2015年10月27日火曜日

プロジェクトの遅延と方法論が気になる今日このごろ




 コンテンツとしての<テクノロジー>も大事だけれど、製品やサービスを完成させるプロジェクトの<プロセス>も大事なんだろうなぁと・・・(笑)。


個人的に、プロジェクトマネジメントのコンサルティングを仕事の生業の一つとしています。


 それで、一般的には、プロジェクトの成功は、1)品質、スコープ 2)納期 3)コスト のクライテリアを厳守して集結させることをゴールとしています。


 このクライテリアで見ると、三菱のMRJ、やATD-X、あるいは米国JSF F-35のプロジェクトの遅延は、1)品質低下、スコープ縮小、3)コスト増招きプロジェクトを失敗させる要因ともなり得るために他人事ではないところがあります。


 もちろん、こういったことは企業や国家機密に関わることですから、その事情というのが外部に出ることはあまりないようにも思えます。


  • F-22開発プロジェクトを成功に導いた TOC-CCPM


 もっとも、米国も F-22 Raptor のプロジェクトになると話は別で、その技術的な軍事機密は依然ベールに包まれているものの、プロジェクトマネジメントに関しては、どのようなプロセスで機体自体の研究開発を行ったのか?についてp.400 弱の論文で報告されているところがあります。[1]


 このレポートを読んでいくと面白いのは F-22 の開発には、TOC CCPM (Critical Chain Project Management)が使用されていること。


 TOC CCPM は元々、「ザ・ゴール」でおなじみのエリアフ・ゴールドラット博士によって提唱された TOC (Theory of Constraints) をプロジェクトマネジメントに応用した方法論で、プロジェクト期間を短縮する目的で使用されます。元々、TOCはボーイング社の十八番で、2001年まで本社のあったシアトルの近くにあるワシントン州立大学ではTOCの講座が提供されており地域ぐるみで取り組んでいることが分かります。[2]


 この手法は、ITプロジェクトなどのプロジェクトで使用することが可能で、個人的にはERPの導入プロジェクトでこの方法論の導入支援を行い本来12ヶ月の予定を10ヶ月に短縮したことがあります。もちろん、それが有効に機能するための条件が整う必要はあります。


  • F-35開発プロジェクトを監査するために導入された EVMS


 また、度重なる遅延となっている F-35 のプロジェクトについては米国会計検査院の監査のために EVMS(Earned Value Management System: 工事進行基準)を導入し、進捗と投入資金を<見える化>している形式になっています。[3]


 もちろん、こちらは本来3機別の目的で作成すれば良かったものを1機にまとめてしまったことや、単発のためエンジン開発の難易度が上がっているなど、所々の事情で<金食い虫>プロジェクトになっているのはご存知の通りです。


 さて、こういうところを見ていくと、プロジェクト・マネジメントのような<プロセス>の公開については米国はかなり大らかだなぁという感想を持つとともに、ある意味、<プロセス>だけ公開してもそれをマネジメントするにはそれなりの人材と組織の成熟度が必要であり誰にも真似できるわけではないという自信の現れでもあるのでしょう。

 そのようなわけで、三菱航空機がどのようなプロジェクト・マネジメントの<プロセス>を使っているのかは現在のところ分からないのですが、プロジェクト完了の暁には是非公開していたいただきたいと思っています。



文献

[1]http://scholar.lib.vt.edu/theses/available/etd-05202005-143545/unrestricted/01casey-Phd-Dissertation-final.pdf
[2]http://public.wsu.edu/~engrmgmt/holt/WSU-TOC-Flyer-Web.htm
[3]http://www.gao.gov/assets/660/652948.pdf

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