2016年9月8日木曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:癒やしの英会話(その4)


                                                                                                                             
 今が辛くて未来のことなんて考えられません!、という時こそ

 一皮向けた未来をつくるチャンスということやねぇ(笑)。

 <ひとりごと>



どっちに転んでも、それなりに上手くいくかもねぇ(笑)

   人の心を意識、無意識として語るのは難しい。理由はこれ自体が単純なレトリックでもありメタファーでもあるからだ。「人の心は、意識と無意識から出来ています」、これが説明のメタファーとしてならそれはそれでありだ。単に、自分の中で、意識と無意識という2つの立場があって、それを分けているだけだからだ。別に意識と無意識でなくてもよい。<小さな自分>と<大きな自分>、<食べてはダメと考えている頭><食べたいと欲している胃袋>こういうのでもよい。もちろん、神経学的な意識、無意識のプロセスとは随分異なっている。でも、問題ない、繰り返すが、単なるレトリックやメタファーとして使う限りにおいては。

 人の心なんて負のエントロピーを食べて好き勝手に振る舞うので法則化なんて難しい。もちろん、そうなのだが、それを敢えてやろうとしたのがグレゴリー・ベイトソンの Theory of Mind [1]ということになる。だから、こういった枠組みで心理療法家のミルトン・エリクソンの技法がどのように効果を出しているのか?を観察したブリーフセラピーの出発的はこのあたりから始まることになる。

 さらに、ミルトン・エリクソン派のまともな研究者なり実践者が無意識をどのように捉えているのか?間接暗示がどのように機能しているのか?の仮説を知りたければ、アーネスト・ロッシの「What is a Suggestion? The Neuroscience of Implicit Processing Heuristic in Therapeutic Hypnosis and Psychotherapy .[2]を読めばよい。最新の神経科学では、意識、無意識は顕在記憶、潜在記憶として考察されている。余談だが、心理学の歴史的経緯として意識、無意識がどのように捉えられているのかは、同じエリクソニアンのスティーブン・ギリガンの「Therapeutic Trances 」[3]に詳しい。

 さて、前置きが長くなった。エリクソンが使った言語パターンに「意識/無意識のダブル・バインド」というのがあるが、これがなかなか面白い。もちろん、これを聞いたクライアントは上で書いたような神経科学とか心理学的な前提知識はない。単にレトリックやメタファーとしての「意識/無意識」というコトバを聞いているだけだ。

 例えば、スティーブ・ランクトンの著作[4]から引用しておくと以下な感じだ、

意識/無意識の(治療的)ダブル・バインド

Beginning Orientation: The conscious mind may not notice when the unconscious mind is beginning to work toward a solution.

最初の方向付け:無意識が解決へ向けて働き始めた時、意識はそれに気づいていないかもしれません。


 
 これは心理療法の最初に唱える呪文みたいなものとして捉えればよいのかもしれないが。だが、あまり不思議なことを考えてはいけない。単純に、<現状><理想>の両方を分けるように独特のレトリックで示唆しているに過ぎない。単純に意識、無意識は立場を2つに分ける方便にしか過ぎないというわけだ。だから、エリクソニアンのダン・ショートとエリクソンの娘2人の著作[5]にあった<分割>の技法にあたる。そして、これ自体が十分に戦略的[6]だということだ。

 余談だが、このパターンだけを売り物にした海外の自己啓発家をみた時にははらを抱えて笑った記憶がある。もちろん、誰とは言わないけれど(笑)。もちろん、決ればそれなりに効果が出るのも2度笑うところだ(爆)。

   また、スティーブ・ギリガンの著作「The Legacy of Milton Erickson」[7]に書いてあったことを想い出す。要は、人は二項対立の状態になった時、トランス状態に入る、ということだ。そう考えると禅問答の「片手の拍手の音を聞け」みたいなものも案外意味があるということだ。これはどういうことかというと、二項対立の悩みがなくて<現状><理想>が考えられる人は、そのまま<理想>や<そこまでの解決策>を思い描けばよい。<現状><理想>がわけられないほど悩んでいる人はトランスに入るということになって、<理想>を描くことを制限している<現状>の枠組みを緩めることができる、ということだ。つまり、これ自体が治療的なダブル・バインドとなっているということになる。つまり①悩みがほとんどなければ<理想>の未来が思い描けます、②悩みが深ければトランス状態に入ります。どっちに転んでもそれなりに上手くいくでしょう、ということになる。もちろん、このパターンがクライアントにきちんと決ればということだが(笑)。

 さて、こんなレベルでやっていくと、なかなか終わりが見えないのだが、それはそれで面白いのでよしとしよう(笑)。

(つづく)

文献
[1]http://www.narberthpa.com/Bale/lsbale_dop/gbtom_patp.pdf
[2]http://ernestrossi.com/ernestrossi/keypapers/NN%20WHAT%20IS%20A%20SUGGESTION%202007.pdf
[3]https://www.amazon.co.jp/dp/0876304420/
[4]https://books.google.co.jp/books?id=KYzFBQAAQBAJ&pg=PA249
[5]https://www.amazon.co.jp/dp/4393365305/
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_2.html
[7]https://www.amazon.co.jp/Legacy-Milton-H-Erickson-Selected/dp/1891944908

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