2015年10月22日木曜日

ブリーフ・セラピーとポジティブ・フィードバック




 結局は、プロセスを(サイバネティクス的に)ポジティブフィードバックループできちんと回せるかどうかが認識や行動が変化する鍵なわけであって、ポジティブフィードバックを単に「褒める」とか行っている人たちじゃ、人や組織の認識や行動は100万年は変化しないでしょうねぇ(笑)。
 


コンサルティングやプロジェクト・マネジメントの分野でも人や組織の課題、もっと正確にいうと、人や組織の「認識( Epistemology)」や「振る舞い」に起因する課題を扱うのは結構骨の折れる仕事です。

 もちろん、人や組織といった<生き物>が絡むと<無生物>の機械を扱うようなわけにはいかず、必然的に<生き物>の認識や行動を扱う方法論が必要となってきます。

 それで、今日は、<生き物>を扱う方法論の一つと成り得るブリーフ・セラピーの原則について書いておきましょう。もっとも、ブリーフ・セラピーといっても各流派があるわけで、ここではMRI (Mental Resarch Institute)版とSFBT(Solution Focused Brief Therapy)版の両方について考えてみましょう。

  • 対象が無生物の場合は問題に焦点を当てる

 それで、まずは機械の故障のような無生物系に関する問題解決に関する原則から考えてみましょう。

 パソコンが壊れた、自転車が壊れた、プリンターが壊れた・・・といった場合にこの問題に取り組むプロセスは、一般的には以下のようになるでしょう。

1.壊れているところを見つける。
2.壊れている部分を修理・交換して直す。
3.元通りに動くことを確認する。
(再発防止のために、頻度が高い問題、インパクトが大きな問題については原因を究明して防止策を講じる)

 もちろん、ここで行間を読むと、1)うまく行っていない問題に焦点を当てる。2)問題の相互作用の度合いが少ない。3)現状回復がゴールで現状の枠組みを超えたブレイクスルーは期待されていない。プロセスは必然的にネガティブ・フィードバックで回されるという前提が見えてきます。

 また、こういった方法論を人や組織に適用しても上手くいかないというのは、なんとなく想像できるところでもあります。

  • 対象が人や組織の場合は(現状の枠組みを超えた)解決に焦点を当てる
 
 それで、人類学者のグレゴリー・ベイトソンや家族療法家のヴァージニア・サティアの在籍したことのあるカリフォルニア州パロアルトにある心理療法の研究機関であるMRIの前提と、シェザーらの流派であるミルウォーキー流のSFBTの前提を少し見てみましょう。[1]

 で、MRIはベイトソン言う<統合失調症的ダブルバインド>にはまっていてかなりどん詰まりな状態(ロゴ・セラピーのヴィクトル・フランクルの収容所のような世界)を想定しているように思えてきて、SFBTはそこまでひどくない状態を想定しているようにも思ってきます。

 もちろん、2つの違いは前提の<順番>の違いですが、案外これが深い哲学の違いのようにも思ってきます。
 
従来のブリーフセラピー(MRI)
ソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピー(SFBT)
1. 壊れていなければ直すな
           ↓
2. 上手く行かなければ二度と繰り返すな、何か違うことをやれ
      ↓
3. 上手くいくことが分かったら、それをもっとやれ(ポジティブ・フィードバックで)
1. 壊れていなければ直すな
             ↓
2. 上手くいくことが分かったら、それを上手くやれ、もっとやれ(ポジティブ・フィードバックで)
     ↓
3.上手く行かなければ二度と繰り返すな、何か違うことをやれ

それで、この前提について考えてみると、心理療法家のミルトン・エリクソンの考え方や技法が反映されているように思うわけですが、

1)相手に壊れているとかダメというメタメッセージを送らない。2)現状上手く行っていることに焦点を当てる(それがなければ、現状の枠組みを超えるために何か突拍子のないことやって認識ー行動のパターンを変える)。3)問題は状況や人の相互作用で起きていると考える。4)創発的な変化による現状の枠組みを超えた認識や行動が最終的に期待される。

 もちろん、前提にあるようなプロセスをサイバネティクス的なポジティブ・フィードバックループで回し、対象となる人や組織の認識や行動の根本的変化を狙っているということになります。逆に言うと認識や行動の変化をポジティブフィードバックで回せるかどうかが鍵ということになってきます。

http://ori-japan.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html



文献



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