2015年12月18日金曜日

ミルトン・エリクソン論文集(vol.1 〜 vol.4)

      

 ひょんなことから、心理療法家のミルトン・H・エリクソンの論文集

 が手に入った。

 年末、年始に読んでみようと思っているところ。


 <ひとりごと>



マニュアルを読んだからスポーツがうまくなるわけではないけれど

 心理療法家のミルトン・H・エリクソン執筆、おなじ心理療法家のアーネスト・ロッシ編集の論文集を手に入れた。本当は、知らない間に、向こうからやって来たという感じだが(笑)。




 なぜ、今更エリクソンなのか?

 という疑問はある。しかも、エリク・エリクソンではなくミルトン・エリクソン。で、答えのひとつは、マネジメント・コンサルタントとして人の認知や組織の振る舞いまで扱おうとすると、ミルトン・エリクソンがやっていたような方向を扱わなくてはいけなくなるから、という安直なもの。人類学者のグレゴリー・ベイトソンではないが、少なくともエリクソンの技法は保留しても、ストーリーやメタファーを別の状況の問題解決に持ち込めるという仮説は立つ。・・・・本当は技法も使えるのだけれど・・・

 普通の心理学ではダメなの?

 もうひとつの答えは、エリクソンの本質のひとつは戦略的なプローチだ。つまり、現状-理想をどのように埋めるのか? 少なくとも、ヘイリーはそう見ていた。もっとも、現状ー理想を穴を埋めるように何か土でも詰めれば理想になるのであれば苦労はしないのだが。逆に言うと現状から何か積み上げたからといっても理想にならないところが面白いところでもある。

  加えて、理想のゴールは既存の枠組みを超え、その達成の行動支援も行う、
のがあるので、実は通常のコンサルタティブなアプローチと非常に相性が良い。スタイルは違うけれどやっていることは同じ。特に、人や組織の変化を扱う場合、深い洞察が得られる。逆に言うと、精神分析のように過去に遡って原因分析するようなアプローチにはあまり興味がない。

 人と組織を扱う

 他の答えは、エリクソンは家族とか集団をシステムとしてみているところがある。朱に交われば赤くなる。集団の中では個々人の性格分析やタイプ分けみたいなものをやってもクソ役ににも立たない。逆に言うと、組織の問題を解決するために、組織の変化を扱う場合は、人や組織をひとつのシステムと考える家族療法的なシステムズ・アプローチが必要だということだ。

 それに、ナラティブやメタファーの要素も入っていて、色々興味深い・・・・と、まぁ、理由を上げていくとキリが無くなる・・・・・・個人的な趣味として、一見して怪しいというのも興味をそそるところ(笑)。怪しいことを怪しくない方法で説明する、実行することは非常に面白い取り組みだからだ。

 エリクソンを観察するモノサシの必要性

 もちろん、エリクソンを見るためのモノサシとして、東海岸系のサイバネティック、西海岸系のエナクティブな認知科学と一般意味論はひととおりおさらいはしたという前提。一般意味論やエリクソンを研究したMRIの人たちは、コミュニケーションを<統語論><意味論><語用論>の3重記述をしなさいと言っているけれど、発想はこういうこと。こういった枠組みがないとエリクソンが何をやっているかすら理解できない。また、いくつかの枠組みで相対的に見る、メタに見るというのは案外重要だ。


 もちろん、エリクソンを学ぶ基本は内弟子制度のような暗黙知ー暗黙知のモデリングになるが、上のようなフレームワークがないと文章として形式知化した時に非常情けないものになる。また、余談だが、<統語論>のモノサシとしてだけ使うのであれば、NLP(神経言語プログラミング)もそう悪くはないと個人的には思っている。ただ、<統語論>だけしかないと、それはそれで困るし、これが問題を引き起こすことにもなるのだが・・・

 もっとも、こういうモノサシが何も無いと、カルトに流れていっても自覚できないので注意が必要だ(笑)。まぁ、笑い事ではないけれど、エリクソンを研究する時は、こういった命綱を張った上で入っていたほうが良いと思う。

 また、個人的にはエリクソンの十八番のように言われる催眠自体はあまり興味がない。やれと言われればやるけど、あくまでもおまけ(笑)。理由は、人や組織の認識や行動の変化を支援するのに(明示的な)催眠は必須ではないから、状況設定とシステムズ・アプローチが基本。だから、立ち位置はいつも人類学者のグレゴリー・ベイトソンでメタの視点を立てて<統語論><意味論><語用論><システム論>から見ている感じにはなっている。

  ウンチクが過ぎた。本題に入ろう。


  さて、本題   全4册で、一冊が 500ページ強となるので、全部合わせると 2,000ページ前後の分量。内容は、学術誌「American Journal of Clinical Hypnosis」に掲載された論文中心で、ロジカルに書かれているので読み応えがある。

 1.The Nature of Hypnosis and Suggestion [1]

    2. Hypnotic Alteration of Sensory Perceptual and Psychophysical Processes [2]

    3. Hypnotic Investigation of Psychodynamic Processes [3]

    4. Innovative Hypnotherapy [4]


   1冊目を100ページほど読んでみたところだけれども、中々興味深い内容で満載だ。面白そうなネタとしても活用できそうな感じはしている。何れにしても年末年始、愉しみながら、読むことにしている。確か、2.は日本語訳を読んだ記憶があるけれど、探すのが面倒臭いのでとりあえず原文で読むとする。

(つづく)

 文献
記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/okirakusoken

0 件のコメント:

コメントを投稿