2016年9月28日水曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:エビデンスを読む


                                                                                                                             
 データは行間を読むのが面白いのだよなぁ〜。

 色々な訓練にもなるし・・・・・・(笑)。
 
 <ひとりごと>



データは嘘が少ない

  備忘録として書いておく。

  ここでは、個人的な趣味でデータを読むことを楽しんでいるだけであり、何ら医療的、治療的助言を与えるものではないことを予めお断りしておく。

エリクソン催眠のエビデンス》NCBIのデータベースに「Ericksonian hypnosis in tinnitus therapy (耳鳴りの治療に対するエリクソン催眠)」[1]を見つけ、これを読んでみた。題のとおりに、ランダムではない方法で選ばれた耳鳴りのクライアントに対して、エリクソニアン・アプローチを使い、実際に効果があったのか?をエビデンス・ベースドで検証した文章だ。余談だが、ここでは、二重盲検もやっていなければ、メタ分析もしていないデータが掲載されている。

PATIENTS:A total of 49 patients underwent hypnosis therapy. Fourteen patients failed to finish the therapy (drop-out rate: 35%). Of the 35 patients who completed the therapy, 20 were male and 15 female. The average age was 46.3 years (range 17-78).

患者:総数、49名の患者に対して催眠療法が進められた。14人の患者は治療を最後まで完了できなかった。(脱落率は、35%)。残り35人の患者は治療を完了した。内訳は、男性20人、女性15人。平均年齢は46.3(範囲は17〜78歳)。


脱落の理由が気になる》介入方法は、以下にあるが、患者の約1/3が脱落している。理由は書かれていないが、仮説として推論してみるのは面白い。例えば、方法が胡散臭さ過ぎて最初からついて行く気がなかったとか・・・・方法が難しかったとか・・・・・

INTERVENTION:

The treatment is based on the principles and approaches of Ericksonian hypnosis. The first session was mainly dedicated to the evaluation of the impact of tinnitus on the patient's life and to an explanation of hypnosis therapy. The next sessions were "learning sessions" based on relaxation and mental imaging. Exercises were first based on all senses other than hearing. Then they focused on hearing, teaching patients how to modulate sound intensity, and finally how to modulate tinnitus intensity. Patients also learnt self-hypnosis.
介入:治療は、エリクソン催眠の原則とアプローチに基づいて行われる。最初のセッションは、耳鳴りが患者の生活にどれだけの影響を与えているかの評価、および催眠療法についての説明。次のセッションは、リラックス法とメンタルイメージ法に基づいた「学習セッション」。訓練は、聞くというより全ての五感を使うことで行われる。そして、患者に音の強度を調整する方法を教えた後で、聞くことに焦点を当ててもらう、最終的には、耳鳴りの強度を調整する方法を学んでもらう。患者はさらに、自己催眠を学ぶ。

実際に使われているのは標準アプローチ》マイケル・ヤプコの資料を引いて書いたが、[2]博士号持ちの臨床家は、催眠療法のアプローチを①古典、②標準、③エリクソニアンと3つの比較をする。①古典はおいておくとして、②はスケートでいうと規定演技、武道でいったら演舞、③はスケートでいうとフリースタイル、武道でいうと試合のようなプローチになる。当然、エリクソニアン・アプローチはJazzの即興演奏のように《クライアント毎の個別アプローチ》+《インプロビゼーション》込なので、こういう検証には向いていないという性質を内包していることになる。

自己催眠はどこまで使うのか?》また、自己催眠のやり方は、このあたりで書いた。実際には、外向きトランスだけを使うのか?内向きトランスまで使うのか?の疑問はあるのだが。


MAIN OUTCOME MEASURE(S):

To evaluate the effect of the treatment, tinnitus was assessed with the Tinnitus Handicap Inventory questionnaire before and after the therapy.
主な結果の検証方法:この結果の評価は、治療の前後でTHI [3]の問診で行われる。

RESULTS:

After 5 to 10 sessions (mean: 8.09 + -1.92) of Ericksonian hypnosis therapy, the 35 patients were capable of self-hypnosis with the aim of modulating their tinnitus, and the measured THI score fell for all patients. The global score improved significantly from 60:23 before EH therapy to 16.9 at discharge. Within the group, the initial score was distributed as follows: 0% slight, 14% mild, 31% moderate, 31% severe and 23% catastrophic. The t-test for dependent variables revealed significant improvements in all subgroups (p < or = 0.005).
結果:エリクソン催眠療法の後、5〜10セッション(平均:8.09+-1.92)のエリクソン催眠療法の後、35人の患者が彼らの耳鳴りを調節する目的で、自己催眠することができ、測定THIスコアはすべての患者で低下した。グローバルなスコアは退院時16.9になり、EH療法の前の60:23から大幅に改善した。グループ内では、初期の分布は以下:わずか0%、14%、軽度、中等度31%、31%、重度と23%。従属変数のt検定は、重要なすべてのサブグループで改善した(p <または=0.005)ことが明らかになった。

CONCLUSIONS:

The results of this clinical trial demonstrate that Ericksonian hypnosis, in particular using self-hypnosis, is a promising technique for treating patients with tinnitus.
結論:この臨床試験の結果は、エリクソン催眠は、特定の使用の自己催眠で、耳鳴を持つ患者を治療するための有望な技法であることを示している。
 
セッションは5から10回》治療のゴールをどこに設定するのか?はクライアントとの合意になるが、少なくともセッションが複数回必要だったのは面白い点だろう。エリクソンの名前を出すと1回で治療が完了するといった非現実的な妄想を抱いている人もすくないない。

結果は?》母数が少ない、それと脱落率が高いのは気になる。が、検証結果は、まぁ肯定的だ。何れにしても、事実のデータを読んで、色々推論をするのは結構面白い。

余談だが》個人的には、病理というより、もっと建設的に、演奏する時にもっと聞こえる耳や、リズムに乗れる身体とか、知覚を鍛える方向でエリクソニアン・アプローチを活用できないか?を考えるのは面白いのだろう。まぁ、個人的には、実際にやっているけれど(笑)。
 
(つづく)

文献
[1]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18225612
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/09/blog-post_59.html
[3]https://www.ata.org/sites/default/files/Tinnitus_Handicap_Inventory.pdf

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