2016年10月18日火曜日

ファシリテーションの技術:ミラノ派家族療法を応用する(その7)


                                                                                                                             
 変えられることがあるとすれば、関わりあい方だけ。

 もう一度、変えられることがあるとすれば、関わりあい方だけ。

 つまり、変えられるのは「関係」だけ。
 

 <ひとりごと>



関係を変えるために関係を探る

  備忘録として書いておく。

円環的質問》ミルトン・エリクソン+MRI派生のミラノ派家族療法は家族や組織を対象に実施する心理療法の形態だ。で、ミラノ派の「THE EVOLUTION OF CIRCULAR QUESTIONS: TRAINING FAMILY THERAPISTS」[1]のガイドラインを読んでいた。 

 さて、今日は「円環的質問」について少々。ここでもう一度、ミラノ派で使われる質問の種類を整理しておこう。主に4つあった。[2] さらに、この中の円環的質問のサブ・カテゴリーとして4つの質問が紹介されている。円環的質問はベイトソン的なシステム思考を促すために活用する。大まかな目的は、「違いの明示」「文脈の明示」となる。また、質問をしている主体と対象との関係性が「シンメトリカル」か「コンプリメンタリー」なのか?の「関係」を探る質問でもある。

 この前提として、「変えられるのは関係だけ」、というのがある。つまり、セラピストが示唆する介入はほとんど場合「関係」を変える行動指示なわけだから、まずはその関係を探るというのが主眼となる。[3] もちろん、この全段階としてはセラピストは中立的な立場と取るとか、クライアントと適切なラポールを取ることが必要になるが、もちろん、ラポールが取れたからといってクライアントに変化が起こるわけではない。結局、適切な介入、つまり関係性を変える行動指示が適切にキマることが必要となる。


1. 直線的質問  (尋問的な質問、例:誰があなたを悩ませるのか?)

2.円環的質問  (探究的な質問、例:他にあたなを悩ませているのは誰か?)

 ①問題定義の質問         
 ②やり取りのシーケンスの質問  
    ③比較・分類の質問       ←ここ
 ④介入の質問

3.戦略的質問

4.再帰的質問  

  
カテゴリとプロトタイプの理論》といっても難しく考える必要はない。日本人であれば、幼稚園の時に動物と野菜を分ける「仲間はずれはどれだ?」的な分類を練習したことがあるだろう。これを認知科学の基本にまで昇華したのがカテゴリー化やプロトタイプの理論だ。このあたりで書いた。

  もちろん、分類の対象が概念になると少し難しい。理由は、ベイトソンのいう「関係」は目に見えないからだ。ただ、最終的には、この関係は「コミュニケーションの5つの思案的公理」[4]に還元すれば、類似としての「シンメトリカル」と違いとしての「コンプリメンタリー」そして、その関係がエスカレーション傾向にあるのか否かを観察するということになるだろう。結局、セラピストや観察者の視点から人と人との「関係」を比較、分類するということだ。これが介入を考える時のヒントになる。[5] もちろん、クライアントの視点からはコンテンツとして「関係」をあれこれ考えてもらえばよいだろう。相違や差異を明示することで何か意味があることに気づいてもらえるはずだ。

さて、本題にはいろう。

円環的質問の③》簡単に言うと、これは家族の構成員それぞれに、他の構成員についての、振る舞い、信念、価値観、思考、伝統、習慣、気持ち、そして関係について尋ねる質問だ。もちろん、ここには事実を観察してのことだけではなく、観察者の推測が入っているような構図になっている。

 で、円環的質問を使って以下を聞いていく。






 余談だが、へんな自己啓発なんかにハマると人間関係や家族関係を壊す人が多い。大体、自己啓発は人間関係がエスカレーションする方向に行く。つまり、過度に競争を煽ったり、過度に上から目線の先生となる立場を取るように勧める。しかし、これが過度にエスカレーションした時、人間関係を観察し適切に介入できる方法を持っていない。だから、人間関係壊れたり、組織が空中分解する。ベイトソンやMRIの人たちがつくった「二重拘束(ダブルバインド)仮説」や「人間コミュニケーションの5つの思案的公理」「Theory of Mind」を反映できていない中途半端な自己啓発などには特に注意が必要だ。まぁ、具体的にどれとは言わないけれど(笑)。何れにしても、関係をきちんと観察し、適切に介入する方法論を持っていることは有効だということだ。これは、企業組織やプロジェクト組織でも同じように有効だということになる。


(つづく)

文献
[1]http://www.aamft.org/members/familytherapyresources/articles/86_jmft_2_11
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/10/blog-post_10.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/10/blog-post_6.html
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Watzlawick
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/02/blog-post_10.html


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