2014年1月5日日曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:癒やしのメタファーのつくり方(その4)



  心理療法家、コーチに限らず、コンサルタントが、クライアントの心の琴線に触れるメタファーをつくるにはどうしたら良いのか?

 今なら、UCバークレー校で先生をやっている認知言語学者のジョージ・レイコフの「メタファー理論」で説明するところなのでしょうけれども、クライアントの心の琴線に触れるメタファーを話すというのは中々骨が折れることのようにも思ってくるわけです。

 それでも、人の認識や行動の変化を支援するには、メタファーや良い物語を構築していくことは重要なことのように思えてくるわけです。

ひとり言


癒やしのメタファーのつくり方(その4)

 昨日の続きを書いておきましょう。


以下のリンクでTOC(Theory of Constraints)の方法論の文脈で、クライアントが「変化」に対してどのように抵抗を示してくるのか?をコンサルタントがよく活用する FIT-GAP (現状-理想、その差分を埋めるプロセス)のフレームワークを使って示しています。


 それで、心理療法家のミルトン・エリクソンの技法もジェイ・ヘイリー氏がエリクソンの技法を体系化した「戦略的家族療法」やジェフリー・ザイク博士の「エリクソニアン・ダイアモンド」を参照すると、基本は、コンサルタントが使う(現状-理想を直接的にせよ間接的にせよ意識してもらい、その差分を埋める) FIT-GAPであるわけであり、さらに、TOCの枠組みでエリクソンの技法を説明すると、クライアントの以下のように変化してもらう必要があるというわけです。

http://ori-japan.blogspot.jp/2013/12/blog-post_18.html
http://ori-japan.blogspot.jp/2012/08/blog-post_29.html

  もちろん、ここでは構成主義的に物理的な世界に見える形式で何か理想的なことを実現しようと考えているわけですが、その前に、人や組織の内的な認識や行動の中に「抵抗」が存在している、という格好になっているわけです。




【現状の認識と行動】

レイヤー0:我々には問題など存在しない(という抵抗)
レイヤー1:あなたは我々の問題が分かっていない(という抵抗)
レイヤー2:我々は解決の方向性に同意できない(という抵抗)
レイヤー3:あなたの解決策では我々の望む結果を産まない(という抵抗)
レイヤー4:あなたの解決策は良いが何か副作用を生み出す(という抵抗)
レイヤー5:解決策を実行する際に大きな困難がある(という抵抗)
レイヤー6:変化することに言葉に言えない恐怖がある(という心理的抵抗)


【理想の認識と行動】

レイヤー0:我々には問題、課題が存在している(それを受け入れる)
レイヤー1:あなたは我々の問題が分かっている(という確信)
レイヤー2:我々は解決の方向性に合意している(という確信)
レイヤー3:あなたの示唆する解決策が我々の望む結果を生む(という確信)
レイヤー4:あなたの示唆する解決策は良い、副作用も少ない(という確信)
レイヤー5:解決策を実行する際に大きな困難はない(という確信)
レイヤー6:変化することに恐怖は少ない、あるいは恐怖があっても変化できる確信がある(という確信)



それで、【現状】と【理想】の差異をどのように埋めるのか? これは、TOCに限らず、エリクソニアン・アプローチの場合は、クライアントの抵抗さえ、ユーティライゼーション・アプローチを使い、クライアントの認識や行動を変化を支援することでこの差異を埋めるということがエリクソニアン・アプローチの要諦のひとつでもあるわけです。

 もちろん、以下のリンクで書いているようにエリクソンの場合は、間接暗示を非常に巧みに使っているところがあるわけですが、


この中のひとつの技法としてメタファーや物語を話しているということになるわけです。

 それで、ベティ・エリクソン女史の資料を読んでみることにしましょう。[1]

Therapeutic stories are memorable:
1. They touch the heart of the listener
2. They create emotions even in highly guarded clients
3. The message can sink into the unconscious and become a part of the person
a. Conversational trance increases that likelihood

 癒やしの物語は記憶することが容易:
1.     癒やしの物語は聞き手の心の琴線に触れる
2.     癒やしの物語はガードの堅いクライアントですら、その情を動かす
3.     癒やしの物語に含まれるメッセージは無意識のレベルに定着してその人の一部となる
a.     特に対話的に発生するトランス状態はこれを促す


 メタファーや物語は、ある意味意識的な抵抗を回避し、クライアントが間接的に自分のゴールやそこに到達するまでの手段を思い起こす支援をしているような格好になっていることが分かります。

 もちろん、このあたりをもう少し学術的に説明すると、認知言語学者のジョージ・レイコフのメタファー理論で説明するような格好になると思います。[2]

 何れにしてもこれから分かるのは、クライアントの心の底に潜む、メタファーを引き出し、クライアント自身にそのメタファーや物語を書き換えてもらえるように、その支援を行うこと、ということになってくるわけです。

 もちろん、これは心理療法家に限らず、コーチにしてもビジネス的なコンサルタントにしてもクライアントと一緒にどのように素晴らしい物語をつくりあげていくのか?その能力が問われる時代になってきているようにも思っているわけです。

(つづく)

文献
[2] http://terpconnect.umd.edu/~israel/lakoff-ConTheorMetaphor.pdf

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