2014年6月17日火曜日

マインドマップと一般意味論(その11)



 コトバのレトリックで視点を変えてみると、出来事に対する反応は変わるのか?また、解決策はひらめくのか?

 問題を解決するためには、どの主体からという意味での「視点を変える」ということが有効なことがあります。

 例えば、問題を思い浮かべて、

 「『は、XX で困っています」と言ってみる。
 例:「私は、営業が上手くいかなくて困っています」とか「私は、上司と上手くいかなくて困っています」とか。

 次に、

 「『あなた』は、XXで困っています」と言い変えてみる。
 「あなたは、営業が上手くいかなくて困っています」とか「あなたは、上司と上手くいかなくて困っています」とか。

  違和感があるかもしれませんが、この違和感に焦点を当ててみる。

  また、より大きな視点をとる意味から、少し漠然としてシステムというのを想定して、
 「この『システム』は、XX で困っています」と言い変えてみる。
 「このシステムは、営業が上手くいかなくて困っています」とか「このシステムは、上司と上手くいかなくて困っています」とか。

 ちょっと宗教っぽくなりますが「営業の神様がいて、営業がうまくいかないことで私や組織に気づかせようとしていることは何か?」とか「人事の神様が居て、上司と上手くいかないことを通じて、私や組織に気づかせようとしていることは何か?」とか(笑)。

  そして・・・違和感に焦点を当ててみる。

 また、「私は、XXで困っています」と言ってみる。

 ・・・・・・・・何かの違いを感じてみる・・・・・・繰り返してみる・・・・

 運が良ければヒラメキや気づき、あるいは解決策がやってくるでしょう・・・・


 実体とは関係なく、コトバはコトバを参照できる

 英語版のWikipedia Mind Map の項目を参照すると、[1]、いわゆるマインドマップの成立過程において、アルフレッド・コージブスキーの創始した一般意味論が多大な影響を与えているのは明らかです。

 それで、個人的には、マインドマップの書き方自体に一般意味論の概念や理論が織り込まれていると考えています。それで、英語の論文にあたれば、「意味論とマインドマップ」とか「オントロジーとマインドマップ」とか、このあたりのロジックについて言及しているものもあるのですが、日本語で出ている著作は、ほとんど書き方の How -to ばかりで、「まずは騙されたと思ってやってみて!」というのがほとんどなので、個人的にはあまり好みとしないところです。

 もちろん、ここでのねらいは、そもそも論として一般意味論とマインドマップの関係を探求することで、一般意味論の概念に則したより効果的なマインドマップの利用法、具体的には、出来事に対するより良い感じ方、より良い思考法、より良い反応のパターンを探り、それを身につける、ということになるでしょう。

さて、昨日は、一般意味論の創始者であるアルフレッド・コージブスキーの著作「Science and Sanity[2]から『地図と領土の関係』を説明しました。

 簡単に言うと、一般意味論は「アリストテレス系」と定義されたモノゴトの見方から「非アリストテレス系」と言われる人を目指す構想であることを説明したわけです。
(以下)   
アリストテレス系
非アリストテレス系
AAである (Identity)
地図は領土ではない(Non-Identity)
全てはAであるかないかの何れかである(中間を排除)
地図は全ての領土を表していない(Non-Allness)
Aかつ非Aは同時に満たされない
地図は地図を自己参照できる(Self-Refrective)

 それで、今日は、この続きとして、3つめの Self-Refrective Refrexive とも言ったりしますが・・・)のお話を少々・・・・
 Self-Refrective ということなのですが、直訳すると、自分で自分を参照することができる、ということになります。一つの例ですが、「地図は地図を参照できる」は「コトバはコトバを参照できる」と考えることができます。つまり、コトバの性質から言って、事実とは関係ないところで、「噂が噂を呼ぶ」ようなことが起ることになります。

 もちろん、こう書くと、何も役に立たない情報が次から次へに生み出されているようにも思うわけですが、スーザン・コーディッシュ女史の「USING GENERAL-SEMANTICS[3]7. SELF REFREXSIVENESS の項目を読むともっと建設的で興味深いことが書かています。


Take responsibility for my own reactions: 自分の反応に責任を持つ:

What happens when I say “I” instead of the rhetorical “you” ?
レトリックとして「わたし」の代わりに「あなた」と言ってみたら何が起るか?

When I say “ you” is it you I 'm talking about myself ?
「あなた」と言った時、自分自身について語っているのはあなたか?
 (自分を二人称で語っているか?)

How can I rephrase this using “I” ?
 わたしはそれをどのように「わたし」と置き換えてリフレーズすることができるか?
How can I acknowledge the “ to-me-ness” of my evaluations ?

 わたしは、自分の評価における「人ごとではない」ことをどのように認めてますか?


 つまり、レトリックとして主語を変え、自己再帰的意識を利用することで、相手の立場からモノゴトを見ましょうという試みです。もちろん、かなり推測は入っていますが・・・・。

 特にこの例では、「人ごと」「人ごとではない」の区別をどのようにつけているのか?というその評価に焦点を当てる形式になっているわけですが、例えば、
「自分はものすごく気にしているけれど、思ったほど他人はあなたのそのことを気にしていない」とか、「人があることをするのは気になるけれど、自分でそれをやっていることには無頓着」などあれこれ視点の違いによる反応の違いに気づいてくることになります。

 それで、5. SELF-REFRESIVNESS についてのもう一つの項目を読んでみましょう。


Recognize multi-meanings: 多重の意味を認識する:


How did I develop my ideosyncratic definitions ?


外的な出来事に対する 知覚-認識(観念の構築)-反応、はどのようにつくられたのか?

Can there be other ways of defining/describing events?


その出来事に対するして他のやり方で定義、記述することはできるか?

How can I remember that we all have personal meanings for words and non-varbal experiences ?


私たち全ての人が、コトバ、あるいは非言語の経験に対する個人的な意味を持っていることをどのように思い出すことができるのか?



 一般意味論では、「人は外的な出来事に直接反応しているのではなく、出来事をきっかとしてつくられた意味に反応している」と考えています。この反応のことを特に「意味反応」と定義しているわけですが、「反応」を変えたかったら「意味」を変えましょうということになってくるわけです。

 もちろん、意味がつくられるプロセスは、1)出来事が起る、2)五感で情報を入手、3)表象がつくられる、4)気持ちや反応が起る、5)コトバで記述、6)推論が行われる、7)何らかの概念がつくられる・・・・のようになっているわけですが、このプロセスに着目して、今持っている以外の概念や意味をつくることで反応も変わる・・・・ということを言っているわけであり、意味を変えるために自己再帰的意識が深く関わっているわけです。これは以下のリンクで家族療法家のヴァージニア・サティアの質問について書いたところでもあります。


 それで、上の話がどのようにマインドマップにつながってくるのか?

 ということになります。で、個人的な考えは以下です、
  •  マインドマップ、基本は自分の視点で書き始める。
  •  自己再帰的意識を使って、知覚、思考、コトバ自体を対象にして、知覚、思考、コトバがどのように生まれてくるのかを意識する。
  •  場合によって、視点を変える、相手の立場、システムの立場・・・
  •  得たい「意味」や「反応」がどのように変わるのか?、気づきや解決のヒントは得られたのか?を意識してみる。
 ことで、効果的でエッジの効いたマインドマップが書ける・・・・

(つづく) 
文献

[3]http://communication.ucsd.edu/_files/Berman%20-%20Advanced%20General%20Semantics%20Workbook%20Part%202.pdf


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