2016年9月7日水曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:癒やしの英会話(その3)


                                                                                                                             
 現状の不満が大きいというのは、

 理想も高いということなのだよねぇ〜(笑)。

 <ひとりごと>



癒やしと戦略性は併存できるな(笑)

   心理療法家のミルトン・エリクソンに影響を受けた手法は戦略的だ。[1] ネットに自己啓発の標語で「今のあなたでいいの!」みたいなことが書かれている。これはエリクソン派のやり方では成り立たない。すくなくとも、クライアントは心の何処かで「今のままじゃダメだ」と思っており、コーチやセラピストが「じゃぁ、どう成りたいの?」とやりながら近未来の理想を引き出す手伝いをする構図が戦略そのものだからだ。結局、ミルトン・エリクソンは<現状>から<理想>への「成り方 (Becoming)」を扱うという構成主義的なウンチクで語られるところになる。だから、エリクソンの技法はたいてい<現状>と<理想>を明示する支援をすることから始まる。扱う範囲は違うが、コンサルタントのやり方と同じだ。

 余談だが、NLP(Neuro-Linguistic Programming)の人たちは<在り方(Being)>というものを強調するが、これは構成主義ではなく構造主義の枠組みを持ち込んでミルトン・エリクソンを中途半端に真似た結果だ。在り方は固定的で変化が起きにくい。本質がわかっていない技法はいつまで経っても中途半端だ(笑)。

 さて、会話の例だが、ひとつは、クライアントの不平、不満、不安などをひっくり返して、そうではない状態を将来のゴールとすることだ、未来の可能性を開くことでもある、オハンロンさんの著作から[2] (訳は適当)
 
現在の問題を将来のゴールとして返す

Client: I think I'm just too shy to find a relationship. I'm afraid of women and being rejected.

Therapist: So you'd like to be able to get into a relationship.

クライアント:仲良くなるのを尻込みしていると思っています。私は女の人と拒絶されるのが怖いのです。

セラピスト:ということは、仲良くできるようになりたいのですね。


 コンサルティングなどでも、<現状>の不満から始まることは多い。もちろん、単純に<現状>の不満をひっくり返せば<理想>になる、ということは少ないので、ここには気の利いたヒネリ、あるいは<現状>の枠組みからの飛躍は必要にはなる。

 さて、エリクソンの考え方にリソースというのがある。[3]  自分の内外にある資源・資質ということだ。もちろん、エリクソンはリソースとは言ってはいない、弟子筋にあたるジェフリー・ザイクやスティーブ・ランクトンらによって持ち込まれた概念だ。過去、上手くいった考え方やり方、その枠組み、行動、気持ち、感覚・・・そういったものを現在に持ち込んで使ってみるのも、リソースの活用ということになる。エリクソニアン・アプローチは過去の原因分析はしない。過去を探るとしても、過去のリソースを現在に持ち込むだけだ。それも、現在でも有益だと思われるリソースだが。だから、エリクソニアン・アプローチとして退行催眠をトクトクと語っている人間はたいていインチキだ(笑)。
 
過去上手く言った行動、視点、考え方などを現在形で反射する

Client: I stopped myself from bingeing by calling a friend..

Therapist: So one of the things you do to stop bingeing is call friends.

クライアント:友人を呼ぶことで自分が大酒を飲むことを止められました。

セラピスト:(今でも)大酒の飲むのを止める方法のひとつは、友人を呼ぶことなのですね。



 過去出来たことが、今も将来もできる、という確信は自己効力感[4]の向上にもつながる。

 さて、<理想>を目指して、あれこれ行動してみても上手くいかないことは多々ある。あくまでも、<理想>を目指して何かやり続けることが大切なのだ。その意味では、多少の失敗ではめげないことだ。すぐに得られる<理想>などつまらない<理想>だ。その意味、多少上手くいかないことは限定的に話す必要がある。<理想>にロックインして、手を変え品を変えて、次は上手くやるぞ、という心身状態も大事なことだ。


理想を目指し、現状の不都合は限定的に反射する

Client: I broke up with my girlfriend and can’t seem to find another relationship.

Therapist: So you haven’t gotten into a relationship yet. When you get into a relationship, we’ll know we’ve done something useful here.

クライアント:彼女と関係が拗れて、関係修復できる見込みが立たないのです。

セラピスト:ということは、まだ関係修復していないのですね。関係修復した時、私達はここでやったことが役に立ったと分かるでしょう。

 
  このあたりの話法は、相手に「おまえはだめなやつだ」というメタ・メッセージを送らない話方でもある。逆にいうと「おまえは、やればできる子!」を間接的に伝えている感じになる。
 
  さて、エリクソンがやっていたことは、案外、基本的なことの積み重ねだ。もちろん、基本的なことだからこそ、日常生活でも仕事の場面でも活用できるということになる。単純に基本的なことだからだ。ただ、話のパターンとして<現状><理想>の間にどうやって橋をかけるのか?これだけを心にとめておけばなんとか格好はつく、ということでもある・・・・・(笑)。

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_2.html
[2]https://books.google.co.jp/books?id=NHBIl8ZInQsC&pg=PA32&lpg=PA32
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/01/blog-post_10.html
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_17.html

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