2014年4月21日月曜日

ミルトン・エリクソン心理療法: <レジリエンス>を育てる(その2)



 心理療法だけではなく日常生活や仕事の場面でも役に立つ、ミルトン・エリクソンの治療というより「コミュニケーション戦略」を扱ったこの本は間違いなく、ジェイ・ヘイリーの「アンコモンセラピー」やシドニー・ローゼンの「私の声はあなたとともに」と並ぶ名著になるのは間違いないですねぇ・・・・



ミルトン・エリクソンの6つの戦略

「戦略」とは何か? 

 「戦略」とは「現状」から「理想」に到達するための、いくつかの「道筋」ということになります。

比喩ですが、エベレストの登頂に成功したいと「理想」を想い描く。

 で、「現状」と「理想」の間をどのような「道筋」でつなぎ「理想」を実現するのか?

  この間で<利用>可能な資源をどのように得るのか?あるいは既にある資源をどのように活用していくのか?

 想い描く道筋が「戦略」ということになります。

逆の言い方をすると「現状」と「理想」をつなぐのが「戦略」ですから、少なくとも「現状」に対する認識と、過去や現状認識の枠組みに縛られない「理想」の2つの要素がないことには戦略は立てられないということになるわけです。

 それで、この「戦略」におおいに関係している話です。一昨日の日曜日ですが、Amazon の情報によれば、4月28日発売予定の「ミルトン・エリクソン心理療法:<レジリエンス>を育てる[1]ですが、4月20日で本書を八重洲ブックセンターで GET というわけです。



 ミルトン・エリクソンの6つの戦略

 で、心理療法家のミルトン・エリクソンを学ぶ時の注意点は、よほど意識しておかないと、「催眠誘導」とか「無意識」とか「言語」といった案外瑣末で局所最適で単なる手段となる部分だけに焦点が当たってしまいがちになってしまいます。

 もちろん、このあたりのことは、人類学者のグレゴリー・ベイトソンがサイバネティックスやシステム論を持ち込んでもっと全体的な視点からミルトン・エリクソンの技法を観察した結果を知らないと分からないことなのでしょうけれども・・・・

 それで、本書はもっと本質的なところ、

 なぜ、ミルトン・エリクソンはクライアントとのセッションで魔法のような変化を起こすことができたのか?

 MRIのポール・ウオツラウィックの定義からすると、それがクライアントの既存の枠組みを超えて大きな変化が起る第二次変化(Second Order Change)だったのか?

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_23.html

 クライアントは自身の経験の中から、資源・資質(リソース)を発見し、立ち直る力、つまりレジリアンスを回復したのか?

 クライアントを支援するためにミルトン・エリクソンの活用した6つの戦略に焦点が当てられています。
 
  • Partitioning 分割 → 否定的な連合(事象→情動/感情の結びつき)を細かくブレイク・ダウンしてもらう。悩みをひとつの大きな塊として認識するのではなく、幾つかに分割する。
  • Progression 前進→ 細かい成功体験を積み上げてもらう。小さな成功→情動/感情を逆に大きな塊として綜合するようにする。
  • Distraction 注意のそらし     → 固執していることから注意をそらしてもらう。
  • Reorientation 新たな方向付け→ 否定的な信念から予想される否定的結果の方向を肯定的な方向に変えてもらう。
  • Suggestion  暗示 →  現在予期している結果から、別の可能性に目を向ける暗示を行う。
  • Utilization 利用 → 現在起こった偶発的な現象から将来の可能性に目を向けてもらう。基本的にはJazzのインプロビゼーションのようにクライアントとの相互作用の中で利用おこる作用を積極的に活用しようという考え方。(例えば、偶発的出来事から良い意味のセラピューティック・ダブル・バインドをこしらえる。)


 もちろん、ここで示されているのは「戦略」です。

 つまり、エリクソンはあくまでもクライアントに「現状」と(目的論的に)「理想」を尋ね、その間をつなぎ「理想」を目指すための道筋としてこの「戦略」を利用し、クライアントに資源・資質を探して活用してもらうように促していることになります。

 逆の言い方をすると、エリクソンはクライアントに「現状」と「理想」を尋ね、そして、上の6の戦略の何れか、あるいはいくつかを使ってクライアントが「理想」を実現する支援だけしていることに気がつくということになります。

 もちろん、この戦略は、短期療法ベースのコーチングを行う場合も基本は同じですし、日常生活や仕事の場面でも役に立つと思います。 

 それで何かと騒がしい世の中、ともすると外的、内的要因に心が折れてしまいそうなことも多いわけですが、「人はどんなに落ち込んでいても立ち直ることができる」そのための「戦略」がエリクソンの継承者であるダン・ショートとエリクソンの2人の娘によって伝えられているということでもあるのでしょう。

 巻末についている、それぞれの戦略に則した6つのエクソサイズが嬉しいところです。


文献

[1]http://www.amazon.co.jp/dp/4393365305/

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