2016年8月20日土曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:コーチングのゴール設定について考える


                                                                                                                             
 ゴール設定の対象を何にするのはとても重要だ。

 間違わずにゴール達成のプロセスを回す前段階として(笑)。

 <ひとりごと>



ゴール設定の対象とプロセスは?

   以下について少し書いておく。
 



  • コーチングのゴール設定
  • コーチの責任範囲
 
 <前提>として、 個人的にコーチングに使っている技法は、

  1. ソリューション・フォーカスト・アプローチ
  2. MRI (Mental Research Institute )
  3. エリクソニアン・アプローチ
 通常は1.でカバー、組織への介入や難事案について2.→3.で対応という三段構えになっている。これで対応できない場合は、お手上げ(笑)。技法について、エビデンス・ベースド・アプローチの中から随分試行錯誤したが、今のところはミルトン・エリクソン派生の3つのアプローチに落ち着いている。[1]

サイバネティクスの呪縛?

   さて、コーチングのゴール設定でサイバネティクス[2]の考えすぎで落とし穴に落ちる時がある。例えば、プロ野球のホームラン飛距離競争の場合。ここではボールを出来るだけ遠くに飛ばすということが求められる。また、ゴールは普通に考えると偏差を出来るだけ広げる形式になるので、ゴールを「ボールを出来るだけ遠くに飛ばす」と設定してゴール達成のプロセスを<ポジティブ・フィードバック・ループ>で設定するのか?という疑問が湧く。反対に、ゴルフの例で、ゴールはカップに対する偏差を縮小するようなことになるため、ゴールを「出来るだけ少ない打数でボールをカップに入れる」と設定して<ネガティブ・フィードバック・ループ>で回す必要があるのか?という反対の疑問も湧く。

 ゴール達成のプロセスに注目してみるが、わけが分からなくなってくる。結論から言えば、上の2つは、コーチングのゴール設定としては適切ではない。具体的には、何をゴールとするのか?の焦点の当て方が間違っているのだ。

ソリューション・フォーカスト・アプローチのゴール設定

 では、ゴール設定をどのように行うのか?もっと正確にいうと、何をゴールの対象とするのか?は以下が参考になる。[3]
 

Goals in SFBT are desired emotions, cognitions, behaviors, and interactions in different contexts (areas of the client’s life).

ソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピーにおいてのゴールは、クライアントの生活領域の違うコンテクストでの、望ましい<情動><認識><振る舞い>および<(状況、人などとの)相互作用)>である。

 
   要は、ゴールの対象は、状況設定をして、①望ましい<情動>、②望ましい<認識>(エピステモロジー)[4] 、③望ましい<振る舞い>、④望ましい<相互作用>(関係性)をAND条件で設定するということになる。望ましいというコトバが入っているのは、当然、現状ー理想を想定しているのでエリクソニアンの<戦略的>[5]アプローチを前提としている。

 ゴールをクライアントの外部にあるものを対象に単純な数値目標にしないのも、コンサルティングとコーチングの違いのようにも思ってくる。[6]  逆にいうと、コーチングがゴールの対象としているのは、ある状況におけるクライアントの心身状態だということだ。社会科学的なことについて、将来の結果に100%コミットメントすることは難しいところがある。が、その結果が出せるだろう必要条件としての心身状態をつくりだすところにはコミットメントできるというのがここでの理屈だ。
 
 さて、さっきのホームラン飛距離競争を考えてみる。ゴールとして160m飛ばすとか170m飛ばすというのはクライアントの頭の片隅に退避してもらっておく。それより、どういう状況で打席に立つのか?例えば、満員の観客が入った○○ドームでのエキシビションというような設定をする。

 そして、①望ましい情動は?例えば、バッターボックスで非常に落ち着いて集中している、とか、恐怖心も不安も感じないとか。②そして望ましい認識は?どこに視点が向いているのか?例えば、宮本武蔵の兵法の目付け[7]で、状況とピッチャーと球が同時に見えているとか。③望ましい振る舞いはどうか? 自分のフォームをイチローのようにメタ認知できる[8]。とか、バットがうまく触れている時の身体感覚をイメージできるとか。④そして、関係性、例えば、バットとボールの関係とか、ピッチャーと自分の向き合方とかに着目して、望ましいところをイメージしてもらうとかになる。それで、望ましい①<情動>②<認識>③<振る舞い>④<相互作用>をイメージしてもらって、実際に練習を重ね、身体感覚に落とし込んでもらう、という感じになる。

 ここで望ましいものを見つけるプロセスは、ソリューション・フォーカスト・アプローチとしては、いつもとは違って少しでもうまく言っている<例外>をポジティブ・フィードバック・ループで見つけ続けることになる。これが機能すれば、ゴールの達成のイメージが高まるとともに、効力予期と結果予期についての<自己効力感>[9]が高まる。ビジネスなどで活用する場合も理屈は同じだ。

  コーチの責任範囲

   さて、ここでコーチの責任範囲はどこまでか? という疑問が浮かぶ。

 コーチは選手と違ってバッターボックスに立って代わりに打つことは想定していない。結論からいうと、ゴール設定の支援をして、クライアントが想定された状況で適切な心身状態を作り出せる支援、さらに、効力予期と結果予期についての自己効力感を上げる支援をするまでがその責任範囲となる。


(参考) 間違いだらけのゴール設定
http://ori-japan.blogspot.jp/2014/05/blog-post_30.html


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/01/blog-post_13.html
[2][1]http://pespmc1.vub.ac.be/papers/cybernetics-epst.pdf
[3]http://www.sfbta.org/research.pdf
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_14.html
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_2.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_10.html
[7]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/11/blog-post_10.html
[8]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/10/blog-post_04.html
[9]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_17.html

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