2016年7月8日金曜日

心理療法やコーチングにおけるメタファーの活用(その2)


                                                                                                                             
 メタファーを聴くコツは抽象度のズレを聴くこと。

     昔、「私はイギリスと結婚している」と宣った女王がいた。

 もちろん、子供のように「どうやって国と結婚するの?」とか聞いてはいけない(笑)。

 これは一種のメタファーなのだから。

 ただし、メタファーを慎重に聴くと、普段は気づいていない深い世界観が含まれていることも多い。深いレベルでの思考の枠組みや行動を変化させようと考えると、どうしてもこの世界観を取り扱わなければならない。

 <ひとりごと>



メタファーの要諦は現実世界への落とし込み

 昨日の続き、

 http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_7.html  

 口では「平和が大好き、戦争反対〜」と言っている人も、別の場面では「恋は戦争よ!」などと言っていたりする(笑)。

 「恋は戦争」は、UCバークレーの認知言語学者ジョージ・レイコフが「Metaphors we live by」でも書いていたと思うが、ある意味メタファーで本音の世界観が現れているところでもある。[0]

 余談だが、消費者向けのマーケティング調査でもハーヴァード発の消費者のメタファーを聴く技法が使われていたりする。[1]  この理由は、表層的に「どんな製品だったら買いますか?」「どんな新製品が欲しいですか?」と言った質問による調査は単なる表層的な答えだけで終わってしまうことが多いからだ。消費者の心の底に潜む本当の潜在的ニーズを引き出すにはメタファーが有効だということだ。

  さて、うんちくが過ぎた。Kopp & Craw (1998)の7ステップのメタファー活用のプロトコルを書いておこう。このあたりの技法は学術研究されているから、エビデンスベードと思ってもらって差し支えない。で、ポイントのひとつは、心理療法家ミルトン・エリクソンのようにセラピストがつくるメタファーではなく、コップの場合はクライアントが自らつくる、あるいは思い浮かぶメタファーを利用することだ。この方法もうまく行けば、認識の枠組みや行動が変化する。

 もう一つのポイントは、妄想だったにしても現実に落としこむということだ。クライアントが頭の中でどんな妄想を描こうとも、そのメタファーを明示して、現実世界でそこから得たアイディアなりヒントなり気づきがどのように役立つのか? 要はそのメタファーが妄想だったにしても、日本の製造業チックにそのメタファーが<現場、現実、現物>に対してどのように役立つのか? イメージと現実がつながるように、それをきちんとファシリテーションするのがコーチやセラピストの役割だというわけだ。[2][3] 妄想から出発しても現実で役に立てば、それは役立つメタファーだという非常にプラグマティックな考えだ。

以下手順:
 

ステップ1:
 
 コーチ/セラピストはクライアントのメタファーに気づく。

ステップ2:

 クライアントにメタファーについて質問を始める。
 「その<メタファー>はどのようなものか?」
  「その<メタファー>のイメージはどのようなものか?」

ステップ3:

 知覚に結びつけてメタファーを探求する、臨場感を上げる。
 状況:「その<メタファー>の場面はどのようなものか?」
    行動/やり取り:「その<メタファー>で何が進行しているか?」「その<メタファー>で他の人は何をしているか?何を言っているか?」
 時間:「何がきっかけでそれが起こっている?」「それが起こる直前に何が起こっている?」「それに続いて何が起こっている?」

ステップ4:
 
 メタファーの経験を聞く。
 「その<メタファー>は理想としては、どうあったらよいか?」
  「その<メタファー>の経験は何か?」
  「その<メタファー>から何を感じるか?」

ステップ5:
 
 メタファーを変化させる。
 「その<メタファー>を変化させることができるとすれば、どのように変化させるか?」

ステップ6:

 メタファーと現実世界とのつながりを意識する。
 「その<メタファー>と現実世界のことは、どのようにつながっているのか?」

ステップ7:

  メタファーの修正。
 「現実世界に合わせて、その<メタファー>を修正するとどのようになるか?」

 
 個人的には、メタファーを引き出し臨場感を高めるために、7つのフレーミングを使うとよいとも考えている。[4]

   余談だが、ある業界で普通に行っていることをメタファーとして別の業界に持ち込む。

最初が突拍子もないアイディアと思うのかもしれないが、実現すると既存の常識や枠組みを超えた結果が得られることも少なくない。今流行りのコトバで言えば、イノベーションということになるのかもしれないが、イノベーションにはメタファーを使ったアブダクションによるロジックは必要だ。まぁ、これも人類学者グレゴリー・ベイトソンの受け売りだのだが、画期的なことを考えたと思っても、ベイトソンの手のひらで踊っている今日此の頃だ。もちろん、これもメタファーなのだが(笑)。

(つづく)

文献
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