2016年7月5日火曜日

The Power of Six : 未来を創発させる質問(その1)


                                                                                                                             
 ブリーフセラピーの要諦の一つは、メタファー。

 既存の枠組みを超えてアイディアを得たり、考え方や行動を変化させるためにはメタファーを使えることが必須だ。
 
 これは人類学者のグレゴリー・ベイトソンが言っていることでもある。

 では、具体的にどうすれば良いのか?

 答えは、メタファーを引出して、メタファーを扱える質問をマスターすればよいだけ。これに尽きるのだが、認知言語学をガッツリやった人か、心理療法家のミルトン・エリクソンでもガッツリ研究した人でないと、どうしてそうなのか?はなかな分かってもらえない(笑)。

 もちろん、認知言語学が教えているように、メタファーは人間ならだれもが自然に使っているわけで、免許や資格が必要というわけでもないのだろうが(笑)。

 <ひとりごと>



メタファーはアブダクティブに考えるツール?

  人が考えるロジックは主に3つある、と言われる。

 一つは、演繹 (Deduction) 、2つめは、帰納 (Induction)そして3つめはアブダクション(Abduction) 。[0] もちろん、厳密にいうとアブダクションにもいくつか種類がある。

 一般的に演繹や帰納の場合、過去の延長上に結論がくる。また、誰もが同じ前提で考えるとだいたい同じような結論になる。もちろん、同じような結論になるのが悪いわけではない。

 しかし、望む未来が過去の延長にあることは少ない。

 新しい製品やサービスを考えたりする場合、あるいは今まで経験したことのない危機に対処する場合、経営として過去の延長ではない未来を考える場合、やはり演繹や帰納だけでは不十分ということになる。なので、最近はコンサルティングの分野でも「アブダクションをどう使うのか?」はテーマになることが多い。余談だが、このあたりを深く学ぶには米国プラグマティズムの父、チャールズ・サンダー・パースやウィリアム・ジェイムズあたりから研究を始める必要がある。


 もちろん、これはコーチングの場合にも当てはまる。

 例えば「何を望んでいるのか?」とか「なにも制限がなければどうなるか?」とか、確かに、コトバではアブダクション的な思考を促しているように見えるが、こういった質問を連発するコーチはだいたいへっぽこであることが多い。何より、思考や行動が既存の枠組みを超えて変化することは少ない。

 理由は2つある。一つは、天才的なユダヤ人科学者なら別だろうが、おおよそ人は自分の思考をどのような<前提>や<枠組み>で考えているか?は意識していない。したがって「何を望んでいるか?」の答えが<前提>や<枠組み>を超えて思考することはなく、<世間体の反映>や<過去の延長>や<一般的な常識の範囲>に終わることがほとんどだ。

 もう一つは、人は、仮に自分の思考の前提を意識できても、言語化できる範囲は限られているということだ。暗黙知をすべて言語化できるというのは人間の思い上がりに過ぎない。だから暗黙知を活かそうと思うと必然的にミルトン・エリクソンのような間接表現(間接暗示)となる。[1] メタファーによってはじめて意識していない<前提><枠組み>を意識せずに扱えるようになるというわけだ。

 さて、そこでどうする?ということになる。

 私みたいなマニアックな人間は「Metaphoria」を読んでみればよいと思う。[2] 特に、ミルトン・エリクソン派のメタファーがその歴史、技法と体系的に理解できて、実践でも使えるようになるだろう。私もそう暇でもないのだが、どうしても好奇心が勝って、ついついのめり込んでしまうところはある。

 それで、世の中よくしたもので、本格的ではなくても、軽い気持ちで始められる方法はある。

  個人的にお薦めなのは、グローヴィアン・メタファー(クリーンランゲージ)の最終型と言われている「The Power of SIX」の方法論だ。[3]



 今日は、詳細には入らない。が、非常に簡単な質問を6回繰り返してメタファーを扱う方法だ。

 この方法をメタファーで言うと、ラテンの名曲 One note samba や Jazzの名曲 C Jam blues のような曲だ。要は、テーマとなる音が1つ2つしかない、だから誰でも直ぐに覚えられるし、口ずさむことができる。その意味、この方法論は1つ2つの質問で簡単にメタファー使いになれる、結構美味しいという方法論でもある。

 これにより自身のメタファーを見つけ、メタファーから過去の延長ではない未来を創発させ、そこに到達するための資源・資質(リソース)を見つける方法でもある。
 

(つづく)

文献
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2 件のコメント:

  1. http://www.self-alignment.com/download.phpの資料も大変参考になりました。

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  2. 非常に参考になる情報、ありがとうございます。

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