2016年8月3日水曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:ソリューション・フォーカスのできるまで


                                                                                                                             
 ミルトン・エリクソンは実はどこまでも禅的だ(笑)。

     今ココで変化できなかったら、変化は出来ない。

 <ひとりごと>



今ココで事実として上手くいっていることを見つける?

  ネットに転がっていた「The Origin of Solution-Focused Approach」(ソリューション・フォーカスト・アプローチの起源)というエッセーを読んでいたのだが、これが中々面白い。[1]

 ソリューション・フォーカスト・アプローチを遡ると、カリフォルニア州パロアルトにある心理療法の研究機関であるMRI(Mental Research Institute)、特にMRIの研究員だったジョン・ウィークランドらとソリューション・フォーカスト・アプローチを体系化したスティーブ・ド・シェザー、インスー・キム・バークらとの交流、そしてMRIで研究されていた心理療法家のミルトン・エリクソンの研究というところに遡る。

 エリクソンと言えば、すぐに「催眠」というキーワードが思い浮かぶ。が、MRIの研究者はそうは見なかった。結局、人の認識や行動が変化するための条件は何か?をサイバネティクスの枠組みを当てて観察していたから、彼らは安直に「催眠」特に「退行催眠」という見方をしなかった。彼らは問題を取り巻く状況を関係性や人と人との<コミュニケーション>に還元して考えていたところがある。余談だがもう一つは<戦略性>だ。

 MRIの研究者は禅的だ。今ココで問題のパターンにハマっているのだから、今ココの問題に焦点を当て、そのパターンを崩せば、問題は解決に向かうはずだ、というわけだ。以下を読んでみる。
 

They took  what  the  client  said  very  seriously,  which meant  that they   focused   on  the   problem   that   the   client   presented. Previously,   it   had   primarily   been   the  therapist   who determined  what  the  topic  of  the  conversation  should  be.
Further, the MRI therapists believed it was not necessary to talk  extensively  about  the childhood    of  the  client  and  about any  underlying  problem  causes.  They  believed  that  the reasons for the current problems existed in the here-and-now and  that  solutions  could  be  found  in  the  present, too.


MRIのセラピストたちは、クライエントの言ったことをとても真剣に検討した、これは彼らがクライアントの表明した問題に焦点を当てていたことを意味している。前もって、これはセラピストがどの話題を話すべきなのか決められていた。さらに、MRIのセラピストたちは、クライアントの幼少期や根本的な問題の原因について大々的にに話す必要はない、と信じていた。彼らは、現在の問題の理由は<今ココ>に存在しており、解決策は<現在>にも見つけることが出来た


Their logic was that if the client has a problem, he or she must be doing something  wrong  now:  He  or  she  must  inadvertently do  something  which  maintains  the  problem.  The  goal  of therapy  became  to  find  out  what  the  client  does  wrong  and to  convince  him  or  her  to  stop  doing  this  and  to  replace  it with some other, more effective behavior.


 彼らのロジックは、クライアントが(今)問題を抱えてるとするなら、クライアントが今間違ったことしている、というものだった。クライアントは問題を維持している何かを気付かずしなければならない。心理療法のゴールは、クライアントの間違っている行為を見つけ、それを確信させ、その他のより有効な行為に置き換えることで今の間違っている行為を置き換えることだった。


 
 個人的には正直格好がよいと思っている。エリクソンをサイバネティクスで突き詰めるというこういう見方になる。

 さて、ここでシェザーやキム・バークはMRIやエリクソンに影響を受けながらも試行錯誤を始める。そして、ソリューション・フォーカスト・アプローチの成立過程で4つの介入を考える。もちろん、これは完成形ではない。


 まず、彼らは問題ではなく、現実に上手くいっていることに焦点を当てた。

第一の介入:一回目のセッション後の宿題
 

Between  now  and  next  time  we  meet,  we   want you  to  observe,  so  that  you  can  tell  us next time,  what  happens  in  your  (life,  marriage,  family, or  relationships)  that  you  want  to continue  to  have happen.


今から次にお会いするまでの間、私たちはあなた(クライアント)が次回私たちに報告できるように、あなたの(人生、結婚生活、家族、もしくは人間関係)において実際に起こっていることで、あなたがずっと起こり続けて欲しいと思うことを報告できるように観察していただきたいのです。

 
 認識として最悪と思っていても、ひとつくらいは上手くいっていることはあるものだ。


第二の介入:何か違うことをする。

 もちろん、いつもとは違うことをやってみて、何が上手くいったのかを振り返ることは重要だ。


第三の介入:急き立てる課題の克服
 

Pay  attention  to  what  you  do  when  you  overcome the temptation or urge to ... (perform the symptom or  some  behavior  associated  with  the  complain) .


 誘惑や急き立てられること・・・(現象に反応する、不平不満に紐付けられた振る舞い)を克服する時に何をしているのかに注意を払う。


 
   コーヒーを飲すぎだと思っている時、ちょっと食べ過ぎだと思っている時、逆にその衝動を抑えたという経験はあるものだ。それを上手くやった時、どうやって上手くいったのか?に注意を払うようにするのは重要なことだ。

第四の介入:維持していることを変化に結びつける
 

 When  the client said  that  he  or  she  was  stuck  in  a  situation  the therapist  could  respond  by  explaining  that  remaining  stable in  an increasingly  difficult  situation  often  requires  many skills  and  that  other  people would  perhaps  have  fallen  back instead of remaining stable.


クライアントが、その状況でスタックしていると言った時、セラピストは 大抵の人がそのままじっとしているより後ずさりするような場面で、難しさが増す状況にそのままの状態でいることは多くのスキルが必要なことですよ説明することでクライアントに応える。

 
 これは、現状維持より変化することのほうが容易だということを暗に伝えるやり方だ。

 また、シェザーは、理論やうんちくは捨てて、実際にやってみて上手くいくことだけを残したと書いている。

 その意味、人の認識や行動が変化するためにはどこまでもプラグマティックでなければならないのだろう・・・

(つづく)

文献
[1]http://www.ijsfp.com/index.php/ijsfp/article/download/10/3

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