2016年7月16日土曜日

時の流れに:ミルトン・エリクソン&グレゴリー・ベイトソン


                                                                                                                             
 100の理屈より、1つの効き目のある技法(笑)。

 <ひとりごと>



ダブルバインドは既に死んでいる?

  先日、ミュージシャンのポール・サイモンが引退を示唆との記事を読んだ。[1] 個人的にリアルタイムで聴いていたわけではない。が、印象に残っているのは、ずっと後に聞いた「Still crazy after all these years (邦題:時の流れに)」という曲だ。[2] 

  理由は、バックバンドである「STAFF」を含め Jazz Fusion をよく聴いていて、マイケル・ブレッカーの Sax を耳コピーしていたからだ。だから、これだけのバックを率いることができるのは凄い歌い手に違いない、と勝手に推測していたにすぎない。曲名のニュアンスは「今も昔と変わらず、バカをやっているぜ!」ということなのだが、なかなか含蓄がある題でもある。

 さて、この題から思い出すのは、ネットに転がっている「The Double Bind Theory: Still Crazy-Making after all these years」とタイトルのついた心理療法上の二重拘束(ダブルバインド)についてのエッセーだ。[3] もちろん、このタイトルはサイモンの歌を意識しているのが推測される。

 心理療法の一つの分野にもなっている短期療法は、ダブルバインドの仮説を中心に発展してきたところがある。もちろん、統合失調症の原因仮説、つまり Why としてのベイトソニアンのダブルバインド、それとそれを治療する技法、つまり How としてのエリクソニアン・ダブルバインドだ。[4] 




 一般論だが、Why の裏返しが How になるか? How と Why が一対一で対応しているか?というと必ずしもそうではない。また、同じレベルで語られるのか?というとそうではない。ベイトソン的に言えば、論理階型が異なるものごとということになるだろう。もっと下世話なアナロジーで言うと、ビジネスで値段が高いから売れないという分析をして原因仮説をつくって、では値段を下げるという施策を打っても必ずしも売れるわけではないというのと似ている。値段を下げずに売る方法はいくつもある。

 さて、現在は、統合失調症の原因仮説としてのベイトソニアン・ダブルバインドのほうは、理論としてはかなり怪しくなってきている。が、その治療法としてのエリクソニアン・ダブルバインドはいまだに生きている、ということになる。

 そう考える、結局役に立つのは、100の理屈より、1つのプラグマティックな技法ということになるのかもしれない。つまり、<現場>にいって<現実>を見て<現物>を触ってその状況、文脈で機能することを試行錯誤の中から見つけていくということに尽きるのだろう。STAFF をバックにポール・サイモンが歌う「Still Crazy after all these years.」を聴きながら、クレージであり続けることとは、いくつになっても、現場で試行錯誤を続けることなのだろうなと、こんなことを考えていた。

(つづく)

文献
[1]http://www.afpbb.com/articles/-/3092319
[2]https://www.youtube.com/watch?v=46bkXgxb66E
[3]http://www.psychotherapy.com.au/fileadmin/site_files/pdfs/TheDoubleBindTheory.pdf
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/11/blog-post_06.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/okirakusoken

0 件のコメント:

コメントを投稿