2016年8月12日金曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:非営利組織とマーケティングと


                                                                                                                             
 非営利の心理療法の研究・教育機関にもマーケティングが居るのは面白い。

 日本は天下り+紐付補助金でOKみたいな感じだが、

 米国だとこういう甘っちょろい考え方では立ちいかないからなぁ(笑)。

 <ひとりごと>



非営利組織のマーケティングは案外技量が必要だ

  人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンが在籍した米カリフォルニア州パロアルトにある心理療法の研究・教育期間のMRI(Mental Research Institute)のボードメンバーのプロフィールをみると面白いことがわかる。[1]

  ボードメンバーのお一人が、心理療法家ではなく、サン・マイクロシステムズなどの企業でマーケティングをやっていたスタンフォードのMBA持ちの人だということだ。もっというと非営利の心理療法の研究機関なのにマーケティング担当がいるということだ。

   MRIの組織形態は、非営利だ。つまり、公的期間、企業、個人からの補助金、協賛金、および教育からの収益などで運営されている。

   もちろん、非営利は利益を第一の目的に運営されているわけではない、しかし、キャッシュフローは回っていないとその組織は存在価値がないとみなされ、キャッシュが尽きたところで解散ということになる。営利組織と違って非営利組織は「資本金」という考え方がない。個人的には、営利企業と非営利企業それぞれの運営に関わったことがある、あるいは関わっている。が、良くも悪くも営利企業の資本金の1円は、「血の1円」なのだ。一方、非営利組織は資本金がないのでうまくお金を集めないとデフォルトの設定が自転車操業ということになる。また、日本の公的機関からの助成金は、支払い実績の領収書で助成金を払ってもらうことになるので、お金は手元を流れていくだけでキャッシュフローはいつでもカツカツだ。仕組みとして「宵越しの金」を持てないからだ。

  さて、マーケティングの定義は「顧客、社会に対して価値を提供するプロセスや活動」ということになる。つまり、MRIのマーケティングは心理療法を必要する企業、顧客に対して価値を提供すること、あるいは情報を発信すること、ということになる。

 もちろん、細かい話をするとマーケティングの<インバウンド>と<アウトバウンド>に分けられる。大きな会社だとこの定義が社内向けが<インバウンド>で社外向けが<アウトバウンド>ということになる。大きくなると組織が縦割りになるので<インバウンド>のマーケティングは案外重要なのだ。

 また、違う定義だと<インバウンド>が顧客からプルで情報を集めるやり方で、<アウトバウンド>が顧客にプッシュで情報を提供するやり方になる。

 話が長くなった。これを前提にして推測するとMRIのマーケティングは以下のような役割があると推測される。

 <アウトバウンド>

  • 組織の使命、存在意義の発信
  • 助成金、寄付金の獲得
  • 教育、心理療法サービスに関する情報の提供
  • その他
 <インバウンド>
  • 組織の経営戦略策定
  • 予算管理
  • 経営指標、KGI、KPIの策定と管理
  • その他

 このあたりの詳細はドラッカーの「非営利組織の成果重視マネジメント」[2]に詳しい。個人的にも非営利組織の運営に関わった時に参考にした優れものだ。非営利組織の運営に関わった一番大きな学びは「存在意義」と「使命」の重要性だ。営利を第一の目的にしていないということは、顧客に組織の「存在意義」と「使命」を顧客にきちんと伝えなければいけないということだからだ。

 そんなわけで、非営利組織にマーケティングを置く意義というのを考えてみるのも面白いだろう。

 余談だが、少し前に Facebook の本社でセミナーを実施した知人から話を聞いた。Facebookの本社ビルは何年か前までサン・マイクロシステムズの本社が置かれていたビルだ。今はオラクルに買収されてしまって、このビルからは撤退している。それで、Facebookの本社には看板とかビルの至るところにサン・マイクロシステムズのロゴなどの残骸が見つかるそうだ。その理由は「Facebookも成長を止めると、サン・マイクロシステムズみたいになっちゃうぞ!」という戒めのメタメッセージで意図的に残しているのだとか。ちなみにサン・マイクロシステムズの米国での設立は1982年で消滅は2010年で存続したのは30年足らずだ。一方、MRIは1959年に設立され50年以上経っても存続している。営利と非営利企業を単純に比較しても意味はないが、やはり組織の存続にはマーケティングは必須のような気もしている。

 サンで思い出したが某プロジェクト、ターゲットに到達したらサンのお偉いさん秘蔵のDRCを飲ませてくれる約束になっていたが、いつの間にかウヤムヤになってしまった記憶が蘇ってきた。せめて Opus One くらいぶんどってくればよかったと後悔(笑)。

(つづく)

文献
[1]http://mri.org/mri-board/
[2]https://www.amazon.co.jp/dp/4478373337/

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/okirakusoken

0 件のコメント:

コメントを投稿