2016年7月18日月曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:外向きのトランスを使う


                                                                                                                             
 外向きのトランス?

 日本だと、17世紀に宮本武蔵が<五輪の書>で兵法の目付けについて書いているので別に新しいものじゃない(笑)。

 もっとも、これは竹刀を振ったりしなくても、ベティ・エリクソンの自己催眠を練習すれば簡単に身につけられる。

 今のコトバで言えば「マインドフルネス」だ。本格的にやるなら禅寺で座禅を組めばよい(笑)。

 現実を観察したり、メタファーからくるひらめきを得るにはもっとも良い心身状態ではある。

 <ひとりごと>



外向きのトランスを使う?

  著者ではなく、他の研究者がサマった引用が役に立つことは多い。[1]
 
  例えば、ミルトン・エリクソンとロッシ夫妻の著作である「Hypnotic Realities 」[2] からの引用が以下、


 Erickson Believed that unconscious communication and learning were more effective and reactive in an altered state of consciousness  (Erickson , Rossi & Rossi ,1976). 

 エリクソンは、無意識のコミュニケーションと無意識による学習は、変性意識状態においてより効果的かつ、より状況の変化に対応できる、と信じていた。

 
 「変性意識状態」[3]などのビッグワードに囚われてはいけない。コトバに囚われるのはバカのすることだから。

  さて、一般的に人は経験からなんらかの認識上の枠組み(Frame of reference )を構築する。で、何か出来事が起こる。人はこの枠組みに照らして、いつもこうなるから今度もこうなる、と無意識に推論を働かせる、あるいは感情が起こったり反応したりする。この枠組みと信念システム( Belief System)が相互作用して物事に対する認識や反応が固定される。従ってほとんどの人はいつもの反応しかできなくなる。サイバネティクス的にはポジティブ・フィードバックで同じ思考、同じ振る舞いが強化されていることになる。

    逆の言い方をすると、枠組みや信念システムの働きを弱くして、いつもと同じではない認識や反応をともなった心身状態が「変性意識状態」というわけである。「Hypnotic Realities 」をじっくり読むとそれ以上でもそれ以下でもない。結局、人が将来にもっとうまくいくやり方、もっとうまく行く考え方は過去の成功体験に制約を受けているということでもある。成功体験が新しいことを学ぶのを阻害している。ある意味、面白いパラドクスでもある。
 
話を続けよう、さらに同じ著作にエリクソニアンのスティーブン・ギリガンの「Therapeutic Trances 」[4]よりの引用、


Gilligan (1987) advocates that the therapist  adopt an externally oriented interpersonal trance.  This allows the therapist's unconscious mind to tune in to the patient's unconscious message , feelings , and needs .  The therapist who become involved in this kind of trance activity is better able to resonate.

ギリガン(1987) はセラピストに対人間の外向きのトランスを採用するように推奨している。これはセラピストの無意識の心が患者の無意識のメッセージ、感情、欲求にチューニングすることを可能にする。この種のトランス活動に巻き込めるようになると、うまく共鳴できるようになる。


 
 トランスは敢えて二分すると2種類ある。一つは内向きのトランス( internally oriented trance)と外向きのトランス(externally oriented trance)だ。ギリガンの著作ではクライアントが内向きトランス状態になり、相互作用としてセラピストが外向きトランスの状態を取ると仮定している。もちろん、コーチングでクライアントも外向きトランス、セラピストも外向きトランスのような向き合いになると古武道のような向き合いになる(笑)。それで、ギリガンはセラピストは外向きのトランス状態を取れるようになることを推奨している。

 外向きのトランスは別に新しい概念ではない。日本だと宮本武蔵が五輪書で兵法の目付けについて書いている。[5] 目的はどんなに強い相手と立ち会っても、過去の成功体験に囚われずに今・ココでリアルタイムに学ぶモードに入るということでもある。従って、一般的には酩酊状態になっていることだけがトランス状態、あるいは変性意識状態だと誤解されているところがあるが、知覚が完全に外に向いた状態がもっとも学ぶことができるということになる。

 だから、実は心理療法家のミルトン・エリクソンも兵法の目付けを効果的に使っていたというのがロッシやギリガンの著作でも書かれていることだ。

 では、これをどのように練習すればよいのか?

 もっとも簡単なのは、エリクソンの妻だったエリザベス・ムーア・エリクソン(通称:ベティ・エリクソン)の技法である。ベティ・エリクソンの自己催眠の特に一次経験からトランスに入る練習をすればよい。[6]  要はここで書いた三角形の半分の練習をすればよいということになる。一次経験を使うのが外向きトランス (externally oriented trance)で、二次経験を使うのが内向きトランス (internally oriented trance )ということになる。で、練習自体は簡単だが、案外深い。

 あるいは、最近いろんなところでやっている「マインドフルネス」のトレーニングに出る。あるいは、ご近所の禅寺で座禅を組む・・・・・方法は色々ある。

 会社の中を観察する時、相手の相談に乗るとき、主体が内的トランスに入って眠ったように映っていてもしかがたない(笑)。あるいは、会社で部下の相談にのっている時、相手を内的トランス状態にしても怪しいだけだ(笑)。その意味では、外的トランスをつかって、過去の枠組みに囚われていない状態をつくりだす、というのは新しいことを学ぶ上では必須だというのがここでの結論になる。

 過去に囚われず、<現場>にいって<現物>を触って<現実>を認識する、その時に外向きのトランス状態で知覚を外に開いてそこに在ることは非常に有効だ、ということになる。
 

(つづく)

文献
[1]https://books.google.co.jp/books?id=rVnfAQAAQBAJ&pg=PT63&lpg=PT63&dq=externally+oriented+trance+metaphor
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/03/hypnotic-realites.html
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/Altered_state_of_consciousness
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/search/label/参考文献
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/11/blog-post_10.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/03/10_13.html

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