2014年6月18日水曜日

マインドマップと一般意味論(その12)



 コトバによって「部分」を「全体」と思い込むというお話

 風邪をひいて、高熱とせきが出て寝込んだ時のことを思い出してみましょう。
 ここで自分にとって「風邪」とは何か?と考えてみる。

 おそらくほとんどの人は五感で知覚できる症状に「高熱」とか「せき」とか「体のだるさ」というコトバのラベリングを行い、「風邪」=「高熱」+「せき」+「体のだるさ」がすべてさ、とか考えたりするでしょう。まぁ、どうしても辛い症状に焦点が当たってしまうので仕方がないことなのかもしれませんけれど。

 しかし、冷静に考えると、症状である「高熱」+「せき」+「体のだるさ」が「風邪」全体を表しているわけではない・・・・とも気がついてきます。

 では、もう少し大きな「全体」、ここでは「風邪」といったことを意識するのはどのようにするか?というシステム思考的な話がここでのテーマというわけです。
 

 「部分」と「全体」のわりと深い話・・・・

コトバによってコミュニケーションは混乱する

コトバには、元々人間の知覚や認知を混乱させる機能がてんこ盛りでビルトインされている、ということを「社内英語公用化議論の不毛さ」というタイトルで書きました。


 ここでの趣旨は、一般意味論を引いて、英語を勉強しようが日本語を勉強しようが、知覚や認識を混乱させる可能性のあるコトバの性質そのものを理解しておかなければ、「英語だ」、「日本語だ」と単なる二元論で議論をしても全く不毛以外の何ものでもないということでした。

 コトバによって「部分」を「全体」と思い込む

 で、以下のリンク「一般意味論事始め 27の視点」で書いていますが、


知覚や認識を混乱させる性質の一つが、「コトバによって『部分』を『全体』と思い込む」ことです。

 一例としてこのようなことを考えてみましょう。

 「XXが『問題』です」というような形式を考えます。
 具体的には、「製品が売れていないのが『問題』です」というような場合です。

 もっとも、この表現自体が『問題』だ、と気づいた人はかなり鋭い人です。
 こういった表現は結構ありがちなのですが、これを時系列の過去(原因)→現在(事象)→未来(好ましくない効果)の3つに分けて「問題」をプロセスに戻して考えてみましょう。例えば、以下


原因:新製品の機能が顧客のニーズとマッチしていないと考えられること(仮説)
事象:製品が売れていないこと。(定量的には、目標 xx に対して ▲▲など)
(今後予想される)好ましくない効果:事業部の十分な収益が確保できなくなる。新製品の開発に投資できなくなる。人件費を含めた経費削減を行う必要がある・・・など


もちろん、ここでの目的はコンサルチックな問題解決法を説明することではありません。


ここで言いたいのは、人の性質として、目の前で起こっている「事象」やそれに対する「自分の気持ちや反応」を『問題』というコトバでラベリングして、それを全てだと思い込むことです。つまり、「コトバによって『部分』を『全体』と思い込む」ということ、この場合の例で言えば、「事象」という部分が、問題の「全体」だと思い込むこと自体が問題だと言っているわけです。

 では、スーザン・コーディッシュ女史の「USING GENERAL-SEMANTICS[1]13. QUOTE という一般意味論の言う' ' (シングルクオート)デバイスの導入となるわけです。例えば、 マインドと書く代わりに ' マインド' と書いてみる。これは、仏教の「単独で存在しているものは何もない」の認識論ではないのですが、マインドが単独で存在しているわけではなく、「何かの現れの一部」として 'マインド' と捉えてみる。

 そして、その背景や今意識を当てていないところには何かがある、と意識していみる・・・という具合です。もちろん、ここではとりあえず、シングル・クオートを「」と安直に翻訳せずに ' ’と書いています。

 もちろん、先ほど「問題」のところも、'問題'と書いてみて、'問題'というコトバは、全体を指すのではなく、「何かの現れの一部」として自分は'問題'を認識している、そして、まだ、細かいところに目を向けなくて良いのだけれども、少なくとも、自分があることに「問題」とラベリングして、そのコトバが何かの全てを表しているということを考えるのは辞めてみましょう・・・・とやってみるわけです。日常生活や仕事の場面でこのように意識してみることでモノゴトを関係性に焦点を当てる「システム思考」のモードに足を踏み入れていることは間違いないでしょう。


 これがマインドマップにどうつながるのか?

 この質問は結構、深い話になってくるようにも思います。

 マインドマップのブランチの上に単語を一つのせてみる。単語を ' ' で囲っても、囲わなくても良いのですが、ブランチを伸ばしていく前に、そのブランチをじっと眺めてみる。そして、その単語は私が知覚した「全体」を表しているわけではない。とつぶやいてみて、直接は知覚できないより大きな「全体」を意識してみるのも重要だ、というお話になってくるわけです。
(つづく) 
文献

[1]http://communication.ucsd.edu/_files/Berman%20-%20Advanced%20General%20Semantics%20Workbook%20Part%202.pdf


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