutic_Tool_Theoretical_Basis_and_Application_to_Couple_Therapy
(参考)http://www.psychotherapy.com.au/fileadmin/site_files/pdfs/TheDoubleBindTheory.pdf

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