2016年8月27日土曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:ブリーフセラピー利き酒セット(笑)


                                                                                                                             
 細かいところを探検する前に、全体がわかる大きな地図は必須だ。

 で、全体を意識しながらちびちび細かいところを楽しんでみる(笑)。

 <ひとりごと>



色々味わえるブリーフセラピー利き酒セット(笑)

   現在、ミルトン・エリクソンから派生した心理療法は随分大きな体系になっている。エリクソン自身が「第一に、あなただけの技法を編み出しなさい。他の誰かの技法を使おうとしてはいけません[1]といったように技法の表層的なデッドコピーを推奨していないところがある。おそらく、これが要因となって、良い意味で百花繚乱、あるいはジュラ紀の生物のように爆発的にそのバリエーションが増加しているところがある。

 ミルトン・H・エリクソン財団が講演している国際会議の資料に記載されているエリクソンの流れを組むと思しき療法も様々だ。
 

 ここで初学者は、第一の問として「どこから学びはじめるのが効果的か?」と考えるだろう。個人的には、ソリューション・フォーカスト・アプローチからいかがですか?[2]と答えるようにしている。もちろん、山の頂上を目指す道はいくつもあるが、最初はどのルートから登るのか?みたいな話だ。

    次に、少し学びが深くなると第二の問として「その状況で、効果的な技法は何か?」と考えるだろう。これは、MRI(上記資料では、相互作用に焦点を当てたInteractional と 戦略に焦点を当てたStrategic の2つに分けて記載)のポール・ウオツラウィックらが言った、それが既存の枠組みの元でのちょっとした認識や行動の変化である第一次変化(First-order Change)のための技法なのか?枠組み自体を飛び越え変化する二次的変化(Second-order Change)のための技法なのか?の区別をつけて使いこなせるのが重要となるだろう。[3] あまり大きな声では言えないが、認識や行動に第二次変化を起こす必要条件として<催眠>は必須ではない。むしろ、変化の本質は他にあるということだ。

 さらに、もう少し学びが深くなると第三の問として「これらの根底に流れる考え方は何か?」と考えるだろう。この場合、それぞの手法をメタ視点で見て、これらの共通点は何か?と思考の抽象度を上げて考える必要があるだろう。メタファーでいったら、同じぶどうから作られたワインの産地、製法、年代の違いを味わいながら、ピノ・ノワールからつくられたワインに共通するものは何か?と考えるような具合だ。おそらく、これを突き詰めていくとなんらかの「エリクソニアン・アプローチの原則」[4]のようなところに行き着く・・・・よく観察もせず、ぱっと見でタイプ分けしてクライアントを十把一からげで捉えるのは原理原則に反するというようなことが分かってくる・・・・

    で、さらにさらに虫がいいことを考える。

 上の3つの質問を誰か答えてくれないか?ということだ。もちろん、一冊だとどうしても薄っぺらくなる。だた上の3つの質問に答えてくれていて、かつエリクソン派生のブリーフセラピー技法の流れを一冊で俯瞰できるとしたら以下の「Expectations: The Very Best Therapy Book(2006)」[5]かなと考えている。




     もちろん、もう少しミルトン・エリクソンに焦点を当てたければ同じ著者の「Ericksonian Approaches 」[6]を読めばよいし、エリクソンの使ったメタファーについて知りたければ、これを同じ著者の「Metaphoria」[7]を読めばよいだろう。が周縁の手法までを説明してある著作というのは案外ありそうでなさそうな著作だ。

 で目次は以下になっている(訳は適当)


第1章:まさにブリーフセラピー
第2章:期待とAS-IS (敢えて言えば、タラレバ)
第3章:ラポールの構築
第4章:ブリーフセラピーの言語パターン
第5章:催眠とブリーフセラピーの関係 [8] 
第6章:解決志向アプローチ(シェザー、キム・バーグ、ミラー、ダンカン他)
第7章:ビル・オハンロンのアプローチ
第8章:ソーシャル・パノラマ(ルーカス・ダークス)
第9章:エリクソニアン・アプローチとブリーフ・セラピーの関係
第10章:ジェイ・ヘイリーの苦行療法 [9]
第11章:アンビギュアス・ファンクション・アサインメント [10]
第12章:バーンズ、自然ガイドセラピー
第13章:メタファーによるアプローチ
第14章:アーネスト・ロッシ ラピッド・メソッド
第15章:NLPアプローチ
第16章:ナラティブ・セラピー
第17章:儀式とセレモニー
第18章:すべての技法が機能しない時?
第19章:ブリーフ・セラピーの普遍的な考え方

 
 細かい違いでいちいち反応しないで、まずは少しゆったり構えて大きな地図を眺めるのは重要だ。そして、それぞの技法を利き酒を楽しむようにちびちび楽しんでみるというのもまた一興だ。

 もちろん、個人的には、マネジメント・コンサルタントとしての組織や個人の思考・行動の変化を支援するための技法という視点で見ているところがある。エリクソンやそこから派生するブリーフセラピーが人間や組織をどのように捉えているのか?状況をどのように見立て、どこをレバレッジポイントと見立て、効果的な介入をどうやっているのか?をシステム論やサイバネティクスの視点を立てて観察し考え始めると興味は尽きない。

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/06/blog-post_56.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/sfbt_7.html
[3]http://socialwork.uw.edu/programs/henrymaier/quotes/first-order-and-second-order-change
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/06/blog-post_22.html
[5]https://www.amazon.co.jp/Expectation-Very-Best-Therapy-Book/dp/1845900286/
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/07/blog-post_21.html
[7]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4.html
[8]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_23.html
[9]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/06/blog-post_24.html
[10]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_23.html

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