2014年5月24日土曜日

一般意味論のやり方でクリティカル・シンキングを教える



 クリティカル・シンキングの定義を考えると「今のところ、事実からきちんと推論すると、こんな途中経過になってます」と考えて、「未知の可能性」を意識しながら、それを
続けていく態度のことじゃないかなぁ・・・とも思ってくるわけです。途中で Why so ? So What ?は聞くにせよ(笑)。



一般意味論のやり方でクリティカル・シンキングを教える

 グレゴリー・ベイトソンのメタローグではないですが、小さな子どもに、

 「考えるってどういうこと?」

 と質問されたと仮定すると、案外これに答えるのは難しいように思ってきます。

 その理由は、普段私たちは、何かを対象にして「考え」を巡らせてはいますが、その「考え」自体を対象にして「考えについての考え」を巡らせていることは少ないことが挙げられるでしょう。英語で言えば、「Thinking」はしていても、「Meta-thinking」は行っていないということになるわけです。

 それで、人に何かを教える場合は、「Thinking」が出来るだけでは不十分で、やはり「Meta-thinking 」の視点から「Thinking」を教えないと良い先生とは言えないようにも思ってくるわけです。

 このようなことを考えながら「Teaching Critical Thinking by Way of General Semantics.[1]という論文を読んでいたのですがこれが中々面白いなと思ったのでご紹介しておきましょう。

 ここで面白いのは1987年に一般意味論協会でアルフレッド・コージブスキー記念講演を行ったロバート・ポールが一般意味論のデバイスと呼ばれるフレームワークを持ち込んで「考えるってどういうこと?」を特にクリティカル・シンキングとして説明しているところのように思ってきます。

 ここで、持ち込まれているのは一般意味論の7つのフレームワーク。

  1. Non Allness ---  地図は領土の全てを表しているわけではない。転じて「自分が知らないことがあることを自覚する」重要性が出てきます。余談ですが、ソクラテスの「無知の知」、心理療法家のミルトン・エリクソンの「Not Knowing 」アプローチもこの概念で説明することが出来るでしょう。
  2. Multi-Meanings --- 多くのコトバは複数の意味を持つ。コミュニケーションを行う場合、こういったコトバの性質に気をつけなければなりません。もちろん、方向としては誤解がないように一つの意味に収束するように話すのか?あるいは反対にミルトン・エリクソンのように敢えて double take , triple take のように複数の意味を持たせて話す場合もあるでしょう。例えば日本語でも「たつ」と言った場合。「立つ」「経つ」「断つ」「建つ」「絶つ」など文脈によって色々な意味に解釈される場合があります。
  3. Multi-Valueness --- 価値はそれを解釈する人によって幾通りにでもあります。人は誰でも俺と同じ価値で判断するべきだ!とやると相手の抵抗を受け、上手くいくことも上手くいかなくなるように思います。
  4. Indexing (diffrence) --- 人の間に存在する違いは、潜在的に問題を引き起こす可能性があります。この違いが障害にならないようにコミュニケーションを行う必要があります。
  5. Dating (change) --- 万物流転している。人の変化、場所の変化、ものの変化は常に良いものになり得る。
  6. Symbol reacting --- シンボルは人が知覚、思考する以上のものを表している。振る舞いはコミュニケーションで用いられるシンボルの背景にあるものをベースに行われるべきである。
  7. Etc . Attituede --- 心をオープンにして、今そうでないこと (etc . ) があると考えて人、状況、モノゴトから学ぶべきである。

 これを前提にして、リチャード・ポールはクリティカル・シンキングに考えています。ポールはクリティカル・シンキングを1)網羅性、2)思考のエレメント、3)思考の領域と定義しています。

 網羅性はおいておくとして、思考のエレメントを考えると
  1. 視座と参照枠
  2. (暗黙の)前提
  3. 中心となる概念
  4. 証拠、データ
  5. 解釈と主張
  6. 推論、意味付け
 
と考え、思考の領域として一般意味論のフレームワークに基づいた質問を使って、クリティカル・シンキングとはどういったことか?が説明されていることになります。

 もちろん、ここで一番重要なことは、クリティカル・シンキングというのは、安易に結論を出す技術ということではなく、「考えについて考える」メタ認知を促すとともに、現自体の事実で推論した結果はこのようになっています、というように一般意味論の「Etc.」で言われるように、「そうでない可能性」を冷静な心で、いつも意識しておくことではないか?とも思えてくるわけです。
 
 
文献

(参考)http://www.lifehacker.jp/2014/02/140219think_critically.html

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