2016年7月26日火曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:ソリューション・フォーカスが仮定していること


                                                                                                                             
 日常生活を送っていると、どうしてもニュートン系のメタファーで色々なことを考えているところがある。

 つまり、石を投げれば運動方程式に従う・・・みたいな因果の明確な自然科学の世界。

 で、人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンは、石を蹴った時と犬を蹴った時は違っていて、犬がどっちに飛ぶのか、踏ん張るのか?予想できないとした。

 で、社会科学は、ぶっちゃけ、因果のよくわからないど根性ガエルの世界だということ(笑)。

 
 <ひとりごと>



あくでも仮定

  イヴ・リップチック「Beyond Technique in Solution-focused Therapy: 」[1]の中にソリューション・フォーカスト・アプローチがその技法を使う前に仮定していることが書かれているが、これが中々興味深い。言っていることは一見簡単そうだが、そもそも論として発想の転換を迫られているところもある。

 で、実際には以下だ、

 

1. すべてのクライアントは唯一無二の存在である。

2. クライアントは生れつき自分自身でなんとかできる強みと資源・資質(リソース)を持っている。

3. すべてのことが否定的というわけではない。

4. 抵抗といったものは本当は存在しない。

5.セラピストがクライアントを変えることはできない、クライアントはクライアント自身によってのみ変わる。

6. ソリューション・フォーカスト・セラピーはゆっくり行く。

7. 原因ー結果という関係は存在しない。

8. 解決策というものは必ずしも問題をなんとかする、というところに存在するわけではない。

9.情動というのは問題の一部をなし、解決の一部をなす。

10.変化はどこにでもあり避けられない、小さな変化が大きな変化の導火線となる。

11. 過去に起こった事実は変えられない、したがって人は未来に焦点を当てるようにするべきだ。


 
一つ一つを読むと中々深い。

1.と2. はミルトン・エリクソンの影響が大きい。対象はマスではなく、個々の人を対象にテーラーメイドの解決策でその人独自の強みや資源・資質を引き出すお手伝いをしなさいということ。
3.は、おそらく易経の影響、陰転じて陽となる。
4.は、スティーブ・ド・シェザーの論文「The death of resistance」[2]から。
5.は、これもミルトン・エリクソンの影響。「人を動かす」とか「人を変えてやる」言っている奴はバカ(笑)。
6.は、MRIの介入である「Go Slow 」[3]から
7.は、ニュートン系と違って認識の世界は客観的な因果は成立しない、というころ。
8.は、問題の裏返しが解決策にはならない。例えば、値段が高いの客が来ない。では値段を下げた、でも客が来ない。みたいなことは社会科学的世界ではお馴染み。
9.は、アントニオ・ダマシオのソマティック・マーカー仮説[4]で言われていること。論理だけではなく、情動も問題解決に使うという発想は多いにあり。
10.このあたりは仏教的な世界観と複雑系。諸行無常と創発的な変化。
11.は、これもミルトン・エリクソンの影響。

で、お鍋に具をいれて、ぐつぐつ煮込んだらなんか美味しい料理ができましたという世界(笑)。

で、自然科学ばっかりやっている人には最初はかなり違和感がある仮定、だと思われます。
 

(つづく)

文献
[1]https://www.amazon.co.jp/Beyond-Technique-Solution-Focused-Therapy-Relationship/dp/1572307641/
[2]http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6714383
[3]https://postmoderntherapies.wikispaces.com/MRI+brief+therapy
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/Somatic_marker_hypothesis

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