2014年7月22日火曜日

ダブル・バインドについてのメモ



 ダブル・バインドの定義[1]は人類学者のグレゴリー・ベイトソンに譲るとして、仕事や日常生活におけるダブル・バインドはおそらく「究極の選択」と言っているものに該当するでしょう。

 ちょっと下品ですが「うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、どっちを食べる?」というような質問。

 もちろん、ここでは「どっちも嫌!」と拒否される可能性もあるわけですから、その前段にある状況設定として「必ずどちからを食べなければならない」また「その選択から逃げることは許されない」が必要になるわけです。

 例えば、SFだったとした、宇宙人によって地球滅亡のウィルスがばら撒かれてしまった、このウィルスのワクチンになるのが「うんこ味のカレー、もしくはカレー味のうんこ」、このウィルスから逃れるには必ずどちらかを食べなければならない・・・・というような具合(笑)。

 逆に言うと、店員の会話のようなもので、「ネクタイは青系統がよいですか?それとも赤系統がよいですか?」というような質問をされても、ネクタイを必ず買わなければならないという状況設定がないのであれば、あるいは「青系統を買っても、赤系統を買っても、ろくな結果にならない、あるいはどちらを選んでも成功する」という状況設定がなされていないのであれば、ダブル・バインドとしては機能しないというわけです。

 余談ですが、昔読んだ推理小説、タイトルは忘れたのだけれど、プロットがダブル・バインドになっていた記憶があります。それで、あらすじはこんな感じ。自分そっくりの従兄弟をアリバイに使って殺人を行うというもの。従兄弟を長野の温泉宿に自分の名前で宿泊させてアリバイをつくる、その間、自分は東京で計画殺人をする、その後、長野に移動して従兄弟に成り代わり、従兄弟は事故死してもらう。
  で、このオチは、自分が東京で殺人を行っている間に、従兄弟も長野でひき逃げ殺人を起こしてしまっていたというもの、その従兄弟を殺してしまった後に、これが発覚。で、ひき逃げを回避するには、東京の殺人と従兄弟殺しを告白しなければならない、殺人を告白しなければひき逃げで逮捕される、つまりどちらを選んでも罰せられるというもの・・・・で案外こういったダブルバインドの状況設定というのは読んでいる分には面白いのですよねぇ・・・・
 

ダブルバインドについてのメモ

 心理療法のミルトン・H・エリクソンの技法の一つにダブルバインドがあります。
もちろん、ダブルバインドは人類学者のグレゴリー・ベイトソンが統合失調症の原因の一つとなりうるとして定義したベイトソニアン・ダブルバインド、つまり、どちらを選んでも選択者に都合の悪いことが起る、と、この反対のエリクソニアン・ダブルバインド、つまり、どちらを選んでも選択者に好都合なことが起るの2つを表裏一体で考える必要があるというわけです。


 もちろん、ミルトン・エリクソンの場合は、どちらを選んでも選択者に好都合なことが起る、また、その選択からは逃れらないというような「禅問答」をどのように行うのか?が一つの鍵になっているわけです。逆の言い方をすると、単純な暗示みたいなものはあまり効果がないということでもあります。

 それで、「Double Bind[2]というサイトの記事が結構面白いのですが、以下を読むとますます面白くなってくるという具合です。

Offer a choice whereby whichever option they choose, the same result occurs.
When a part of them is resisting, make resistance a cause of entrancement. Bring in time or other limiting elements, so the choice disappears, and not choosing becomes a choice.


どちらを選んでも同じ結果が起る選択肢を提供する。

その選択肢に抵抗がある時、抵抗を恍惚状態に導く要因とする。時間やその他の制約事項を持ち込むことで、選択肢が消失し、選択しないこと自体が選択になる。



 このあたりはスティーブン・ギリガン著「The Legacy of Milton H. Erickson: Selected Papers of Stephen Gilligan[3]の中に自分を二項対立におくこと自体がトランスであり、通常覚醒した状態であれば either or ABかを選ばなければいけない状態であるが、トランス状態の場合は Both and A Bもの状態で普段は矛盾した概念なり要素なりが両立する状態と書いてあった記憶があります。

それで、元のサイトの引用:
And the more you try to resist, the deeper you go.
そして、あなたが抵抗すればするほど、あなたはより深く入っていきます。
Ahead of you are two paths. Raise a finger on your left hand if you want to go left, and on your right hand if you want to go right. ... And the path now goes down and down
2つの道を前にして。あなたが左へ進みたければあなたの左の指をあげなさい、そしてあなたが右へ行きたければ右の指をあげなさい・・・・そして、選んだ道をどんどん下っていきます。
And you know it's only a matter of time before you let go of that past, because the future is here, now, and the past is gone.
そして、あなたは、その過去を手放す前に必要なのは(これからかかる未来にある)時間でそれだけが問題だということを知っています、その理由は、未来は今ココにあって、過去はすでに過ぎたものだからです。



 もちろん、日本語で使う時は少し工夫が必要だと思うわけですが・・・・色々使い道は広いように思ってきます。

 (つづく)
文献

[3]http://www.amazon.co.jp/dp/1891944908/

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