2013年12月12日木曜日

逆説的意図



 要は、人が大きく変化するには、禅問答のような逆説的意図というものが必要という話です。逆にいうとフワフワしただけの自己啓発やコーチングだとたいした変化が起きないのはなぜか?という答えにもなっているわけです。(笑)

コーチやセラピストで、「クライアントに良い人と思われなければならない」というような信念を持っているとクライアントの変化を支援するために大きな障害になるように思います。 

その理由は、クライアントの認識や行動が大きく変化する第二次変化(Second-order change)を支援するために、例えばパラドクス介入を行なって逆説的意図を使う必要があるから。おそらく「クライアントに良い人と思われなければならない」という信念は、場合によっては意地悪だと思われるパラドクス介入を行う上でかなりの障害になると思うわけです。

もちろん、逆説的介入についての意地悪な課題をクライアントにやってもらうためにコーチやセラピストはきちんとラポールを取る能力を持っているというのはクライアントの抵抗を抑えるという意味では非常に重要なことなのでしょう・・・

それで、ラポールをとって場合によっては多少意地悪な課題をやってもらう・・・という微妙な関係構築がやはり大きな変化を起こす鍵ではないかと思っているわけです。比喩的ですが、クライアントをちょっとした千尋の谷につきおとして、「これくらい全然たいした谷じゃないですよねぇ」「何か問題でも?」「早く上がってきてください」って感じになりますからねぇ。(笑)

ひとり言


逆説的意図

 「心理療法家のミルトン・エリクソンのようなトランス誘導を使うことなく、リフレーミングや質問だけで人の行動や認識は変化するのか?」

 この答えについては、カリフォルニア州パロアルトにある心理療法の研究機関であるMRI(Mental Research Institute)の研究員で心理療法家のミルトン・エリクソン博士らの技法を研究していたポール・ウォツラウィック博士を引用して以下を書いています。


 ウォツラウィック博士は、サイバネティストのウィリアム・ロス・アシュビーを引用して人をシステムとして見立て、システムの一部が変化する一次的変化(First-order Change)とシステム全体が変化する二次的変化(Second-order Change)の2つのレベルを想定し、トランス状態を使わなくても、パラドクスの枠組みを超えるような形式でリフレーミングが行えれば人の行動や認識は二次的変化のレベルで変化することが可能だと結論付けています。

 また、これを行うことの出来る具体的な方法が4つあげられていますが、今日ご紹介するのが逆説的意図(Paradoxical Intention)という手法です。[1]
 
 余談ですが、残りの3つ、苦行療法、アンビギュアス・ファンクション・アサインメント、挑発療法については以下で書いています。


 それで、話を戻して、逆説的意図はヴィクトール・フランクルのロゴ・セラピー(論理療法)で活用される手法です。フランクルは、セラピーの過程で、クライアントが恐れているまさにそのことを行うように,あるいはそのことが起こることを期待するようにクライアントを励ましたことで知られています。

これは、神経症的な悪循環に陥っているクライアントが,逆説的意図を自覚することで,その悪循環を断ち切れるとフランクルが考えたことから始まっています。もちろん、このあたりは後にMRIの人たちが Do different の介入として体系化しているようなところがありますが・・・いままで悪循環のパターンを特定して論理階型理論などに基いて適切な介入を行なってこの悪循環のパターンを崩す必要があるわけです。


 また、心理療法家のミルトン・エリクソンも自身によって体系化はされていませんが、逆説的意図を活用したことで知られています。

  例えば、エリクソンは吃音のクライアントに対して、もっとどもって話してください、もっと・・・・とか、というような指示を行うわけです。

 もちろん、これは治癒的ダブル・バインドにもなっていて、ここには吃音がひどくなったら、そのことに成功する。吃音にならなかったら、その症状が治ることに成功する・・・となっているわけです。

http://ori-japan.blogspot.jp/2011/11/blog-post_06.html

 余談ですが、スポーツのコーチなども、例えば野球で、バッターボックスで緊張する選手に、「緊張するな、リラックスしろ」「三振しちゃダメだ」という指示を出すよりも、「思い切り緊張しろ」そして、「三振してもよいから、バットを思い切り振ってこい」といった指示を出したほうが効果的こともあるように思ってくるわけです。

それで、この逆説的意図が統計的にどれくらい効果的なのかが示されていますが[2]、それなりに効果があるものなのだなぁ・・・と思ってくるわけです。

また、エリクソニアンのスティーブン博士の著作「Therapeutic Trances」などを読むと肯定的意図(Positive Intention)に言及されていたりしますが、大きな変化を求めるためにはこれだけだと不十分で、認識レベルでの肯定的意図を聞いた上で、行動介入として逆説的意図に基づいた課題をやってもらったり、これでリフレーミングする必要があるように思ってくるわけです。[3]

 例えば、クライアントが言う○○の時に恐怖を感じるのです、の肯定的意図が、恐怖が自分を危険から守ってくれている、だったとすると、じゃぁ、ここでどんどん恐怖を感じれば感じるほどあなたは守られているわけですね・・・・ではどんどん恐怖を感じてみてください・・・・みたいな感じになるというわけですねぇ・・・・・ちょっと禅問答的ですけれどねぇ・・・・

 もっとも、普通に治癒的ダブル・バインドを使ってコーチングを行えばよい話なのかもしれませんけれども・・・


(参考)
(つづく)

文献

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