2014年1月10日金曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:癒やしのメタファーのつくり方(その9)



  目標設定や問題解決をするためにまずは、それを行うための「もっとも適した心身状態」を引き出すことを試みるのは最も重要なことだと思うわけです。

 それで、その状態に「集中」とか「冷静」とかいったコトバのラベリングを行うことで無意識からその状態を引き出す検索エンジンのクエリーのような形式で使えるようになるといったことになると思います。

 その意味ではコトバはこの「心身状態」に対する isomorphic な関係で結ばれているメタファーということになるのでしょう。

ひとり言


癒やしのメタファーのつくり方(その9)

       フォントをもとの11ポイントに戻しました。
 
さて、昨日の続きを書いておきましょう。


さて、今日は、こういったことを前提として、ベティ・アリス・エリクソン女史の資料を読んでみることにしましょう。[1]


In good communication, language in good communication is chosen so people can access their own conscious and unconscious resources.
o Those resources are best reached when language allows and invites
connection
o Understanding consciously is not necessary for unconscious understanding
 Some things are un-understandable
 
 よいコミュニケーションがおこなわれているとき、よいコミュニケーションで使われるコトバは受け手と送り手がそれぞれ意識、無意識のリソースにアクセスできるように選択される。

 コトバがリソースを認め、リソースを誘い、リソースがコトバに結び合わされるとき、もっとも素晴らしいリソースに到達することができる。

 意識的に理解することは、無意識に理解していることを必ずしも意味していない。(頭で分かっていることは、必ずしも体で分かっていることを意味しない。)

無意識に理解されている幾つかのことは、依然意識には理解されないままである。
 

 これを読むと特にミルトン・エリクソンを源流にする短期療法やこれをベースにしたコーチングのコンテキストにおいて、「リソース」について非常に重要なことが書かれているように思います。で、エリクソニアン・アプローチに関する著作を読むと内的リソース(internal resources) と外的リソース(external resources) とつまり自分の中にある資源・資質と自分の外にある資源・資質が区別して書かれていることがあります。[2]

 余談ですが、ミルトン・エリクソン自身はこの「リソース」というコトバは使っておらずに、弟子のジェフリー・ザイク博士、スティーブン・ランクトン氏らによって持ち込まれた概念のようですが、現在はエリクソニアン・アプローチを始めとする短期療法系のアプローチでは普通に使われている概念です。

 さて、内的リソースには、その物事を行うために最適な心身状態、思考や知覚のプロセス・・・・アイディアなどが含まれています。

 それで、ベティ・アリス・エリクソン女史の資料になりますが、コトバによるコミュニケーションはこのリソース(それを行うための最適な心身状態)に意識的なラベリングを行い、このリソースを引き出す非常に重要な道具となりうるというわけです。

 もちろん、最適な心身状態を引き出すにもおおまかに2つのやり方があるでしょう。ひとつは現在の問題に焦点を当てるようなMRI的なアプローチ、そしてもう一つは将来の理想に焦点を当てるようなソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)のようなアプローチということになります。

 前者のMRI的なアプローチは、現在の問題にハマっている場面を想い描いてもらって「自信喪失」、「不快」、「怒り」などのコトバのラベリングを貼り付けて増々不快な気分になることから始まるかもしれません。

ここからが重要ですが、クライアントさんにメタ認知のモードに入ってもらって、現状を第三者的な視点から俯瞰してもらい、その肯定的意図(Positive Intention)を探ってリフレーミングを試みたり、その問題すら、解決を行うために「ユーティライゼーション」することを考えてみたりという具合です。

それで、この間には「不快」とか「怒り」というような心身状態から、問題を解決するための最適な心身状態を引き出してもらうことも必要でしょう。もちろん、エリクソニアン・アプローチでは、問題に取り組む時、視覚-感覚の連携をゆるめ否定的な感情を起こりにくい状態に誘い、メタ認知のモードに入ってもらって、自分の問題を俯瞰してもらう時に使うのがトランス誘導だというわけです。[3]

 で、後者のSFAでは、現在の問題は軽く取り扱い、そして適当なタイミンでミラクル・クエスチョンなどを使い理想のゴール、その時の感覚、心身状態を引き出し・・・・そして現在も問題を見ると、その問題の中にも既に実現している未来の一部が見いだせるようになるという具合です。

 このようなアプローチを取る場合に、コトバ(意識)の力を借り、何かよくわからない無意識にある心身状態にラベリングを行い、この状態を自分なりに意識してみるというのが非常に重要なポイントになってくるように思います。

 もちろん、ここで全体性をもった無意識のほんの一部にコトバを貼って意識化しているという自覚は重要なのでしょうが、少なくとも全体性を一旦保留して、局所的に何か、とくに自分の心身状態とそれを著した「コトバ」を意識してみるというのは重要なことのように思ってくるわけです。

(つづく)

文献

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