2016年9月3日土曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:未来の記憶、過去の記憶


                                                                                                                             
 要は、記憶を過去に遡及する退行催眠をして記憶を回復することはあまり意味がないということだ(笑)。

 <ひとりごと>



退行催眠ってセンスが悪い気がするのだが・・・

  備忘録として書いておく。

 心理療法家のミルトン・エリクソンとの著作のあるアーネスト・ロッシ、妻のキャサリン・ロッシ、そしてエリクソンの三女のロクサーヌ・エリクソンの3人の共著、「The Future Orientation of Constructive Memory(構成記憶の将来への方向性)」[1]というタイトルで American Journal of Clinical Hypnosis に投稿された論文に目を通してみた。

 エリクソン派生のMRIやソリューション・フォーカスト・アプローチがクライアントの記憶を遡及する過去への退行をほとんどしない、ということを考える少なくともその基礎理論的なところに触れている論文だ。

(翻訳は適当)

要約:

The  distinction  between  the  future  oriented,  constructive  memory  system investigated  in  current  neuroscience  and  the  past,  retrospective  memory  system  that  was the  theoretical  foundation  of  therapeutic  hypnosis  and  psychotherapy  is  explored.

将来への方向性を持つ、<構成記憶>システム(これは現在、神経科学で研究されている)、および過去の方向性をもつ<遡及記憶>システム(これは、治療的催眠や心理療法の理論的な基礎である)それぞれの区別が探求されている。

 An evolutionary theory of sleep and dreaming is generalized to conceptualize a new evolutionary foundation for therapeutic hypnosis and brief psychotherapy for solving current life problems by facilitating adaptive future life scenarios.

 睡眠や夢見の理論の進展は、将来適応可能な人生のシナリオを描くことを手助けすることで、現在の人生の問題を解決するための新しく進んだ治療的催眠および短期療法の概念を法則化する。

 The dynamics of this constructive, evolutionary orientation on all levels from activity-dependent gene expression and brain plasticity to the cognitive, experiential, and behavioral are utilized for developing new skill sets.

認知、体験、行動の活動に依存するな遺伝子発現と脳の可塑性から、すべてのレベルでこの構築、進化の方向性の動力学は新たなスキルセットを開発するために利用される。

These are utilized for permissive suggestions for facilitating the creative process in therapeutic hypnosis and  brief  psychotherapy  that  could  be  applied  to  a  variety  of  counseling,  educational,pastoral, rehabilitation, and hospice situations.

これらは、カウンセリング、教育、(病院の)パストラルケア、リハビリテーション、およびホスピスの様々な状況に適用することができる治療的催眠と短期療法における創造的なプロセスを容易にするための許容的な暗示のために利用される。

 
 エリクソニアンのスティーブ・ランクトンがあげるエリクソニアン・アプローチの特徴に「未来志向」[2]がある。つまり、過去何が悪かったのか?と考えるより、理想の未来は?そのために何をする?と考え、偶発的に起こる出来事まで利用して実際に思い描いた未来を実現するために、あれこれやってみるようなアプローチだ。もちろん未来のことなんて誰にも分からない。ある意味、実現するまでは妄想という類のものだ。

 例えば、不眠を訴えるクライアントにエリクソンがそのクライアントのためだけに処方したのはベッドの横に立って本を読みなさいという難行苦行の行動指示だった。[3] 過去に遡及して眠れなくなった原因を追求するなんていう野暮なことはやっていない。ただ、ぐっすり眠りたいというゴールを頭の片隅において、実際に行った行動指示は現在の不眠のパターンを崩すことだったというわけだ。ある意味、身体を使ったリフレーミングと言ってもよいかもしれない。

 結局、理想の未来を見据えて、内部的な要因でそこに行く邪魔をしているのは、過去の経験から構築された今持っている身体化された<思考の枠組み>というわけだ。これが信念システムとあいまって情動を起こしたり、行動を止めたりしている。だから、わざわざ、過去に遡及しなくても、今の枠組みをリフレーミング、あるいは行動パターンを変ることができれば変化は起きる、ということになる。非常に単純な理屈だ。

 ただ、これを神経科学などで説明するとロッシらの論文のように色々ごちゃごちゃ書く必要があるのだろうが・・・・・

(つづく)

文献
[1]http://www.asch.net/portals/0/journallibrary/articles/ajch-50/50-4/rossi50-4.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/03/blog-post_9.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/06/blog-post_24.html

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