2016年7月6日水曜日

The Power of SIX: 未来を創発させる質問(その2)


                                                                                              
 禅寺の枯山水。

 事実は、砂利が敷き詰められ、そこに大きな石ころがいくつか敷かれているだけだ。

 しかし、ある人は、ここに水の音を聞き、諸行無常の人生や自然を見出し、宇宙の始まりと終わりに想いを馳せる。

 また、ある人は、鍋にグツグツ煮こまれているトポフの野菜や肉を見出し、仲間とワイワイガヤガヤ一杯やるにはいい時だと飲み会に想いを馳せる(笑)。

 一人ひとりが、モノや出来事に自分独自のメタファーを見出すというのはそういうことだ。

 <ひとりごと>



メタファーで過去の延長でない未来をつくる方法?

昨日の続き。


 基本となる簡易版の手順だけを書いておく。まず、意識していただきたいのは、身体感覚や直観を含めてどのようにメタファーを使うかということだ。この手順をマスターすることでアブダクションのロジックが自然に使えるようになる。これが体感できれば、その後、難しい手順のフル版もこなすことができるだろう。余談だが、身体感覚、あるいは身体表現としてのメタファーについては、UCバークレーで認知言語学を教えているジョージ・レイコフの「Philosophy in the Flesh」を参照いただくとよいだろう。[1]


活用の場面ビジネス・コーチング、エグゼクティブ・コーチング、パーソナル・コーチングを想定としている。ここでの目的は、既存の認識の枠組み(Frame of Reference)を超えて、過去の延長にない目標設定をしたり、常識にとらわれない目標達成のやり方をメタファーを使って見つけることだ。元々グローヴィアン・メタファーに遡るこの手法はトラウマを癒やすことから発展してきた経緯があるが、こちらの分野は医師、臨床心理士など専門知識を持った方に任せたほうが良いだろう。


 以下手順を書く、但しこれはあくまでも基本のガイドラインであり創造性を発揮できる余地は様々ある。何はやってはいけない、という発想ではなく、何か実際にやってみて、その結果偶発的に起こる結果はどうだったのか?そこから何を感じるのか?そこから何が分かるのか?をマインドフルネスに愉しむという態度でやってみるのがよいだろう。屋内でも屋外でも可能だが、特に屋外で行う場合は安全に十分注意していただきたい。また、少々余計だが、心理療法家のミルトン・エリクソンが使ったメタファーについて書いておくと、基本は即興性(インプロビゼーション)と利用(ユーティライゼーション)だ。形式はあまり気にせず Jazzの即興演奏と思って思いつくままに色々試してみるのがよいのだろう。[2]


手順その1付箋を用意して、クライエントにこの紙にゴールを書いてもらう。七夕の短冊を書く要領でかまわない。粒度もまずはこの程度でよい。(これを折り紙にしてもよい、くしゃくしゃにまとめてもよい・・・・、その色は?紙の大きさは?それ自体が何かのメタファーになっているかを直観するきっかけにはなる)。
 この代案として、身の回りにある<モノや出来事>でゴールを表していると直観するものを選ぶ。例えば、ヨットの模型、観葉植物、公園に設置されている遊具、道に転がっている石・・・なんでもよい。ただし、選んだモノや出来事自体が何かメタファーになっていると考えてみることだ。余談だが、モノを選んだ場合、最初は持ち運びの用意なコンパクトなものを選ぶのがよいだろう。慣れてきたら、固定されたもの、出来事などを扱えばよいと思う。


手順その2クライントにゴールを書いた付箋(あるいはモノ)を<直感的に適所だ>と思うところに置くように示唆する。多くの人はそれほど考えることに無しに実行できるだろう。もし、難しい場合はコーチのファシリテーションによる試行錯誤が必要かもしれない。そして、それをマインドフルネスに観察すると、当初のゴールより違った感覚が生じるかもしれない。


手順その3クライエントにゴールを書いた紙(あるいはモノ)を今ココでどのように見立てているのか?聞いてみる。単純に「ゴール」と答えるかもしれないし、何か(メタファー)として名前を付けるかもしれない。例:港を出たばかりのヨット、飛ぶ練習を始めたばかりの鶴・・・・など。


手順その4クライアント自身が、ゴールを書いた紙(あるいはモノ)に対してどこに位置するのかを問う。例:ヨットに乗っている乗組員、折り鶴の背中に乗っている妖精・・・など。必要に応じてコーチがファシリテーションを行う。


手順その5コーチはクライアントに以下の質問を聞いて、身体感覚を引出してメタファーの臨場感を高める。質問は意図的に曖昧さを含む。


・あなたは適切な文脈にいますか?
・あなたの場所は適切ですか?
・あなたは適切な高さにありますか?
・あなたの向きや角度は適切ですか?
・あなたはゴールにどんな角度で向き合ってますか?
・ゴールは適切な文脈に置かれていますか?
・ゴールの場所は適切ですか?
・ゴールの高さは適切ですか?
・ゴールは適切な方法に向いてますか?
・ゴールは適切な位置づけ、角度に置かれていますか?


これらの質問を最低6回づつ聞いて、質問に Yes と答えられるような、場所を伴ったメタファーとしてあなたの場所、とゴールの場所を決めていく。この間にメタファーは練られていく。


手順その6メタファーをダウンロードする。クライアントが自身とゴールの位置を決めたならば、コーチはゆっくりと、丹念に手間暇かけて、コトバとコトバの間に間を開けて以下の質問を6回聞いていく。


・それで、今、何が分かりますか? (And what do you know now ?)


 クライアントの無意識から出てくる全体性を持ったメタファーを引き出すようにこころがける。


手順その7知恵のつながりを創発させる。メタファーが多重であり関係性を見出すことで新しい知恵を生み出すことを知る。同じ質問を繰り返す、そしてその答えについて再帰的に質問を行う。新しい知恵が創発するファシリテーションを行う。


例:
・それから他にどんなことが分かりますか? (And what else do you know about that ?)
ゆっくり、慎重に慎重に、前の質問の答えに対して再帰的に質問していく。
これを付箋で記憶して6箇所に貼り付けておいてもよい。
その場合、6箇所別に配置されたそれぞれの付箋を眺めながら。人類学者ベイトソンのいう<結ばれあうパターン: Pattern that conneces>を意識する。


・その場所からあなたが行ける場所が他にありますか? (Is there another space that you could go to froma that space there ?)


・その場所からあなたは何が分かりますか? (And what do you know from that space there?)

・・・・・・・・それぞれのメタファーの関係性を確認していく・・・・・・


手順その8再度ダウンロード。6回以下の質問を聞く。


・そして、あなたは今何が分かりますか? (And what do you know now ?)


付箋(あるいはモノ)を動かし、そして再度以下の質問を聞く。


・そして、あなたは今何が分かりますか? (And what you you know now ?)


手順その9エクソサイズを終える。以下の質問を1回聞く。


・エクソサイズを始める前と比べて、今、どんな違いが分かりますか? (And what’s the diffrence between what you know now compared to what you knew at the start of this exercise ?)


再度、言っておくが、一番シンプルなパターンだ。要点は、自分がゴールや立ち位置をどのようなメタファーとして見ているのか?感じているのか?を引き出すことがポイントとなるだろう。


 余談だが、数年前、あるコーチングのトレーニングで、カリフォルニアのレッドウッドの森の中で、こんな技法を使っていた。練習相手は、オーストリア人のエグゼクティブコーチのおっさん。個人的には、カリフォルニアくんだりまで来て何でこんなアホなことをしているのだ?と思った(笑)。もちろんネタとしては美味しいのだが。


 しかし、実際にこんな技法を使ってみると面白いことが起こった。このおっさんは、目の前のレッドウッドツリーに止まっていたキツツキらしぃ鳥を自分のメタファーだと言い始め、もう一匹のツガイのキツツキを彼の奥さんだと言い始めた。それで、それからどんなことが分かるのか?と再帰的に質問していったのだが、結構、色々なリソースが引き出されることになった。


 結果、結構面白かったらしぃのだが、案外自分ではコンテンツに入らず、プロセスだけをファシリテーションしていったのだが、コーチのおっさんが自分で、色々気づいたらしく非常に面白い愉快なセッションになったを思い出した(笑)。笑点の<なぞかけ>、つまりアブダクションでアイディアや資源を見つける方法は万国共通だということだ。


 そんなこんなで、既存の枠組み( Frame of Reference)を超えて発想するためには、メタファーを活用するのが必須だが。色々工夫してみるのもよいのだろう。もちろん、実際、提案書や実行プランに落としこむ場合、どうしても帰納法や演繹法のロジカル・シンキングの助けを借りる必要はあるので、単にメタファーだけ使って突拍子もないアイディアだけが得らればよいというわけではないことは留意していただきたい。

 個人的には、温泉付きのリゾートなど普段はちょっと違う環境に身を置いて泊でまぁ〜たりやるワークショップなどがよいのだろうなぁ、と考えているところ(笑)。
     

(つづく)

文献
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