2016年9月5日月曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:オハンロンのACCEPTフレームワーク


                                                                                                                             
 フレームワークは便利だが、逆に、思考停止の道具になる可能性もあるなぁ(笑)。

 でも、上手く使えば思考や行動のパターンを変えるきっかけにはなる。

 <ひとりごと>



結局はナレッジ・マネジメントの話になる

   ミルトン・エリクソン派の心理療法家をどのように育てるのか?

 心理療法家の育成に限らず、一般的な人材育成やナレッジ・マネジメントの観点から考えても興味深い。これについて、エリクソニアンのジェフリー・ザイクが心理療法家の育成について書いた「EXPERIENTIAL APPROACHES TO CLINICIAN DEVELOPMENT[1]の論考が参考になる。が、話がものすごく長くなるので詳細は別の機会に譲りたい(笑)。

 さて、個人的には、 SECIモデル[2]に沿って育成すればよいと思っている。SECIモデルは、

  • 共同化(Socialization) 暗黙知を暗黙知として共有する
  • 表出化(Externalization) 個人や小集団が持つ暗黙知を形式知として取り出す
  • 結合化(Combination) 形式知を結合して新たな知識を創る
  • 内面化(Internalization)形式知を組織や個人の暗黙知として広める

 からなり、<知識の共有と創造>のためにこのサイクルを回す形式となる。

 エリクソン派の知識習得についてもこのモデルで実践している。これも突き放した言い方をすれば、単なるナレッジ・マネジメントに過ぎないからだ。ただ、課題があるとすれば、エリクソンは1980年に鬼籍に入っており、伝統芸能の内弟子ではないが、彼の暗黙知を暗黙知としてどう学ぶのか?というのが難しい点なのは間違いない。これは、ビデオや音声映像で学ぶ、あるいは、エリクソンに実際に学んだ人からスーパーバイズを受けるという感じになるのだろう。個人的にはエリクソンから直接に学んだ4、5人の人からスーパーバイズを受けたことはある。もちろん、彼らはエリクソン本人ではないのでその点は割り引いて考える必要があるが、次善策ではあるだろう。また、形式知としてのフレームワークを学ぶ場合も、単にお勉強モードで学ぶのではなく、SECIモデルを回して、組織や自分の暗黙知になるまで実践するということは必要だろう。このようにすれば、フレームワークはそれなりに意味を持ってくる。

   これを前提としてビル・オハンロンの「ACCEPT」[3]というフレームワークを見てみる。あくまでも形式知の一例だ。もちろん、フレームワークもSECIに即して、他の形式知と結合するなり、実践して暗黙知としない限り、単に絵に描いた餅であることには違いない。また、このモデルは別心理療法家だけが使うモデルということでもなく、日常生活や仕事の場面の問題解決や対人間のコミュニケーションでも有効活用可能なモデルであることには違いない。例えば、いつも相手の否定から入る、あるいは嫌味のひとつも言ってやろうと考えている人はこのフレームワークを見るとものすごく違和感を感じるだろう。あるいは、人を外見だけで遠ざけていたような人も、とりあえずは相手の話を聞いてから、遠ざけるか?仲良くなろうとするか決める、というような使い方にはなるだろう。その意味、こういったフレームワークを学ぶこと自体が自分の思考や行動のスタイルを変化させることにつながる可能性を持っている。

 さて、フレームワークの内容は以下だ、項目が現在進行形の On-going プロセスになっているのはそれなりに意味がある・・・


項目
説明
Aacknowledging
(認める)
・クライアントに寄り添う
・クライアントの考え方、視点、気持ちを
 →認める
 →価値あると伝える
 →ノーマライズする
Clerifying
(明らかにする)
・クライアントと協力的関係を築く
・クライアントの懸念や不満を受け止める
・クライアントのゴールやその方向性を明らかにする
Changing
(変える)
・意味を変える(意味の内容、意味の構築プロセス)
・行動を変える(行動や他人との関わり方)
・文脈を変える(文化的、神経学的、生理学的・・・・)
Evaluating
(評価する)
・進捗度合い
・達成度合い
・得られた成果
Planning
(計画する)
・次回以降をすすめるかの判断
 →中断
 →方向修正の用不要
 →その他
・次回までの宿題、セッション外での課題
・緊急時対応の相談など
Terminating
(完了する)
・相互の合意による完了
・再発、あるいは別の課題対応の場合の相談
・その他

    もちろん、通常のコンサルティングなどだと、提案書のやりとりや、基本および個別契約書の締結、その中でのサービス内容や支払い条件、機密保持など色々なものが入ってくることになる。が、SECIモデルに従えばそれは、形式知と形式知を連結すればよい、というだけの話ではある。例えば、これにBOSCARD[4]のフレームワークをくっつける。屁理屈ばかり言わない癒し系の入ったコンサルタントの出来あがるかもしれない(笑)。

 また、具体的な技法として何を使うか?という話はあるが、少なくともプロセスと何を目的とするか?という話が決まれば技法の違いは案外瑣末なもののようにも思えてくる。個人的なお勧めは、このプロセスで道具はソリューション・フォーカスト・アプローチを使ってみることだ。自分の血となり肉となってくると、段々エリクソニアンっぽくはなってくる(笑)。
 

(つづく)

文献
[1]http://www.hypnosisaustralia.org.au/wp-content/uploads/journal/AJCEH_Vol25_No2_NOV97.pdf
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/SECI_model_of_knowledge_dimensions
[3]http://www.billohanlon.com/LazyMan/files/solution-based-basics.pdf
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/BOSCARD

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