2014年9月13日土曜日

「推論のはしご」と「抽象過程の自覚」


  
  個人的には、コーチングや心理療法を認識論(Epistemology)に還元して考えているところがあります。その理由は、単純にそれがグレゴリー・ベイトソンあるいは彼のやり方を継承するベイトソニアンのやり方だから。

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_14.html

 それで、認識論ベースのコーチングの要点は、
・人が外的出来事をどのように捉え
・多くの情報の中からどのように情報取捨選択し
・情報を抽象化、記号化、言語化し
・仮定、前提、思い込み、信念をつくり
・出来事にどのように反応しているのか?

 クライアントさんに(経験の内容-コンテンツではなく)抽象化を伴った情報処理のプロセスを自覚してもらい、場合によってはそのプロセスを修正してもらうのがミソというわけですねぇ。例えば事実なのか?、単なる思いつきなのか?事実に基づいた推論なのか?を区別し自覚してもらう。てな具合に。

 これは一般意味論で言っている「(情報の)抽象過程の自覚」であり、認知科学で言うところのメタ認知でもって情報処理プロセスを眺めてみる試みというわけです。

 で、個人的には人の情報処理のモデルは一般意味論の「構造微分」でよいかなぁ?と思っていたのですが、クリス・アージリスの「推論のはしご」のほうがモデルとしてはシンプルだと思っているところ、なわけです。

 もちろん、モデルの良し悪しよりポイントは「抽象化過程の自覚」なのでしょうけれど、個人的には、これに加えてサイバネティクス的にS-R(刺激ー反応)もしくはS-O-R(刺激ー組織化ー反応)のモデルで「世界の投影として自己」と「自己の投影としての世界」の循環を意識したいところではあるわけですが。
 


「推論のはしご」と「抽象過程の自覚」

  人が何をどのように知覚・認識しているのか?は認識論をベースにしたコーチングなり心理療法では結構な課題です。

 それで、人間の知覚・認識は、五感から取り入られられた情報が抽象化(記号化、言語化、概念化)されていくというところが難しいところでもあり、面白いところでもあるわけですが、情報が抽象化されるプロセスを含めいくつかのモデルが提唱されています。例えば、一般意味論だと構造微分。[1] このモデルは少し複雑なところがあるので、実務では少し使いにくいところがあるところあります。余談ですが、S.I.ハヤカワの「抽象化のハシゴ」でも良いのですが。[2]

 それで、人の外的出来事に対する反応を考える時に役に立つのが、クリス・アージリスの提唱している「推論のハシゴ」[3]というわけです。このモデルはピータ・センゲの著作などで紹介されていた記憶があります。

 もちろん、このモデルは単なるモデルであり、人の知覚や認識はもっと複雑な処理をするわけですが、あくまでもこれが抽象化された形式で示されていることになります。



 ハシゴの下から。
1.観察可能なデータ、および経験
2. 観察から選択されたデータ
3. 観察者が(主観的)な意味を加える
4. 意味の段から仮定をつくる
5. 結論を得る
6. 世界に対する何らかの信念を持つ
7. 信念に基づいて行動を行う
(8.) 再帰的ループ(次回のデータの選択が信念に基づいて行われる)

 それで、認識論に基づくコーチングを簡単に説明しておくと、いくつかの経験をこのモデルで見てみて、クライアントがどのようにこれらの抽象化のプロセスにおいて情報処理をしているのか? 臨場感を伴ってこれらのプロセスを確認していく行為ということが言えるでしょう。もちろん、このモデルに代入するコンテンツとしての経験は必要になるのですが、あくまでも着目するのは、情報処理のやり方、つまり、プロセスということになってくるわけです。

 もちろん、これが絶対だという気はないのですが、自分が何かを問題だ!と認識している時、このモデルに即して、どのようなプロセスでそれが問題だと認識するに至ったのか?を自覚してみる、というのが認識論に基づくコーチングのはじめの一歩になることになります・・・・・。

(つづく)
文献

[3]http://www.mindtools.com/pages/article/newTMC_91.htm



記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。またの内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想、執筆、講演のご依頼はこちらまで tritune'`@''gmail.com





0 件のコメント:

コメントを投稿