2014年7月23日水曜日

ダブル・バインドについてのメモ(その2)



 人類学者のグレゴリー・ベイトソンの定義した統合失調症の原因にもなりうるとされたダブル・バインド、日本語で言う「二重拘束」は、ほとんど場合人とのコミュニケーションによってもたらされます。

 もちろん、統合失調症にはならなくても、日常生活や仕事の場面でも、相手が意図したのか?あるいは意図しなかったか?悪気があったのか?悪気はなかったのか?にも関わらず、ダブル・バインド、特に「~をしたらお前を罰する、~をしなくてもお前を罰する」のベイトソニアン・ダブル・バインドに陥ると非常に重たい悩みの種ということにはなるのでしょう。

 もちろん、このダブル・バインドから抜け出すための自分の戦略というものを持っているのか?持っていないのか?で日常生活をいかにお氣らくに過ごせるか?にかかってくるわけですが、ダブル・バインドの外し方というのが分かってくると、詰将棋を解くみたいに案外このダブル・バインドを解くのが楽しみになってくるのも面白いところなわけです(笑)。 
 

ダブルバインドについてのメモ

 ネットでダブル・バインドの言語パターンのようなものが流布していることがありますが、これがまったくダブル・バインドになっていないことも多いので注意が必要です。

 例えばこんなの・・・・

「今度の土曜日か日曜日、ご飯食べに行こう」と誘ってみます。
すると、相手の意識は「行く」か「行かない」ではなく、「土曜日」か「日曜日」になります。このように二者択一の状況を作るのが、ダブルバインドの効果を利用したテクニックなのです。



 要は、「どっちも都合が悪い」と断られることもあるわけであり、まったくダブル・バインドになっていない基本を理解していない非常にショボイ例というわけです。

 で、もういちどベイトソンのダブル・バインドの定義を復習しておきましょう。[1]



1.ふたりあるいはそれ以上の人間がコミュニケーションのコンテクストに存在。

2.
犠牲者は、繰返される経験の中で、ダブル・バインド構造に対する構えが形成される

3.
 
犠牲者に対して、第一次禁止の命令が行われる。

   
 a.
「これをすると、お前を罰する」 もしくは、
    b.
「これをしないと、お前を罰する」 という形式を取る。

4.
次に犠牲者に対して、より抽象的なレベルで第一次禁止の命令と衝突する第二次の禁止命令が行われる。これが第一次禁止の命令に対するメタ・メッセージとなる。

5.
犠牲者が関係の場から逃れるのを禁止する第三次の禁止命令が行われる。

6.
犠牲者は、ダブル・バインドの一部を知覚するとその任意の状況でパニックや憤激が引き起こされる

Gregory Bateson
Towards a Theory of Schizophrenia」より 

 それで、相手をダブル・バインドに陥れる可能性のある質問を考えてみると、一つは以下のような公式が考えられます。[2]


 悪いことについての仮定 + その頻度についての質問

例としては、以下

 1)また、ウソをつくの?
 2)奥さんに暴力をふるうのはやめたの?
 3)いつになったら助けてくれるの?                     


 もう少し状況設定をすると、あなたが営業で前任者を引き継いてお得意先を訪問した時に、その担当者からこう言われるような場合。

 「◯◯株式会社さんとして、今度の今度は、うちのやっているこのプロジェクトを成功させてくれるのでしょうねぇ?」

 これはある意味意地悪でダブル・バインドを誘発する質問です。

例えば、回答として、
「いままで通りにやらせていただきますよ」

と言えば、相手の担当者は
「ほぉー、いままでさんざんやらかしておいて、よくそんなことが言えますねぇ」
と怒り出す可能性がある。

また、反対に
「今度の今度は誠心誠意やらせていただきます」
と言えば、過去の非を認めて、今回は採算を度外視してもそのプロジェクトを一生懸命やらなくてはいけなくなる。

また、うっかり
「前任者に確認してみます・・・」
とでも言えば、相手は

「御社は、社内でまともな引き継ぎもできていないのですか?」
と怒られる可能がある・・・・と、どっちに転んでもこちらに有利、あるいは相手とWin-Winな結果にならないという具合です。

 で、ダブル・バインドを引き起こす可能性のある質問をいなすには以下のようなヒントが書かれています。[2]



The best response to a double-bind question is to treat it as an open question and respond to the assumption rather than the closed question.


ダブル・バインドの質問に対するベストな反応は、クローズド・クエスチョンとしてYes, No で反応するではなく、オープン・クエスチョンとして相手が仮定していることに対して聞いてみることです。


例えば、こんな感じ

1)何があなたに私がウソをついていると思わせるのですか?



 そう考えると、先ほどの営業の例は例えば、
「前任者から十分引き継ぎは受けておりますが、もういちどお客様の成功の定義をお聞かせ願えますか? それを満たすために十分なご支援を行わせていただく所存でございます」というような感じの受け答えになるでしょう。

 余談ですが、前出のデートの例は、おそらく男性が女性に「今度デートしましょうよ?」と言った時に女性が「そうですね、そのうち」みたいな答えがあって、そこで男性が「いつになったらデートしてくれるのですか?」みたいな状況になると多少はダブル・バインドということになるのでしょう(笑)。もちろん普通は「そのうち」というところでこの裏にある社交辞令だよというメタ・メッセージに気づけということなのかもしれませんけれどねぇ(笑)。

 (つづく)

文献

[2]http://changingminds.org/techniques/questioning/double_bind.htm

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